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同級生?彼女?日常?

説明回です。

「本当にすごいです!」

「本当、思ってたよりやるわね」


俺たちは、日も暮れかけた頃にふらりと入った料理屋で出された、イノシシ料理に舌鼓を打っていた。

ここの支払いは俺のお金なんだがな~と思いながら、今日1日を思い出す。

ついでに、少し強い魔物でもあるイノシシの肉をふんだんに使っているこの料理はちょっとお高い。


試験会場その日のうちに合格発表があったのだが、ほとんどが合格になっていた。

そのためか試験日の次の日から、登校して欲しいという鬼畜な事を言われてしまう。

多くの合格生がどんよりとした顔をしている中。超特待生扱いの俺は、別に授業に出ても出なくても良いと言われていたのだが、久しぶりの学生気分を味わいたくて、うきうきしながら登校した。


のに次の日は、合格した全員が自己紹介と挨拶をしていくという。すごく暇な時間だった。

それだけで一日が過ぎてしまう。

だって、1000人近い人が全員、順番に、一言挨拶をしているのだから。最初にしゃべった人なんか思い出せもしない。


 2日目からは、普通に朝から授業開始となった。

だだっ広いグランドを思い出させるような広場で全員一斉に講義を受けるという、考えもしなかったスタイルだった。

青空教室といえば、恰好いいかも知れないけど、数が。生徒の数が明らかにおかしい。

そんな事も気にせずに、先生は、教壇に立ち話し始める。


「まず、冒険者とはどんな職業なのかと言うところだが、皆が思っている通り、普段は、魔物を倒してその素材を売り生活している。しかし、他にも移動する商人の警備や、ちょっとした配達や、頼まれた物を探して持って来ると言う事もある。ああ。人探しや、護送の仕事もあるし、荷物の運び屋。買い付けなんかも行う事がある。

何でも屋。そう呼んでいる貴族もいるな。

そんな冒険者だが。冒険者と、国の兵士以外が、町の外に出て魔物を倒す事は厳しく禁止されている。なぜだか分かるか? 魔物は強く、早い。そして、一体を倒したと安心した後、大量の魔物の数が集まってくる事がある。その増えた魔物のせいで、町や村が消える事は常に起きている事だ。

だからこそ、冒険者、兵士以外が魔物を討伐する事は禁止されている。

王国の騎士たちすら、積極的には魔物の討伐を行わない。 それだけ危険な相手を倒す重要な役目を持っていると同時に、冒険者とは、町を、村を、そしてこの国を守る、剣でもある。

その冒険者を目指そうという皆は、今の時点で、選ばれた人間であると思ってもらっていい」


先生は、周りを見回しながら、微笑む。


「だが、驕るな。偉ぶるな。君たちは、まだ、何も出来ない赤ん坊よりも弱い存在だ。魔物はそれほどに、強く、多く、圧倒的である。だからこそ、ここで多くを学び、多くを知り、多くを経験して、戦いに臨んで欲しい」


そう締めくくると、先生は、教壇を降りる。

そして、次に出て来たのは、筋肉質のスキンヘッドのおっさんだった。


「合格、おめでとう。そして、君たちを歓迎する。私は、冒険者のギルドのマスターをやらせてもらっている。名前は、憶えてもらわなくてかまわない。全員が、ギルドマスターと呼ぶからな」


豪快な笑い声を出すギルドマスター。


「さて、ここからは商売の話をしよう。君たちは、いつか冒険者となれば、魔物を狩る事になる。そして、その素材を売る事にもなるだろう。その買取は、私たち冒険者ギルドが一手に引き受けさせてもらっている。もちろん、君たちが他の商人に売るのは勝手だ。だが、その場合違約金として、大量の罰金を払う事になる事を覚えていて欲しい。

