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幕間 ライナ

ある日。私は自分の部屋で、シュン君からもらった杖を眺めていた。

私の名前は、ライナ シュリフ。


有名な騎士の家系に生まれた私。

お父様はこの国の将軍になっているくらい腕がいい剣士の家系。

なのに私は、生まれつき体が弱かった。


お兄様も、お姉様も、この国の騎士団の一員として国を守っているのに、私には、剣を振るう力も、走り回る体力も無かった。

 小さい頃は、ちょっと外に遊びに行っただけで、よく寝込んでいて、メイドや、お母様に看病をしてもらう時間の方が長かったくらい。


だから、楽しい思い出もなかったけど、体が弱いからと言って大変だったとも思わなかった。

皆優しくしてくれた。


多分が私が女の子で、兄弟の中で下の方だったと言う事も大きかったんだと思う。

上のお兄さまや、お姉さまは勉強や、剣の練習など、すごく頑張っていたし、お姉さま達は、騎士団に早々と入り、魔法と剣で良い成績を修めていたりしていた。


今では、お兄様達も、立派な騎士として、紅玉騎士団など、有名な騎士団に所属している。

なのに、私は、まったくもっと修行をしろとか、これをしなさいとお父様からも、お姉様、お兄様からも言われた事は無かった。


期待されていなかったのだと思う。

だから、少し寂しかった私は、よく、お兄様や、お姉様の後ろをついて歩いていた。

お姉さまたちが、みんな恰好良く見えたから。


で、ある日あの事件が起きた。

お姉さまの真似をして、私は、火の魔法を使ってみる事にした。


そしたら、突然、私の手から勢い良く炎が出てきて。怖くなって振り払おうとした。

メイドさんも、家庭教師のお姉さんも慌てていたのを覚えてる。

けど、火はいつまでたっても消えなくて。

結局、火が消えた時には、私の右手が少し燃えてしまった。

幸い、近くにいた家庭教師の先生が大急ぎで処置してくれたから、軽いやけどの痕で済んだけど、それ以来、火の魔法は怖くて使えなくなってしまった。


後で聞いたら、私の使った魔法は火の魔法ではなく、炎の魔法。普通なら使えるはずのない、上級魔法だったみたい。

だから、暴走したのだろう。天才としか言いようがないと言われてしまった。


おかげで、私は炎の天才と言われるようになったけど、あの事件以来、メイド達は私を避けるようになってしまった。


また、魔法が暴走したらと思うと怖かったのだと思う。

私でもあの火が怖いもの。


お父様は、一人だけど、お母さまはいっぱいいるから、やっぱり家族はいっぱいいる。

なのに、あの事件以来、異母兄弟からも避けられている気がして仕方が無かった。

お父様、お母様達からも、天才と言われ喜ばれながら、炎のあまりの怖さに一番強いはずの火の魔法が使えなくなってしまって。

水魔法なんて、微妙な魔法しか使えない私は上の兄弟からもさらに距離をおかれ始めた。


そんな時に家に来たのがレイアだった。

最高ランク冒険者の娘。

お父様が昔助けてもらった人の娘さんと言う事だったけど、私はちょっと嬉しかった。

ほぼ同じ年の同性の子で、話し相手なんていなかったから。


話し相手になれたらいいなと思っていたけど。

仲良くなるまでにそんなに時間はかからなかった。

突然連れてこられたレイアもお家の中で仲間外れのお仲間だったから。

仲良くなって。二人で、魔法も競いあった。


火の魔法が使えなくなった私の代わりというわけじゃないけど。

レイアは火の魔法が凄く上手だった。

私も頑張って水魔法を鍛えた。


二人でおままごともしたし、冒険者ごっこもした。


結局、水魔法はあまり伸びなかった。

水の玉が打てるくらい。

レイアは火の矢が打てるのに、魔法の威力もすごく強いのにまだ、私の側にいてくれる。


天才の天才と言われてるお姉さまや、お兄様には勝てないし、このまま騎士団に入ってもお父様の荷物になるだけだった。


私は騎士団を諦めて、冒険者の学校に入る事にした。

おうちで独りぼっちになりがちな私を、レイアはいっぱい支えてくれたから。

冒険者になると言うレイアを支えたかった。


試験の日は、めちゃくちゃ緊張した。

最初の挨拶も。かまなかったのが不思議なくらい。

で、試験会場にシュンリンデンバーグという変わった名前の男の子がいた。


豪華ではないけど、しっかりした作りのローブ。

お父様を訪ねて来る人が着てるような頑丈で、しっかりした服。


もう冒険者として活躍してるような落ち着き方。

同年代では、絶対に居ないたたずまいだった。


無詠唱で、しっかりとした水の玉が飛ばせる、私の水魔法を見て周りの皆が驚いていたのに、彼だけは全く気にしてる様子もなく。


レイアが何か言いに行ってたけど、それすら気にもしていない様子だった。

そんな彼が魔法を披露する番になった。


その姿に。

私達が驚く事になってしまった。

一瞬で的を壊せるなんて、すごい威力。

 あれは、シルバーウルフとか、ホーンバッファローとか、中級の魔物並みの固さがあるはずなのに。


私達では、近づくのも禁止される魔物達。

でも、彼はもうすでに倒せるだけの威力がある魔法が打てるという事。


私はレイアに連れられて、挨拶する事にした。

「シュンリンデンバーグさん?」



話してみたら凄く楽しい人だった。詳しくは覚えてないけど、ずっと笑ってた気がする。


そのあと、しばらくしてからデートに行く事になってしまった。

今まで、学校でも、一緒にご飯を食べたりしてたけど。


今回は別。なんでなら、デート先は町の外。


町の外では、何をされても仕方ない。魔物に殺されたと言えばいいのだから。

異性のパーティーは外に出るだけで、恋人と言われる理由。


学校側は私達にシュンくんをよろしくと言って来たし。


私達、恋人と思われてる。

嫌じゃないけど。


特に何もなく一緒に外に出て、シュンくんの狩りを見る。

あっさり敵を倒して、怪我一つしない。


何体か狩りをして、持って帰って売って、私たちにご飯をおごってくれる。

シュンくんだけしっかりと冒険者をしていた。


見ていたら、簡単そうで、私達も戦いたいとシュンくんにお願いして、戦ってみたら、何が何だかわからないうちに、吹き飛ばされた。


ああ。シュンくんごめんなさい。

 お父様、お母様ごめんなさい。

死んだ。

そう思ったら、水に落ちて、シュンくんに抱っこされていた。


けどね。自分の姿を見ておもいっきり叫んで、シュンくんを叩いた。


だって、私濡れて服透けてたんだものっ!


その状態で抱っこされてたのよっ!

もう、シュンくんにもらってもらうからっ!


シュンくんに謝って、仲直りしたら、今度は武器を作ってくれた。


本当に嬉しかった。初めての武器だもの。しっかりと握りしめて、寝る時も離さないようにしてる。


でもね、悪いと思いながら、こっそりと武器の性能をお父様の知り合いに見てもらったら、白金貨2枚で買うって言われたの。


レイアも、武器とグローブで、白金貨一枚と大金貨6枚とか言われて、目を回してた。


二人して、覚悟するしかなかった。

絶対これプロポーズだものっ!

 そんなとんでもない武器プレゼントとか、あり得ないからっ。


私は、もらった杖をしっかりと握りしめながら、心で謝ってしまう。


お父様、お母様、私、多分冒険者のお嫁さんになってしまいます。

学校に来ただけなのに、ごめんなさい。

12 15 読みやすいように少し書き換えました。

2023 3 少し修正しました。

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