一回戦(特殊トーナメント)
「さあ、ついに始まる、最強のトーナメント!学園最強を決める戦いが始まるっ!何も言う事はないっ!最強の戦いを堪能しようっ!」
特殊トーナメントの出場者は、10名で、1日1試合だった。
ロアとヒウマは、順当に上がれば、決勝で当たる。
俺は、ロアと準優勝で当たるようだった。
「最初は、フォイ先輩か」
魔法騎士のフォイ。
武器優先の先輩みたいだった。
ちなみに、初対面の印象が最悪のロアとヒウマの二人は、絶対先輩扱いしてやらない。と心に決めている。
第一戦目は、ロア対フォイ先輩
「行きますよ」
ロアが闘技場に出て来てから、凄まじい歓声だ。
歓声を上げているのは、女性8割くらいだ。
ロアは、すらりと細身の剣を抜く。やはり絵になる。
相手をにらむと、一気に走り出す。
「ニードルラッシュっ!」
レイピアのように、鋭い突きを無数に繰り出す。
チッ と舌打ちする声が耳元から聞こえて、ふと振り向くとヒウマがそばにいた。
「やっぱりあいつ、気に喰わないにゃっ!」
かわいい声も聞こえる。
猫語?こいつが?
「ヒウマの必殺技を真似るなんて、挑発にゃっ!いけすかないにゃっ!」
よく見るとヒウマの横に小さい女の子がいた。
猫耳がついてる。
獣人?!
初めて見た。かわいいし、しっぽもついてて、もふもふしたくなる。
俺がじーっと見ていたら、その娘が気がついた。
「何を見てるにゃっ!わたしは、ヒウマのものにゃっ!ヒウマ以外に見られるのも嫌にゃっ!」
そう言って、ヒウマにくっつく。
ヒウマに頭や耳周りを撫でられて、顔が緩み出していた。
獣人。初めてみたけど、本当にかわいいな。
まじまじと二人のイチャイチャを見ていたら、足を思い切り踏まれた。
「痛っ!」と横を見ると、ライナが顔を膨らませて、そっぽを向いている。
俺はクスッと笑うと、ライナの頭を撫でてやった。
ゴスッと背中にも一撃入ったので、レイアの頭も撫でてあげる。
そんなこんなをしていたら、「勝者!ロアっ!」
と声が聞こえた。
無数の切り傷が相手にあるところを見ると、剣技だけで、圧勝したらしい。
なんでもあり。つまり魔法にこだわる必要は無いという事だ。
「流石だな。ロア先輩。スキが見当たらなかった」
レイアが呟く。
近接好きなレイアが認めるのだから、接近戦はかなりのものなのだろう。
全く見てなかったけど。
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「流石は、ロア先輩だよな。」
食堂では、今日の試合の話しで持ちきりだった。
戦い方としては、レイアいわく、ヒュンで、ズバッで、シュバババで、終わりだったらしい。
うん。わからない。だけどなんとなく、ヒットアンドウェイの戦い方だったようだ。
俺は、そんな事を考えながら、二人と話しをしながら、ご飯を食べて、寝たのだった。
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「さあ、1回戦、二試合目の始まりだっ!今日の対戦は、白撃のフォイっ!きらめく暫撃は切れない物は無しっ!今日も白と赤のコントラストを見せてくれるのかっ! そして、相手は、初めての新入生からの参戦だっ!緑風のシュンっ! 緑の風を身にまとい、どんな闘いを魅せてくれるのかっ!」
「シュンくーん!」
「シュン、がんばれー!」
ライナとレイアの二人の声がよく聞こえる。
しかし。二つ名がもう付いている。
その事に、ガックリとうなだれてしまう。
痛い二つ名じゃあ無いから、まだいいけど。
二人に手を振り、俺は愛用のメイスを取り出す。
「野蛮な武器だな」
メイスを見て、ボソリと呟く、フォイ先輩。
「自分でも、そう思いますよ」
俺の返事に、無言で幅広の両手剣を構え、フォイ先輩が間合いを図り出す。
「一回戦、二試合目。はじめっ!」
フォイ先輩の力一杯の横薙ぎが入る。
剣から、白い何かが飛び、とっさに避けた俺の腕の服が薄く切れた。
剣撃。いや、風魔法が発動してるみたいだ。
けど、威力が低い。
すっと息を吐くと、俺はメイスを握りしめ、風魔法をメイスにまとわせる。
「やるな。だが、次で終わりだっ!オーバーラッシュ!」
両手剣とは思えない速さで、剣を振るう先輩。
全てに剣撃が乗り、無数の刃が飛んで来る。
数で勝負らしいが。剃刀の刃くらいじゃ、倒れる気はしない。
俺は、その斬撃の全てを、メイスで叩き落とす。
観客席が一瞬、呆気に取られているのが分かる。
少し、口元を緩めながら、ゆっくりと先輩へと近づいて行く。
「新入生があ!調子に乗るなぁ!」
先輩が背中まで剣を回し、力一杯振り下ろす。
俺は、メイスを持った片手で、その一撃を受け止めた。
腕に激しい衝撃が走り、床が割れる。
普通なら武器ごと真っ二つなんだろうけど。
俺の武器は、魔物の骨を圧縮したものだ。
そんななまくらで斬れるほど柔らかくはない。
空いている左手を先輩に当る。
「さよならです」
俺の呟きとともに、先輩は後ろへと吹き飛ばされ。さらに、空中に一気に舞い上がる。
本当なら、止めに風の槍の魔法が入るコンボだけど、竜巻のように巻き上げる風に揉まれて、先輩の意識は無くなったようなので、とどめに一撃は見合わせる。
先輩はそのまま、場外に落ちていき。
ジェル状になった水に突っ込み、地面に落ちた。
ライナが落下したとき、上手に受け止められたら、もう少し余裕が生まれたと思う。
そう思って、またあんな事が起きた時に誰かを助けたくて編み出した水魔法だ。
ジェル状の水がクッションとなり、ふわりと床に落ちる先輩。
「勝者!シュンリンデンバーグっ!」
一瞬の静寂の中、誰かが
「風の竜だ」と呟くのが聞こえた。
痛い二つ名になりそうだから、止めて欲しい。
本気でそう思った瞬間、
会場は、賭けに負けた叫び声と怒号を含んだ歓声に包まれたのだった。
そうそう今の俺のステータスは
[名前] シュンリンデンバーグ
[職業] 冒険者付き添い
[ステータス]
[Lv] (表示不可能) 27
[Hp] (1700) 600
[Mp] (1500) 500
[力] (800) 100
[体] (600) 110
[魔] (900) 130
[速] (700) 105
[スキル]
(データベース) (EPシステム) (火炎魔法・使用不可)
水魔法 氷魔法 風魔法 土魔法 回復魔法 絶対結界 武器作成 防具作成 魔法付与 所有物スキル付与
無詠唱 連続詠唱 同時詠唱 魔法同時発動
筋力強化魔法 速度強化魔法
まあ、かなり、作成寄りのスキル編成なのは仕方ない。
以外と二人の武器作るの大変だったんだよ。
ということで、ステータス的にも負けるわけない。ゲームなら終盤のステータスなのだから。
20233 少し加筆しました。