魔物は、どれも、強く、固い。どこで、誰が、どんな魔物を倒せるのか。

それを把握するための、買取でもある。だから、冒険者ギルドに魔物の素材は必ず持ち込んで欲しい。冒険者ギルドでは、高く買う事にしているぞ。

もっとも高く売れるのは、毛皮だ。後は、肉だな。

魔物の骨や、皮は防具にもなる。馬車や、家、柵の素材になっているものもある。

魔物は、多くの素材が取れる。できれば、一匹まるまる持ち込んでくれる事を期待している。

ただ、骨だけは、柵にするしかないがな。固すぎるし、デカすぎる。武器にもならんのが現状だ。デカすぎて、普通の人間には持てないからな」


少し笑いが漏れる。


「冒険者は、歴史が長い。この国が建国される前からある職業である。

そんな歴史の中で、スキルというものを発見した者がいる。

今、冒険者の中で、もっとも多いスキルは、【剣技】と、【剛撃】の二つのどちらかのスキルだ。

これは、ここで、必死に練習した者が覚える事があるスキルだぜひ頑張って欲しい。

まぁ、それは置いておいて、そんな歴史の中で、さらに、特殊なスキルを持っている先人が、人には、強さを測れる、レベルと言うものがある事を発見した。レベルは上がれば上がっただけ強くなれる。そのため、冒険者は、魔物と戦い、レベルを上げ、さらに強い敵に挑む事が、必然となった。君たちは、新しい剣だ。ここで知識と、基礎を学び、磨き上げられ、人々を守る剣となってもらいたい」


ギルドマスターは、にやりと笑い、教壇を降りる。


そして、そのまま次に出て来たのは、あきらかに高そうなローブを着た、おじさんであった。

そのおじさんは、そのまま、手を上げる。

「さぁ。ここからは、本当の授業だ。二手に分かれよう。魔法学志望での合格者はこのまま、残って。 武器戦闘志望での合格者は、隣の広場に行ってほしい」


そう告げると、生徒の移動が始まった。

そして、魔法学と呼ばれている、魔法の授業が始まったのだが。


実際の授業の内容は、派手に魔法を打てとか、自分の中では、訳のわからない事ばかりで、【炎の絆】のレイアさんや、キシュアさんが言っていた事とは違い、固まってしまった。


魔法使いは魔法を派手にうち、相手を怯ませたり、手傷を負わせると良い。とか、先生は胸を張って言っていたが、レイアさんいわく、魔法の乱射は、状況を把握しにくくさせ、結果として、パーティーメンバーを殺す。と言う事で、徹底的に仕込まれていたのだし。


ただ、先生たちの言いたい事は、実感として分かる。イノシシとかは魔法を使うと確かに怯む。けど、俺が昔の森の中で晩年になって狩ってたトラとか、巨大なオオカミとかある一定以上の強さを持っている魔物は、派手な投擲をぶつけると、むしろ怒り狂って、攻撃力が上がるし、大体、【隠密】持ちの、ゴブリンアサシンなんかは、派手な魔法を使っても全く意味がない。当たりもしない。レイアさんが使っていた、地味な、相手の動きを阻害する魔法のが圧倒的に効果的だ。

昔の経験から、レベルなんて、上げても実際は無意味な事も知っている。

魔物は圧倒的に強い。

速さも、硬さも。

魔物の骨を、魔物の骨で削って作った武器でなければ、傷をつけれるわけが無い。


あいつら、石を飲み込む代わりに、金属岩を飲み込むんだから、内臓すら金属では切れやしない。


授業では、一つの魔法を連続打ちしろと教えられているが、レイアさんは、属性の違うものを2つは使い慣れていなさい。と教えてくれた。魔法は、飛ぶ速度が違うらしく、遅い魔法では、当たらない可能性があるから。と。


先生に、もし魔法が当たらなかったらどうしたら良いですか?と質問して見たら、みんなに笑われた。

 魔法は必中だ。

みんな口を揃えて、そう言っていた。けど、俺が訓練を受けていた時、キシュアさんが、魔法発動時に突然俺にぶつかってくる状況で、ウサギに魔法なんて一発も当たらなかった。

