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海辺のたわむれ

じゅう~

と音が聞こえそうなくらい赤くなった額を押さえる事もできずに、騒ぎ出すカイ。


無邪気に笑うミオは、本当に悪魔に見える。

そんなカイを見て、子供達は笑っていたのだが。


突然、俺の頭にアラームが鳴る。

「来た!」

ミオが、突然真剣な顔をして、海を見つめる。


何が起こったのか、分からないカイが、茫然としていると。

突然、海が爆発したかのように水柱を上げた。


「本当にいたのね」

アヤさんの声が小さく聞こえる。

「アヤさん!ダイクさんを呼んで来て下さいです!」

リュイの声に慌てて家に帰って行くアヤさんを見ながら、俺は自分の武器を取り出す。


「来るよ!」

ミオの声と同時に。

水鉄砲のような水の濁流が無数に飛んで来る。


地面に当たった水は、砂に当たった瞬間、爆散するかのように、激しい穴を開ける。

「おい!出せ!出してくれぇ!」

カイの叫び声が耳障りだ。


そう思っていたら、シリュのビットが、カイの周りで爆発したかのように砂を噴き上げて、

カイを掘りおこしていた。


空中を跳んでいるカイに、回復魔法までかけている辺り、やり過ぎたと思ってはいるのだろう。


風魔法で、掘り起こしたのだろうが、後でしっかりほめてやらないとな。

そんな事を思いながら、俺は自分のビットを展開する。


絶対結界に当たり、爆散していく水の塊。



「大きいのが来るよ!」

ミオの声が響く。

本当に。


うちの子は優秀だ。

巨大な水の塊が、水に突き刺さった巨大な塔の頭に膨れ上がっていく。


「おい!出たって、ほんとう・・・・か」

ダイクが慌てて来たのだが。


目の前にいる巨大な蛇と、その頭上に浮かんでいるとんでもなく巨大な水の塊を見て絶句してしまう。


村を丸ごと飲み込んでしまえそうなほど巨大になっていく水の塊。


「避難。いや、もう、間に合わん!」

ダイクが悲痛な声を上げる。


「シュン様」

リュイが、俺の横で笑う。

俺は苦笑いするしかない。


分かってはいる。あれを吹き飛ばす技はある。

けど、あれ、俺は嫌なんだよな。


そんな事を思っていたが。

リュイの前に、俺のビットが集まり始めていた。


「おい。何を」

ダイクが、唖然とした顔で俺達を見ている。


俺のビットが、整列を始め。

リュイの前に、魔法陣を作り始める。

次々と生み出される俺のビットを全て使い切る勢いで魔法陣が形成されていく。


というか、前は、魔法陣は一重じゃなかったか?

3つ並んでいるように見えるんだけど。


俺が疑問に思った瞬間。

リュイはにっこりと笑い、自分の巨大斧を構え。

「愛羅舞竜!!!!」

叫びながら、魔法陣に自分の斧を叩きつける。


魔法陣の中から、突然起こされた超巨大な真っ黒な火の鳥が飛び立つのと、巨大な水の塊が発射されるのは、ほぼ同時だった。


黒い火の鳥は、水とあっさりとふき飛ばし。


海にそそり立つ蛇にそのままぶつかる。

巨大なハートマークを作りながら、火の鳥が消えて行き。


跡形もなく、シーサーペントは燃え尽きていた。


「やりすぎたです」

苦笑いを浮かべているリュイ。


子供達は、「お母さんつよーい!」と騒いでいる。

俺はというと。


精神ダメージと必死に戦っていた。

あの技の名前は、本当になんとかならないかと思う。


「すげぇ、、、な。しかも、技の名前が、アイラブユー か」

ダイクの呟きは、俺にさらなるダメージを与えるのだった。





「討伐には、俺も参加すると言ったのに」

ぶつぶつと呟くカイを後目に、ダイクは、ごちそうを作ってくれていた。


「まさか、一撃とは。お前の嫁さんも強すぎだろう!」

上機嫌で、酒をあおるダイク。


その夜。

あまりにもあっさりとシーサーペントを倒した俺達に感謝したいと言って、大宴会が開かれていた。


食べきれないほどの海の幸がならんだ食卓と。

村の住民たちが騒いでいる。


アヤさんは、相変わらず忙しそうにみんなの世話をするために、せわしなく動いている。


「今回の討伐は、これで終わりだね」

ミオが嬉しそうにイカを食べていたのだが。


俺は、とんでもない事に気が付いてしまった。

「討伐部位も燃やし尽くしたから、討伐証明が出来ない」


アムに言っても、倒した事が本当か証明できなければ、あとでさらに調査をしなければならず、さらに時間がかかってしまう。


怒られるかもな。

俺がそんな事を思っていると、ダイクは笑いながら、俺の肩を叩く。

「なんだ?町に報告にいくんなら、俺も着いていってやるぞ。なんせ、目の前で見たからな。

あの巨大な竜と、一瞬で焼き尽くした火の鳥を」


そう言って笑うダイク。

俺は、討伐報告は大変になりそうだと、少し気が重くなるのだった。





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