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奪還作戦

PV(アクセス数)15000 超えました。

見て下される方、興味を持って頂いた方、本当にありがとうございます。

読みにくかったり、誤字、脱字は多いと思いますが、これからも、見ていただければ、本当にうれしく思います。できれば、ご報告いただければ、もっと嬉しいです。

日も傾きかけ始めた普通のいつもと変わりの無い午後のある日。 

城の正門の手前。

大通りと城への道が交わる交差点に、ふらりと、黒いフードを被った男が突然現れた。

城へと進む男に、警備の兵士達4人は槍を構える。

「何者だっ!ここから先は、行かれはしないぞっ!」


槍を構えた兵士達に。


「ふふふ。古い知り合いに会いに来ただけさぁ。」

男は、不気味に笑う。


兵士達が、あまりの不気味さに槍を突き出した瞬間。

ふわっと何か甘い香りがあたり一面に広がり、その匂いを嗅いだ兵士達は、直ぐに全員その場に倒れていた。


「やっぱり、お前は、えげつないな」

隠れていたのか、近くの建物の影から出てきたバルの部下達に手早く縛られて行く兵士達を尻目に、同じく建物の影から出て来たダルワンが、腰の酒を煽りながら、つぶやく。


「ダルワンも気持ちよくなる薬を酒に入れてやろうか?」

「絶対イヤだな。目が、覚めなくなるわ」


暗殺者のような真っ黒いフードをかぶった格好のネクロは、ダルワンの言葉に笑う。

その後、真剣な顔で、ダルワンを見る。


「ふふふ。早くいかないと、置いて行かれるぞぉ」

真顔で笑うネクロ。

「分かってるよ。アイツを止めてやらないとな」

ダルワンは、肩をすくめると、飛び上がる。


ネクロは、魔法で飛び上がりつつあるダルワンを見つめる。

「シュリフに、一撃くらわせて目を覚まさせてほしい。」


その言葉に軽く手を振って答えるダルワン。


作戦開始の連絡のために、シュン達のところへ飛んで行ったダルワンの姿を目で見て確認したバル隊長は、縛り上げた門番の兵士達を近くに転がし、叫びながら、正門前まで、兵士とともに歩きだす。


「西方から来た。西方統括領主の、バルクルス、シュリフであるっ!王都守護責任者である、バース・シュリフ将軍に、話しがあるっ!」


全く反応の無い、正門。

「もう一度言うっ!シュリフ将軍に、謀反の疑いありっ!真偽を問いたいっ!開けよっ!」


バル隊長の2回目の叫び声とともに、ギルドマスター、アル、ヒウマ、にゃんが、バル隊長の後ろに現れる。


バル隊長が、ヒウマに目配せを行うと、にゃんは、獣に変化する。

130センチくらいの身長しか無い女の子が、2メートル近い獣に変化するのは、本当に見ていて不思議である。


獣人は、魔物に近いと言われ、全て殺すべきと言う意見が出てくるのも分かる気がする。


魔力を撒き散らしながら変化するにゃんさんを見ながら、ふと今の状況とは関係無い話を思い出すが、首を小さく振り、バル隊長は、目の前の事に集中する。


「再度言うっ!門を開けよっ!」


しかし、扉は開かず。


しばらくして城の扉が開いた時、その中には、城の守備兵士が、フル装備で集まっていた。


「バルクス卿には、ご機嫌麗しゅうおめでたくはありますが、この今の現状。どう見ても、あなたが、反乱軍としか見えませぬ。お引取りください」

兵士の先頭に立つ、老人の騎士がバルを見つめる。


「引くのは、そちらだっ!ハウ殿っ!こちらは、確かなる調査の下に来ているっ!さらに、ギルドマスターでもある、ゼイロ様もおられるっ!アル様も今の状況に心を痛めておられるっ!即刻、将軍を引き渡していただきたいっ!」


