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優しくない世界に転生した。精一杯生きてやる。~創世記の英雄は転生者~  作者: こげら
第2章 フェーロン共和国編 あらたな冒険
125/312

幕間 名も無き村が赤く染まる日

グロ回ですっ!

閲覧は自己責任でお願いしますっ!

「魔物が来たっ!」

そんな叫びを聞いたのはいつだっただろうか。

私の息子達は、武器をそれぞれ持って出て行った。

最初に来たのは、オオカミ達だっただろうか。

遠吠えが聞こえる中、私は村の中央の大屋敷に避難していた。

戦争ばかりのこの国では、避難所として、子供や女性が隠れていられる屋敷が必ず作られている。

避難所に隠れていたら

外から、喜びの歓声が聞こえる。

オオカミの声も聞こえなくなった。

倒せたみたいだ。

そう私が思った時。

地面が揺れた。

今まで知らない感覚。

「なんだ!あの化け物は!」

「デカすぎるっ!化け物だっ!」

「あんなのどうしろって言うんだよっ!」

外から聞こえる叫び声は、絶望に満ちていた。


次に私は見たのは。

男の悲鳴とともに、弾き飛ばされる避難所の扉と。

骨の犬に乗っている、犬みたいな顔の魔物。

ニヤリとその魔物が笑った気がした。

私は、嫌な予感がして裏口から逃げ出した。

何人かの女の子と、子供も逃げたと思う。

避難所の中からは、呻き声と、鳴き声しか聞こえて来ない。

中で何が起きているのかは分からない。

「ママ〜!」

息子の叫び声に、立ち止まる。

「タルっ!どこっ!?」

私が叫んだ時。


目の前に、両足が無くなって、倒れている息子がいた。

私が駆け寄ろうとした時。

小屋よりも大きな足が、タルを踏み潰した。


その足元から、裏側からイノシシが走ってくるのが見える。

私は、涙を流しながら走る。

なんで。

どうして。

私が何か悪い事をしたの?

なんで、子どもたちが死ななきゃならないの!


私が世の中の理不尽さに怒った時。

私は空中に飛ばされた。

イノシシの体当たりを受けたみたい。

体が。

激しく叩きつけられた、全身が痛い。

ふと顔を上げると、思い出の小屋の前だった。

年甲斐も無く、好きになってしまった、あの人と過ごした小屋。

思わず、小屋に手を伸ばす。

しかし、小屋から出て来たのは、犬の頭をした魔物。

ニヤリとその魔物は、長い長い爪のようなものを取り出す。

私は、思わず、お腹を抑える。

足は動かない。

折れたのかも知れない。

犬は私をニヤニャと見ながら、頭を掴み、体を起こし、爪を私のお腹に、、、



コボルトは、目の前の人間から戦利品を取り出し、気分が良かった。

小さな小さな人間。

やっと手足が出てきたくらいか。

コレクションにするならちょうどいい。

そんな事を考え喜んでいると。

「それは、こっちに貰おうかな」

黒い学生服を着た、青年がコボルトに声をかける。

「【遺伝子結合】盗む事も、コピーする事も出来ない神のスキルみたいだけど、似た事は出来そうだからね。転生者や転移者の子供なら、さらに上手く行く可能性も上がるみたいだし」

コボルトの手の中で小さく動く胎児を見て、笑う青年。

「転生者の子供はエイリアンみたいだね。すごい生命力だ」

コボルトが、怒り、青年を殴ろうとするが。

その頭が、一瞬で吹き飛ぶ。

「素直に渡してくれればいいのに。それにしても」

青年は、目の前の女性に目を向ける。

子供を取られまいと、抵抗したのか、両手がちぎれかけている。

その片手は、小屋に伸びていた。

両足は、ちぎれ飛び無くなっている。

しかし。

子供を守ろうとする母親の壮絶ながら、例えようも無い美しさを持った姿がそこにあった。


「君の名前も知らないけど、敬意を持って」

青年は、小屋の前に彼女を座らせ、腕をお腹に寄せる。

そして、魔除けの結界を彼女に張る。


「【皇の】」

作り上げた芸術作品に納得し、青年が、彼女を見つめていると、ゴスロリ服の少女が声をかけて来る。

「【明星の】実験は成功だ。隣の国にしかいない、ジャイアントバッファロー、コボルト、ワイルドピックの召喚が出来た」

青年は、穏やかに答える。

「その手の中の物は?赤ちゃんいるなら、【皇の】子ならいっぱい生むよ?」

「お前との子は、大事に育てたいからな」

【明星の】に口吻をすると、青年は、笑いながら、帰るか。と呟く。

少女は、トロンとした目をしながら頷き、二人は寄り添いながら、空中へと飛んで行った。


その後。

【皇の】に倒されたコボルトの肉はオオカミの魔物に食い荒らされ、消えて行く。


生き残った別のコボルトは、体の一部をくり抜いた女性達を抱えて、平原に消えて行く。


さらにゲートから出て来たオークまでが、人をさらい、人を食べ。

そして、血の饗宴が収まった時。村には何もいなくなっていた。



小屋と、その前に座るスライ以外には。

ただ、赤く赤く村は染まっていた。


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