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突入

「始まった」


ダルワンが、城を文字通り飛び越えて、俺たちの方へ来て、報告する。


城の裏側、隠し通路の中だと、全く戦いの音は聞こえない。


「改めて、私達の任務を伝える。監禁、もしくは拘留されている王族の確保。シュリフ将軍の確保、もしくは討伐。守備兵との戦闘は極力抑えたいが、戦闘になれば仕方ない。切り捨てて構わないとの事だ。移動は、私と、部下5名。ダルワン殿と部下5名で探索する。リンと、シュン殿は、遊撃として、しらみつぶしに探して欲しい」


サラの言葉に、うなずく。

サラ隊は、昔のサラさんの部下、20名とダルワン、俺、サラ、リンだけだ。


ちなみに、リンは、俺の腕を掴んで離してくれない。


「離すと、すぐどっか行くでしょ?」

と笑われてしまっては、されるがままになるしかなかった。


小さくまとまりながら、隠し通路から城の中に入り、広間に出る。


サラは、素早く編成を組み直すと、ダルワン隊と二手に別れて、走り出した。


取り残される俺とリン。


「二人きりになれたし、エッチな事する?」

「場所をわきまえろ」


思わず強めに突っ込みを入れる。


「じゃ、落ち着いたら襲ってねっ」

リンのアピールにため息が漏れる。


とりあえず、俺は、マップを開く。


リン達にもまだ話していない、マップと、データベースさんは、素早く仕事をしてくれる。


城の中の、隠し通路、隠し部屋が全てマップに記載されていく。


本当に便利というか、反則だよな。

明らかなカンニングを実感しながら、歩きはじめるのだった。


「シュン君あったよ〜」

明らかに分かるはずもない隠し扉の開け方を、あっさり見つけ、開けて行くリン。


今も、壁の右下にあるスイッチを、30秒近く押さないと現れない本スイッチを押して、本棚の留め具が外れ、後ろに行けるようになっていた。


隠し部屋やら、扉の位置は分かっても、解除の方法やら、開け方は分からないから、リンの手際の良さには、呆れるばかりだった。


しかし、開けては見るものの、全て外れだった。


「わぁ!朱玉の瞳じゃないのっ!白金貨10枚(1億)はするやつよっ!」


いや、リンにとっては大当たりか。

ほくほく顔で嬉しそうに懐に入れるリンの幸せそうな顔を見ていたら、何も言えなかった。


そんなこんなで、城の中を探索(物色?)していると、城の兵士が走って来るのが見える。


しかし、リンは即座に、壁を蹴り上がり、天井からその兵士の頭に足蹴りを行い、沈黙させる。


「だからっ!無茶するなよっ!」

俺は思わず叫ぶ。

一瞬リンに強化魔法をかけるのが遅れていたら、サーペントのレギンスアーマーがあるとはいえ、多分リンの方が怪我をしていた。


「え〜。だってシュン君がなんとかしてくれるゃん」

すぐにくっついて来ようとするリンをかわす。


「う〜。なかなか手強い」


リンのつぶやきは無視をして、次の扉を開ける。


マップ上では、あちこちでサラの部隊が戦っているのが分かる。


時折、激しい剣撃も聞こえて来る。

急がないとな。

〘時間が経つと、数が少ない我々は、圧倒的に不利になる〙

その言葉が頭をよぎる。

「焦る必要はないよ。大丈夫。サラは、いい指揮官だもの」


足が早くなった俺を、そっと引き止めるリン。


良くマップを見たら、俺たちがどこにいるのか、分かっているかのように、俺たちが、周り易いようにサラの兵士達が配置されているのが分かる。


さっき現れた兵士は、予想外の動きをしていた、はぐれ兵士のようだった。


「すごいな」


思わずつぶやくと

「でしょ?サラは本当にすごいと思うょ。だからさっ。半コル(1時間)くらいいちゃいちゃしても、大丈夫だよ?」


リンの最後の言葉は完全に無視して、次の部屋に向かうのだった。


「おばさんの相手もしてよねっ!」

リンが叫びながら走って来る。


正直、すごく魅力的な人だと思う。

元気ももらえる。

けど。

ミュアが待ってる。


俺は、そんな事を考えながら、珍しく人がいると思われる次の扉を開けると。


「はあっ!」

いきなり斬りかかって来た。


横に躱すと、こちらを睨みつけて来る金髪の青年。

「キサマかっ!またキサマかっ!何故、キサマがいるっ!」

わけの分からない事を叫ぶ、アラス シュリフ


「自己中だからさっ、相手にされなくなるのよ」

リンが、呆れた顔でつぶやく。


アラスは強い。俺が学生時代の時は、その剣筋が見えなかった。

しかし今。


目が魔物のスピードに慣れたのか、アラスの動きが良く見える。


アシダカの数十倍遅い。

予備の武器として持っているショートソードで、軽く弾く。

見てから動いても全然間に合う。

まだ、ロックゴーレムの尻尾の方が速い。


「やっぱりシュン君、化け物だょ」

後ろから、リンのつぶやきも聞こえるけど、気にしない。


数回、剣を交えていると、アラスは突然吠えた。


捨て身の一撃。


しかし、それすら遅い。

俺はあっさりと剣先をさばき、浮いた体に当て身を入れる。


アラスがうずくまった時、数名の足音が聞こえて来た。


「アラス シュリフ。やっと見つけたぞ。もう終わりだっ。あなたが、拐った方々の居場所を吐いてもらおうか」


凛とした声で、サラは金髪騎士に言葉を叩きつけるのだった。



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