黄昏時のトロイメライ
花の盛りは過ぎるも、それは忘れた頃に……。
どうして 今なのかと
聞いても仕方のないことを
つぶやく
ひとりここまで
走って 走って 走って
曲がりくねった道の先で
出逢った貴方を
運命なんて言葉で
手を伸ばしてはいけないのだと
ちっぽけな意地でも張っていないと
足がすくんでしまいそうで
友達のままで
もう十分すぎるほど幸せなのだと
精一杯つよがっていないと
今にも泣き出してしまいそうで
大人になった私が
無傷であるはずもなく
いくら体をきれいに洗ったところで
あの頃には戻れない
それでも
産毛の一本でもいいから
真っ白なわたしが残っていないかと
洗い続ける
くすんだ肌に
行き場を失った愛が
彷徨い続ける
黄昏時のトロイメライ
あともう少しの間だけ
聴いていたいの