「引く気はございませぬか。なら、この老体。久しぶりにお手合わせいたしましょうや。バル坊様なら、相手に不足なしっ!」


剣を抜く老兵。


「西方の、大攻勢を食い止めたその力。見せていただきましょうや」


張り裂けそうな、殺気の中。

バル隊長は、真っ赤な剣を抜く。


「いいだろう。私とていつまでも、坊ではない。私の力と、西方の武器、受けて見るがいい。ハウ殿」

バル隊長は、真っ赤に光りだす剣を脇に構え、二人は、ぶつかる。


ハウ隊長の鉄の剣は、きれいに切られ、空中に刃が飛ぶ。

唖然としているハウ隊長を尻目に、バル隊長は剣を城の兵士に突きつけ。

「突撃するっ!全軍全速力で、突破せよっ!」

その一言で、一斉にうす蒼く光る剣を抜くバル隊。


一斉に雄叫びを上げながら、正門へ走り出した。


「目的は、逆賊、アラスと、シュリフ将軍の首のみっ!抵抗激しければ、撫で切りで構わんが、極力、殺すなっ!」


一気に、数人の兵士の首を跳ねる、バル隊長。

その、説得力の全く無い姿に、他の兵士たちも、相手の手足を切り飛ばす。


一瞬、切り口は凍り、血しぶきとともに氷は吹き飛ぶ。


圧倒的な装備の差の前で、殺戮が始まろうとしていた。


「さあ。これだけ派手に、趣味でも無い事をやってあげているのだからね、そちらも、きちんと仕事をこなして欲しいね。頼むよ。シュン君」


バル隊長は、小さくつぶやきながら、相手の鎧ごと切り裂くのだった。



ーーーーーーーーーーー

始まった。

俺は、にゃんの上で震えていた。


にゃんが、小さく喉を鳴らす。

本当なら、俺をなめたいようだが、今は作戦中だ。

大きな首を撫で、大丈夫だと伝える。


人殺しも、血も嫌いだ。

だが、この世界に来て、にゃんに出合い、数え切れないほどの魔物を、人を殺して来た。


にゃんがいなければ、とっくにおかしくなっていたと思う。

一途に。

愛情をくれるにゃんに、何が返せるのか。


獣人は、獣化ができる者が多く、怖がられる。


俺も、最近になって、にゃんがいかに怖がられるのか、分かるようになって来た。


しかし。

「にゃんは、にゃんだものな」


体の震えが治まって来た時。


数十本の矢が飛んで来た。


「街中だぞっ!」

俺は叫びながら、岩の鎧を身にまとう。

アルを守りながら、岩の手で矢を叩き落とし。


にゃんを見て、震えている、兵士達を見つけた。


「冒険者、Cランクのヒウマだっ!引くか、戦うか選べよっ!」


俺の叫びと、にゃんの雄叫びで。


敵の兵士たちは、あっさりと逃げ出した。


俺は、うっすらとにゃんとの将来を考え初めていた。



ーーーーーーーーーー


始まりました。

顔が真っ青なロア様が、兵士達のぶつかり合いを見ています。


バル隊長さんから、私達は、城に入ってからが仕事と言われ、今はバル隊長の部隊の戦いを見ているだけです。


ロア様は、普段からあまり無茶な命令はされません。

だから、バル隊長の指揮に思うところがあるのでしょう。

しかし、私からみたら、的確な指示です。


怯んだ兵士達は、逃げ出す者すら出ています。

私は、片手でロア様の手を握り。

片手に、杖を握りしめ。


ああ、そういえば、シュン君と話しをしていなかった事を思い出しました。


きちんと、改めて、挨拶をしなきゃ。


ーーーーーーーーーーーーー


始まってしまった。

僕には、とてもではないけど、できない命令をさらっとしてしまう、バル隊長に、嫉妬してしまう。


人殺しを、命令で行わせるなんて、僕には無理だ。

自分が罪を背負うのと、部下の全ての罪を背負うのでは、全く違う。


ふと、ライナが僕の手を握ってくれる。

南の攻略はまだ終わっていない。

けど、何度も折れそうになる、僕を支えてくれたのは、この手だった。

だから、もう一度。


ライナの。妻の手を握り返しながら、僕は、戦況を見守るのだった。


アル王子をアムと書いていました。すみません。

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