 足場が悪いなら、もっと当たらなかった。

移動しながら、相手の攻撃を避けながら発動した魔法は当たらないんだ。

魔法は必中じゃないし、失敗したら、二発目を打つ余裕が無いのも知っている。

何回、イノシシで、吹き飛ばされた事か。


キシュアさんの強化魔法がなかったら、100回以上は死んでるし、手足なんかもう無くなってる。

落ちる前に、カイルに受け止められなかったら何回骨折したかすらわからない。


というか、訓練の風景を思い出しながら、やっぱりあの3人の教え方って、スパルタの領域を越えて、いじめか、虐待だったんじゃあ無いかとも思う。


けど、冒険者学校の授業を聞いていて、俺が思った事はただ一つだった。

〈授業内容が殲滅戦のヒントにもならない。むしろ邪魔〉と言う事。


冒険者はあきらかに優遇されている。

寝泊りするところも、食べる物も、武器も。

その理由は、〘生存率が低すぎる〙からなのだが。

その生存率の低さの理由も、初日の授業から分かる気がした。

レイアさんたち、Bランクまで上がった事のある実績のある冒険者が、教える立場にいないのが大きな原因なのかもしれない。


ランクの高い冒険者は、普通に狩りをしてるしね。


先生の講義を聞きながらイライラする事もあり。役に立たない事ばっかりだったけど、俺は授業には全部出席していた。

40年、魔物としか生活して来なかったし、狩るか、狩られるかの生活を送ってきている。

先生の言っている事は、平和な戦闘での話ばかりだ。

そんな事は分かっていたけど、とりあえず、卒業しなければ、魔物も狩りに出れないし、何より、60年近く、久しぶりに学生になれたので。

学校を楽しみたくなったのだ。


入学当初から、俺と一緒に居るようになったライナと、レイアは、暇そうに授業を聞いている俺に気が付いていたようで。


「シュン君は、誰か、師匠とかはいるの?」

「両親は?本当に貴族とかじゃないのか?」

などと、俺の過去の事を聞き出そうとしてくる。

嬉しいんだけど、二人とも可愛いから、つい返事をしてしまうけど。

どうしても、言えない事もある。


今の状態で、10億の暴走を止めるために転生したなんて、とてもじゃないが言えるものじゃない。

厨二病をこじらせた人と思われるのだけは避けたかったから、自分の役目だけは絶対にしゃべらないように気をつけていた。



まあ、そんな事はさておいて、正直、話しかけてくれて何かと一緒にいてくれるレイアとライナの二人と一緒にいるのは楽しかった。

 いや、俺が昔モテなかったと言うのはあるし、女の子とデートとかしなかったから、美人が隣にいてくれる状況だけで、神のようなんだけど。


そんなこんなで授業を受け続け。

なぜか、算数まで習う事になる。


意外と、冒険者が計算ができずに、詐欺じゃないがぼったくられる事がよくあるみたいで、

「生死に関わる事だからな」

と先生にも言われていた。

あと、魔法使いは、頭がいいという、偏見があるらしく。


「魔法使いは読み、書き、計算が出来ないと、馬鹿にされるぞ」

なんて、先生が言っていた。


ライナは小学生低学年の計算、読み書きが完璧に出来る。

なのに、レイアは全くできなかった。


話を聞いていると、ライナは良いところの貴族のお嬢さんらしく、家庭教師をつけてもらって勉強をしていたから、大丈夫と言って笑っていた。

その反面、レイアは、あまり勉強をしていなかったらしい。


なんでも、この世界では、貴族でない限り、勉強は知らなくても生きて行けるという風潮が社会的に強いようで、冒険者の子供であるレイアは、あまり気にもせず、魔法の練習をしていたらしいのだ。

