#2遥月達は出会う
4月 入学式
『新入生答辞。新入生代表 花宮遥月』
「はい」
返事をした私に周囲の視線が集まる。
その視線をものともせず、真っ直ぐに壇上へ向かう。
この後のことは分かっています。
「うわ、あの子綺麗ー」
「可愛いー」
「俺、告白してくる」
予想通りでしたね。
そう、私、綺麗なんです。
幼少の頃から言われ続けて来ましたので、そんなことは分かっているのです。
遥月は御令嬢だということもあり、幼少の頃から可愛い、綺麗と言われ続けてきた。
それだけでなく、幼稚園、小学校、中学校と告白された回数は両手、両足を使っても足りない。
それがこのような自信となっているのだ。
はぁ、しばらくは告白ラッシュですかね...
気が重いです...
そんなことを思っているうちに壇上へついてしまいました。
さて、まずはお任せいただいたことをキッチリと全うするといたしますか。
「新入生答辞、花宮遥月。
温かな日差しとともに吹く風が心地よく感じられるようになった今日、名門瑞蘭学園に入学を許されたことをとても嬉しく思います。
高校生活の第一歩を踏み出し、夢と希望そして不安と心配で胸がいっぱいです。これから始まる高校生活の中でたくさんの困難にぶち当たることでしょう。
一つ一つの困難にしっかり向き合い自分自身で解決することができるよう精進していきます。
私たち、新入生一同は瑞蘭生としての自覚と責任感を持ち、共に励まし合って高め合っていく仲間になれるよう努力していくことを誓います。
また、先輩、先生方にはそんな私達を温かく見守っていただけますようお願い申し上げます。」
私は一礼をして壇上をおります。
周りからは拍手をいただけたようで、一安心です。
「ええと、Aですか」
私は廊下に張り出されていた張り紙を確認して自分のクラスへ向かいます。
「ここですね」
遥月はクラスの吊り札を確認してクラスへ入る。
そういえば、クラス名や室名が書いてあるあの札、なんと言うのでしょうか?
「座席は...」
黒板に書いてある私の名前を見つけて、自分の席へ向かいます。
窓際、一番後ろの席。
なんか、ベタですね。
入学式の後、先生が来るまでのこの時間は苦手です。
息苦しさを感じてしまいます。
家の方のパーティーよりはいいですが。
そんなことを考えていた私の横の席、その席の持ち主が現れたようです。
教室に入ってきた一人の男の子、その子が何故横の席の方だと分かったのは、その席以外、全て埋まっていたからです。
それと、入ってきた時に教室がざわついたのもありますね。主に女の子ですね。
「ねぇ、あの人、格好よくない?」
そんな声が聞こえてきます。
小さい声ですが聞こえていたと思われるその方は気にも止めず、私の横の席に着きます。
...この方慣れていますね。
お読みいただきありがとうございます。
作者の鈴村嵐夢です。
この物語は遥月目線、ナレーション、まだ出てきてはいませんが湊目線の3方向から進めていきます。
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