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優しくない世界に転生した。精一杯生きてやる。~創世記の英雄は転生者~  作者: こげら
第2章 フェーロン共和国編 あらたな冒険
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脱走?

いつも見ていただき、ありがとうございます。

自分でもびっくりするくらいこんな作品を見てくださる方が増えてきているので、うれしい限りです。

後、誤字、脱字があれば、本当に報告お願いします。

 面白かったよ。いや、くだらんぞ。の一言でもよいので、感想も書いていただけると、本当にしあわせます。

「もう死んじゃいます」

生まれたままの姿で寝ているリュイの呟きが隣で聞こえ、俺は目が覚めた。


地竜との死闘が終わった後。

俺とリュイは、生きている事を確かめるかのようにお互いを求めた。

吊り橋効果といわれてしまえば、そうなのかも知れない。

しかし、俺たちは互いに生きている事を確認した後、俺たちは、お互いに我慢できなくなってしまったのだ。

俺は、隣で寝ているリュイの頭を撫でた後、とりあえず、状況を確認して落ち着きたくて、何となく自分のステータスを開く事にした。

俺は、自分のステータスをデータベースで開いた瞬間、固まっていた。

MPは5000超えだし、HPは、7000越えにも関わらず、全てが一晩で全回復しているのにも驚いたのだが、それよりも、知らないうちに自分が称号を持っていた事に初めてこのとき、初めて気がついたのだ。


しかも、二つも。

【エルフの長】【大地を総べる者】

前のエルフの長はエルフの里を壊滅まで追い込んだ時に手に入れていたのだろうけど。

今回、【大地を総べる者】の称号が、頭を抱えるものだった。

それは、地属性の魔法の威力2倍、必要MP半分。土魔法に対する耐性までついていたのだ。


「なんか、竜にでもなった気分だな」

俺はぼそっと呟く。

人間が、土魔法耐性を持つのは、歴史上始めてらしい。

データベースさんも、きっちり太鼓判を押してくれている。

地竜を倒したご褒美みたいな物なのだろうが、人間から遠く離れてしまうような気がして、少し寂しさも感じてしまう。

そんな事を考えながら、自分のステータス表示を閉じ、まだ幸せそうに寝ているリュイを眺めていると、突然上の方から騒がしい音が聞こえ出す。


何かが降りて来る気配を感じた俺は、ローブを着なおし上を見上げると。

そこには、ドンキが乗っていたような鳥のようなオオカミのような生物が突っ込んで来るのが見えた。

俺は、慌てて武器を取り出そうとしたのだが。

一瞬で俺は手を掴まれ、その鳥のようなオオカミのような生物の上に乗せられていた。

「シュン様、ちょっと、面倒な事が起きました。手荒な迎えですみませんが、我慢してください。文句なら、親父にお願いします」

鳥オオカミの上に乗っている、20歳くらいの男が叫ぶように声をかけてくる。

その間も、鳥オオカミはぐんぐん上昇して行き、ドワーフの穴の入り口まで来ていた。

かなり強引に突破したのか、数名倒れているドワーフの上を通過するように鳥オオカミが飛んで行く。

その倒れている中にタチュの姿を見つけた俺は。

「リュイをお願いしますっ!」とタチュに叫ぶのがやっとだった。

そのまま、鳥オオカミはドワーフの穴から飛び出て、荒野を飛び始める。

「挨拶が遅れました。クソ親父の息子の、ファイです。息子って言っても、あのクソ親父の隠し子だから、数回しか会った事は無いんですけどね。今回の戦争で、いきなりこの魔物を渡されて、【手伝ってくれ】と言ってくるクソだから、締め殺してやろうと思ったんですけど」

青年は、まっすぐ前を向いたまま鳥オオカミを操る。

「普通に生きていける世界を作るなんて言われたら、ちょっと手伝ってやろうかという気にもなってしまったんです」

少し笑みを浮かべるファイ。

「しかし、ちょっと、面倒な事になりまして。北にあったギンキはあっさり落としたんですが、南にあったドウタツが、どうにもならない状態でして。シュンを連れて来てくれと、クソ親父に頼まれたんです」

俺は、青年を見る。

自分だけひたすらしゃべっている彼は、普通に好青年といっていい容姿をしていた。

この鳥オオカミの背中は、大人2人が少しゆっくり座れるくらいの大きさで、3人は座れないくらいなのだが、その鳥オオカミをまったく揺れもなくベテランのように操っている。

最近渡されたばかりだと自分で言っていたのに、これは、彼の才能、いや天才なのだろう。


俺は、そんな事を思いながら、途切れる事の無いファイのドンキに対する悪口を聞きながら空を見つめるのだった。

リュイの事を思い出しながら。




「行くのか?本当に行くのか?荒野を抜けたドワーフは数人しかおらんのだぞ」

今、私は、必死になって、自分の義娘を引き留めようとしていた。

いきなり飛び込んで来た鳥のような巨大な魔物は、祭壇へ一気に降りていき、再び上がって来た。

本当に、食い殺されるかと思ったのだが、その鳥がドワーフの穴から出る時に、シュンの声が聞こえた気がした。

慌てて、祭壇へエレベーターを下ろすと、ぼろぼろの鎧を着たリュイが、じっと上を見つめていた所を発見したのだ。

聞けば、祭壇にいた、【神の使い】は倒してしまったと言う。

シュンならやってくれるのではないかと思っていたのだが、本当にやってくれた。

ドワーフ始まって以来の快挙なのだが、それよりもそのお祝いをするより先に義娘は、

「防具を作って」

と言って来たのだ。

明らかにどこかに行ってしまったシュンを追いかける気であった。

このドワーフの穴の周りはただただ荒野が広がっており、馬車一杯の水と食料を積んで行っても、無事に抜けれるか疑問に思うくらい過酷な場所である。

それを一人で行くと言う。

さんざん引き留めた。引き留めたのだが。

「義父さんには、感謝してるけど、私の気持ちは前に言ったままです。あの人のそばにいて、あの人を守ると決めたのは私です。だから行くのです」

きっぱりとそう言われてしまった。

義娘が、こうなってしまった時は、何を言っても絶対に聞かない。

自分で考えて、自分でやると決めた時、この子は絶対に意見を曲げない。

それは、鉱石よりも固い意志だ。

私は、ため息をつく。

そして。

「本当に行くんだな」

最後に念を押すように義娘を見る。

しっかりと頷く義娘に。

「儂が思っていたのとは、違う逃げ方だったが、まぁ逃げたと言えば逃げた事になるのか」

私はそう呟くように言うと、義娘に一つのカバンを手渡す。

背中に担ぐようにして持つこのバックは、ドワーフの秘宝でもある。

空間収納のスキルを魔法として確立した、はるか昔の神の子が作った【無限に入るリュック】と言うアイテムだ。

ドワーフの村でも、2個しかないものの一個であり、受け継いできた物でもある。

「義父さん。これって」

驚いた顔をする義娘に。

「これくらいしか、してやれる事はないからの。幸い、シュンが置いていってくれた水や食料が大量にある。それを入れてあるから、1年は歩けると思うわ」

私はゆっくりと笑う。

「行って来るがいい。神返しをはねのけた神の子は、自由じゃ。何をするのも、誰を追いかけるのも」

私は、ゆっくりと義娘の目を見つめる。

「何をするにしても、自分で決めなさい」

ただ、それだけを伝えると。

娘は私の頬にキスをして、お礼を言ったのだった。

まったく、酒を飲む時間すら与えてくれんとは、親不孝な娘じゃ。


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