レイアの方が魔法の練習を多くしているため、少し魔法の威力がライナより高い。


「分からない。なんで?どうしてこうなるの?」

今まで勉強してこなかったためか。レイアは、本気で泣き顔になっている。


仕方がないので、レイアに勉強を少し教える事にもなり。

さらに3人で過ごすようになってしまった。3人で食堂に行ったり、お昼を一緒に食べたり。

可愛い子を2人も連れているせいで、他の生徒の嫉妬の視線を浴びながら、ちょっと優越感に浸ったりして過ごしていた。


もちろん、座学だけじゃなくて、実技もあるけど。


「はぁ~!」

そんな声を出しながら、集中して、水の玉を出すライナ。

魔法の初期の初期の練習で、とにかく魔法を何回も打って魔法の威力と、発動を安定させるという授業だ。


ほとんどの人が、攻撃力の高い、火魔法を選択するなか、なんでライナは水魔法を使うのか聞いて見たら、


「昔、火の魔法で火傷してしまって。それ以来、火が怖くなってしまったんです」

と言われた。


「へぇ~。僕も火が怖いから、一緒だね。」

と言ったら、ライナにすごく嬉しそうな顔をされた。


俺はと言うと、的を使ったり、魔法を発動させての魔法練習はいきなり禁止されてしまった。


無詠唱、無動作で、魔法練習用の的が壊せるくらい魔法が安定しているのなら、この授業はもう、必要ないと言われてしまったのだ。

だから、二人の魔法を見てるだけ。


ただ、これだと、暇で仕方ないので、時々、魔法練習場の隅っこで棒を振る事にしている。

棒を槍だと想定し、ムキムキだった森の狩人の頃を思い出すように。


右、左と棒を振る。

時々、魔法を想定し、手を突き出し、風魔法を手の平に発動。風の矢を打ち出すイメージだけして、カイルの言っていた事を思い出しながら、足を踏みかえ体を沈める。

自分の魔法をかいくぐるように移動し、空想の敵を叩き斬る。


魔法をからませながら、敵を突いたり叩きつぶす。

この動きは、自分的にも、自信がある。

けど、傍目から見たら、すごく滑稽だと思う。

魔法学の生徒なのに、魔法も使わずに、棒を振っているという、魔法使い希望の生徒なのだから。


まあ、そんな事は置いておいて、自分の動きを確かめながら、ライナの方を盗み見ていると、必死に水魔法を的にぶつけている姿が見えた。

ライナには、言えないのだけど、ライナの使っている水魔法は、はっきり言えば、「使えない」魔法に分類されてしまうものだ。

水で攻撃したいのなら、圧倒的な物量が必要になってしまうし、レイアさんが言っていた、「弾速が遅い」魔法だからだ。

本当に魔物に対して当たりにくい魔法である。



そんな事を考えながら、武器を振るっていると、しばらくして、授業終わりの空花火が鳴り、みんな寮に帰ったり、バイトに行ったりと散り散りに帰って行くのだ。


俺は、空花火が鳴った後、特待生権限を使用するために、二人に頼み込んで一緒に町の外に出る。

本当に一番最初に誘った時が大変だった。

 この世界では、町の外に女の子を連れ出すのは、路地裏に女の子を連れ込む事と一緒なのだ。

外だと、何が起きても、誰にもわからない。魔物にやられたと言えば、それまでなのだから。


土下座して、5メートル以内に自分が近づかない事を条件に、一緒に出てもらったのだ。

 

苦労を思い出しながら、マップを表示して、盗賊などがいない事をチェック。イノシシに狙いを定めて、場所を移動し、狩りを始める。


いつも通り。

マップ上で検索して、見つけたイノシシに近づいていき、遠くから水魔法で、イノシシの足元を叩き、一直線に走って来る鼻先に風魔法を()()する。

イノシシが走り出したとたんに、風魔法で切り刻まれ、動きが止まったところで、土魔法で、下から頭を貫き、その頭を上から叩き。終わり。


一匹、数秒で仕留める。

すぐに、次を見つけて、移動して、仕留め、移動して仕留め。


借りて来た台車がいっぱいになったら、帰る事にする。まあ、5匹くらいで一杯になるんだけど。


まずは、武器作成を手に入れないといけない。

それに向けて、頑張る事にしよう。


イノシシは、全部を売って、銀貨一枚を3人で分けて、俺が夕飯を奢るから、赤字になる毎日だった。


ちなみに、このイノシシは俺が狩ってきた物をそのまま宿に一匹卸していた。


お蔭で、宿賃とご飯代はかなり安くしてもらえている。

お金は大事に使わないとね。


俺は、顔は綺麗なんだけど、気持ちいい食べっぷりを見せてくれる二人を見ながら、にこやかに笑っていた。


5/23 説明文追加しました。

11 4 時間がバラバラになっているので大幅修正しました。

2023 2 加筆修正しました。

2023 3 誤字報告ありがとうございます。気が付かずに放置してしまっている所が多いので、本当に助かります。

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