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神人の覚悟

何日前からだろうか。ずっとせわしなく、パパの周りでママは動いているの。

パパが、海の中で意識を失ったと、ティピと言う人魚に連れて来られた瞬間。

ママは悲鳴を上げていたの。


今までこれほど焦ったママは見た事なかったの。

それから、ずっとママはパパの世話をしているの。

体を拭いたり、口移しで、何かを食べさせたり。


時々泣いているのも見えるの。

シリュも心配そうに見ているけど、絶対に私たちに世話をさせてくれないの。

リュイママは、頑固なの。


しばらく、パパの世話をしてたけど、一回だけママは外に出てた。

何をしたのかは分からないけど、帰って来た時のママは何か吹っ切れた顔をしてたの。


お医者さんも来てた。

お医者さんは、「おそらく魔力切れだと思われるのですが、これほどまでに重症化するのは初めて見ました」

なんて言ってたの。


「あれかな」

ミオはそう呟いていたけど。

ミリもそう思うの。


海の中も。

村の中も。

町の方まで。

すごい広い範囲で、羽が降って来てたの。

もしあれが、全部ビットだとしたら。


「絶対無理。私の命を全部使っても無理」

シリュまでそう言い切ってしまえるほどの数になるらしいの。


私たちも、暇なのに。遊ぶ気にもならない。

ずっとパパの傍にいる。


目が覚めて欲しいと祈りながら。





俺は、ぼーっとしながら目を開ける。

目の前に、泣いているピンクの髪の少女の顔が見えた。

「ああ。リュイ。おはよう」

俺が呟くと。

「おはようございます」

それだけ言い。

リュイは、俺の胸に顔をうずめる。


胸が冷たいのは気のせいじゃないと思う。

「あー。パパ起きたの!」

「パパのバカっ!」

「よがっだぁ」

3人が3人とも泣いている。

俺はリュイの頭を撫でやる。


しかし、リュイは動かない。

いつもなら、顔を赤くして怒るのに。


そんな事を思っていると、子供達が俺の体にくっつき。

3人とも動かなくなる。

気が付くと全員が、寝息を立てていた。


俺が戸惑っていると。

リュイが顔を上げる。

「みんな、あなたが心配で、寝てないんです」

泣き笑いのまま、リュイは俺を見つめた後。


突然、俺の手を取り。

俺の指を噛む。


【手加減】が発動している今、普通の状態であるため、指先から、血が滲む。

リュイは俺の手を自分の胸の差し込む。


俺が慌てる間も無く。

リュイの全身が光り出した。


俺の体まで、光り出す。

ぼーっとしていた頭が強制的にたたき起こされた。


この現象。

この光景。


俺の足元には子供達がいるため、身動きは自由に取れない。


ミュアの時には、痛みのあったが、今はそれほどの痛みも無い。

リュイは、しばらく痛みのせいか顔をゆがませていたが。

突然、俺の口を奪ってきた。


俺を抱きしめたままで、じっとするリュイ。

俺とリュイの全身に浮かんだ紋様はそのまま一つの紋様へと変化していく。

もともと俺の体に浮かんだ紋様に、リュイが侵食されていくようにも見えた。


どれだけの時間が経ったのか。

リュイは、少し俺から離れると、笑う。

「これで、何度目ですか。もう、ゆるさないです。だから、一人で死ねないようにしたです」

リュイの目は真剣だった。


「だからって、相談も無しで奴隷契約とか。するか?」

俺の言葉に。

「かなり無理言ってやってもらったです。これも、シュン様への罰です」

少し顔を赤らめながら呟くリュイを。


俺は、思わず抱きしめていた。

「リュイも、無茶するなよ」

「私は相石です。絶対に壊れない相石です。だから、もっと傍にいるです」

そう言って笑うリュイ。


『リュイとの奴隷契約完了。所有物に、リュイが追加されます』


そんな声が頭に聞こえて来る。

リュイは持ち物じゃないんだが。


そう思っていると。

ゴソッとEPが突然抜かれた。俺の意思とは関係なくだった気がしたのだが。


勝手にリュイのステータスが開く。

その中に。見覚えのあるスキルが見えた。

【譲渡】


俺がそのスキルに疑問を持つ。

今までリュイには無かったスキルが見える。しかも、そのスキルは、彼女専用だったはず。

しかし、データベースは、『知りません』と返答する。


何故、データベースが反応するのかすら分からないが。


そんな疑問が浮かぶが、真剣に考える間もなく、再び俺の唇はリュイに奪われていた。

その瞬間。


一気に俺の魔力が抜かれる。

リュイの中に俺の魔力が入り。リュイの生命力と一緒に帰ってくるのが分かる。

二つの魔力が完全に一つになり。今度は自分の生命力と混ざり、彼女に返って行く。

魂まで一つになっていく感覚。


あまりの心地よさにずっとこのままで居たくなってしまう。

子供達は俺の傍でいつの間にか寝ていた。

そして。気が付くと、

リュイは俺の上で、キスをしたまま寝てしまっていた。

俺は、結局どうしたらいいものか分からず。

そのままでしばらく過ごす事になってしまうのだった。


溢れんばかりの魔力をお互いにまとったままで。





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