表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世の箱庭  作者: みなみ 陽
いつもとは違う日常の始まり
6/15

星谷大和

 あれから数日後、宙彦はドラマを見ていた。それは、眞白がわざわざ録画してまで見ているというあのドラマだ。少し前までは興味もなかったのに、眞白の話を聞いてからというものなんとなく気になって仕方がないのだ。


 ――この主人公の役の人がヒロイン役をねぇ……えげつね。


 宙彦は事件現場を想像する。床の上で倒れ、体の至る所から出血している。死と痛み、恐怖に顔を歪ませた美しい女優。全部、宙彦の想像に過ぎない。だが、宙彦には何故かそれがリアルに見えた。まるで、記憶の中から現れたみたいだった。


『あれが夏の大三角?』

『そうだよ。あれがベガ』

『ベガ?』

『嗚呼、その少し離れた所にあるのがアルタイルとデネブ。見えるかい?』

『見えるわ! 綺麗ね』


 主人公とヒロインが山から星空を眺めるデートをしているシーンだ。夏の大三角を見に来たようで、イチャイチャとそんな会話をしている。その二人の楽しそうな表情からは、とてもその後の惨劇の様子は想像出来ない。


 ――調べてみるか。


 宙彦はそう思った。その二人に一体何があったのか、興味が湧いてきたためだ。

 宙彦は机に置いていたスマホを手に取って、検索ボックスに文字を入力しようとした。だが――


 ――あ、タイトル知らね。二人の名前、分かんね。最後のエンドロール的なやつ待つしか……。


「痛っ!」


 激しい痛みが宙彦を襲った。まるで脳を誰かに力強く掴まれたような、そんな経験は一切ないが例えるのであればそんな感覚であった。その痛みは段々と強くなっていく。


「はぁ……はぁ……しんど……」


 耳鳴りも酷く、視界がはっきりとしない。宙彦はスマホをつつくのをやめて、ソファにもたれかかった。

***

 突然、宙彦は意識を取り戻した。テレビはもうドラマではなくて、通販番組になっていた。時間を確認すると11時、ドラマが終わって一時間経過していた。


 ――寝てたのか、俺。


 宙彦は体を起こし、首の骨を鳴らす。なんとなく習慣になってしまっていた。この音が好きなのも理由である。そして、スマホを手に取り何かないか確認する。クラスの女子からなんか来ていたが、今はそんなに興味がないのでスルーをした。スマホのロックを解除し、検索ボックスに触れてみた。すると――


『星谷 大和』


「は? 何これ」


 検索履歴の一番上にはその名前が残っていた。つまり、それを検索したということになる。しかし、宙彦にはそれを検索した記憶はない。というか、先ほどまで眠っていたのに検索出来る訳がない。


 ――しかも星谷って……俺と同じ苗字じゃん。え、マジで何これ。


 気味の悪さを宙彦は感じた。


「姉ちゃんか? いや……指紋認証だしな。ありえないか……怖いんだけど。マジ何これ」


 恐る恐るその名前をタップする。すると、検索ボックスにはその名前が入った。その隣にある検索ボタンを押して、何が表示されるのを待った。クルクルと読み込みを知らせる絵が回る。それが普段は相当なストレスだが、今はそうでもない。この待つ時間が宙彦に心の準備をさせてくれたからだ。


「出た」


 一番最初に表示されたものを見て、宙彦は愕然とした。


『闇に葬られた芸能界最大の事件!? 犯人星谷大和とは一体何者か』


 その名前は、宙彦が眠ってしまう前探すつもりでいたドラマの主人公のものであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