鏡よ鏡
「鏡よ鏡、鏡さん、世界で一番美しいのは誰?」
「それはあなたです。
美しい黒髪、
真っすぐで透き通った眼差し、
純白とも言える肌、
スバらしいドレス、
そのファッションセンス、
世界一はあなた様です」
鏡はいつものように答えた。
その答えに満足したように、彼女はほほ笑んだ。
そして、彼女は足取り軽く、屋敷を後にした。
これから舞踏会にいくのだろうか。
数時間後、鏡ある部屋のドアが開いた。
彼女は戻ってきたようだ。
頬が少し赤い。
舞踏会で主役になっていたかのような・・・
「鏡、電気をつけて」
彼女は言った。
「了解いたしました」
鏡が答えると、明かりが灯る。
「お風呂の用意もできております」
彼女はソファにドカッと座る。
「テレビっ」
鏡は何も言わず、すぐに反応にテレビをつけた。
もちろん、彼女が毎週見ている深夜番組にチャンネルを合わせて。
番組が始まるまで2分、CM中、鏡は言った。
「明日の起床は、いつもと同じ、7時でよろしいでしょうか」
彼女は答えず、小さく頷いた。
「了解しました」
鏡は言った。
というところで、映像が終わった。
「どうでしょう。わが社の製品は。
グルグル社のアレクサン太に対抗した 音声サービスは」
『鏡よ鏡』は日本の電子機器メーカーが開発したEcho端末だった。
音声により照明をつけたり、テレビをつけたり、
エアコンをコントロールしたりすることができるのだ。
それに女王様のような気分も味わえる優れモノ、とプレゼンを締めくくった。