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失意の中で。

少し18禁近い記述があります。 

第1章は、子供だから、周りに振り回されるような書き方をして見たかったのですが、チカラ不足ですみません。

これから、第2章開始です。引き続き読んでいただけたら、本当の本当に嬉しい限りですっ。

小さな村。その入り口の前で、一人の青年が倒れていた。

「人?お兄さん、生きてる?」

子供が、倒れている青年を揺さぶる。

しかし、反応はなかった。

「ママー、人が倒れてるっ!」

子供の声に、走ってきた女性は、30代のぽっちゃりした女性であった。

「あら、冒険者さんかしら。剣も持ってないみたいだけど、とりあえず、家に連れて帰りましょう。

お兄さんを呼んで来てちょうだい。タル」

タルと呼ばれた少年は、うん。と元気に返事をして、畑の方へと走って行く。

畑からやって来た、数名の男性に支えられながら、青年は、家の中へと連れられて行くのだった。




俺はベッドの上で目が覚めた。

周りを見るも、知らない場所だった。

まったく見た事のない調度品や、カーテンが揺れている。

自分の体を見るも、盗まれたものは無い。

むしろ服すら着てない。

まあ、今の俺にとっては、何か無くなっても気にもならない。


起き上がり、痛む頭を抱えているとふと、女性の声がした。

「あら、起きたのですか?どうぞ。お食べくださいな。今まで、何も食べてないでしょう?」

そっと、豆と、肉の入ったスープを出される。

昔の記憶がよみがえる。

配達のおばさんが出してくれていた豆のスープ。

塩味しかないけれど、学生時代も、好きで良く食べていた。


ミュアは、キノコのスープが多かったから、久しぶりに食べる味だ。

一口食べ、思わず涙が出る。


思わず、ミュアのスープが恋しくなってしまう。

あの味をまた欲しいと思ってしまう。

もう、無理なのに。

もう、いないのに。



「何があったのか、知りませんが、ゆっくりされてください。ここは名前も知られていないような村ですが、食べ物はいっぱいありますから」

スープを前にして、号泣していたらしい。


なのに、女性はにこやかに笑う。

俺は、女性に背を向けて、ゆっくりと頭を下げるしか無かった。



女性は、夕方になるとこの家に来て、俺の世話をしてくれるようになった。

女性の名前は、スライと言い、ここで生まれてずっとここで暮らしている女性らしい。


俺が倒れていたのは、今までいた、ゼイロス帝国の隣の国。

エルフの森を抜けて、西の砦の先にあった西の森を抜けたさらに先にある、フェーロン共和国の端にある村のようであった。


どうやってここまで来たのか、正直記憶がない。

いつエルフの里を出たのか、結界をどうやってもう一度渡ったのか、まったく記憶が曖昧になっていた。

女性から聞いた様子からは、数週間、何も食べていなかったのではないかと言われたが、記憶が無いのだから、わからない。


とにかく、ぼろぼろになっていた俺の体は、歩くだけで悲鳴を上げる。

部屋の中でただ、ぼーっとしていると、スライから、散歩でもしてみたらと言われ、ゆっくりと外を歩いてみる事にした。

村の中を軽く歩くだけで体がきしむ。


村の先には、畑があり人の身長くらいの木から大量の豆が採れているのが見えた。

 さらに、その向こうには、果物のような木や、野菜のような木も見える。


村の中をちらほらと、エルフの里の中にいた、小さいウサギや、鳥のような小動物が走って行くのが見える。

村を歩いていると、数人の子供が手を振って挨拶してくれる。


男性は、狩りに行くらしく日中はほとんど村の中にいなかった。

のどかな、穏やかな村。

村の中を流れる、用水路の水を見ながら、俺は、ただのんびりと過ごしていた。


夕方になり、家に戻るとスライさんが食事を作ってくれる。

ここには行商人とか来るのか尋ねてみると、フェーロン共和国では、村や町は独立していて、ほとんど行き来は無いとの事だった。

じゃあ、足りないものはどうしているのかと言うと。

時折来る冒険者さんから買ったり、荷物の搬送、移送をお願いしているとの事で、

もちろん、相手が冒険者であるからその依頼は達成されない事が多く、荷物もなくなる可能性が高いが、フェーロン共和国の特性上、そういった冒険者は仕事がすぐに無くなり、いなくなるため、本当に困った事にはならないそうなのだ。


「本当に大切な荷物は、しっかりした冒険者さんにお願いしますから、けっこう、懇意にしている冒険者さんはみなさん知っておられるのですよ」


そう言い笑う スライさん。

いろいろと、俺の国と違う冒険者事情も聞けたところで。

「あなたも、冒険者さんなのでしょう?見たところ、あまりこの辺りにはいない冒険者さんみたいだけど」

そういわれて、再び頭が痛くなり、顔を覆う。

「何か事情があるみたいですけど、私たちは、冒険者さんにいっぱい助けていただいているから、困っていたら助けて上げるのが、普通なの。だから、遠慮しないでいてくださいね」

スライさんはそう言うと、部屋の奥に下がって行く。


奥から、大きな桶と、手ぬぐいを持って来て、俺の体を拭いてくれる。

背中を拭く時に、少し手が止まるのはいつもの事だ。

昔にうけた傷が残っているのだろう。


そのまま、体を拭いてくれたところで、スライさんが今までにしていなかった事をし始める。

そう。自分の服を脱ぎ始めたのだ。

「こんな体で、申し訳ないのですが、私を一晩、いかがでしょうか?」

肌着になって、呟くように言われたその一言が、頭痛と、ぼやっとした頭の中で、どこか遠くの世界の話のように聞こえるのだった。


フェーロン共和国は、乱世の中世ヨーロッパ風に近い世界観です。闇が深いです。

国そのものは、独立した都市国家と、周りの村々といった構成になってます。

あと、2部から、シュンが本当の意味で大人になり、ふんいきが変わっています。


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