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ダンジョン

洞窟探検?



はい、ということで王都までの旅3日目ですね。今日も変わらず早朝からの出発で、フェレサは馬車内で熟睡中。今日の天気は珍しく雨、そのため俺のテンションはかなり高めです!

いや〜地球にいた頃からそうだったんが俺は雨か曇りだとテンションが上がる。何故かって?それはもちろん俺の心が病んでいるからさ!と、いった感じで気分は普段と比べかなり高い。…いや、本当はちょっと大げさにテンション上げてやってましたけども、実際に天気は雨か曇りの方が好きだ。


ま、どうでもいいことなんだけど。ただどうでもいいことを考えてしまうくらい退屈ではある。はあ〜俺も寝ようかな。


「夜、俺寝るから野営地に着くまで起こさないでくれ。もちろん昼食の時もな」


「え、はい。わかりました」


さて、それでは寝ますかね。寝てれば時間の流れもそんなに意識せずに済むしなぁ………。

こうして俺は自身の眠気に身を任せた。


ーーーー

ーーー

ーー



ガタンッ

物音で眼がさめる。


「ん〜、…なんだもう野営地に着いたのか?」

寝起のために重くなった瞼を開け、周囲を見渡し……たんだがここどこですか?

なんか洞窟のような場所にいるんだけど?え、俺は知らないうちに捨てられてしまったんですか?


「主様、お目覚めになられましたか」

ノーメンがいました、いや気づいてたけど。


「ノーメン、これはどういうことだ?」

寝てたらいつの間にか変なところに来ていた。ここが野営地ってわけじゃないし、そもそも野営地は森林地帯だし、どうなってる?これはすこし熟睡しすぎてしまったようだ。普段は何かあればすぐに起きるんだが、というか寝てても対処できるんだが今日は永遠に眠りにつく勢いで寝てしまった。いや、そうなったらそれはもうすでに死んでるな……ふぅ、やっぱり今日は妙にテンションが高い、…これは自分でもさすがにわかる、が特に自重はしない。


「それが、野営地である森林地帯に入り野営に適切な場所を探している途中、突如として私達が乗る馬車の真下に大穴が空いて馬車含め全員そこへ落ちてしまったんです」


まじか、というかそれで起きない俺ってどんだけ熟睡してたんだよ。しかもそれで起きないのになんでさっきの物音で起きる…。


「それで、今の状況は?」


「周囲を探索することになったのですが、主様を起こすなと夜先生が全員にすごい剣幕で仰ってその為私が主様のそばに残り他の方々は周囲の探索に行くことになりました。もう探索に出てから結構経ちますから、そろそろ戻ってくると思います」


夜さんよ、そこまで俺の言ったこと忠実に守らんでも、というかこの状況なら流石に起こそうよ、夜さん…。


「それで、地上から落ちてきたはずなのに上に穴がないのはなんでだ?」

そう、上から落ちてきたはずなのに洞窟の天井には穴がなく、ノーメンの魔法で灯りを作らなければここは真っ暗だ。


「私達がここに落ちてきたと同時にその穴は塞がってしまいました」


塞がった?


「いや、それにしてもお前らなら落ちる前になんとか出来たんじゃないか?魔法もあるだろうし」


「私も大穴が空いた瞬間に魔法を使用しました。しかし使えなかったのです。そのうえ落ちている間は体のいうことが一切効かず、本当にただ落ちるしかありませんでした」


「へえ、そうなのか」

なんだ、それ。夜やディルまでも抵抗できなかったって凄くないか、俺は寝てたからわからないけど。


「ノーメン、ここがどこだかわかるか?」


「いえ、私には…」


「多分、いや確実にここはダンジョンだと思うぞ」

夜達でさえ抗えない力、そしてこの洞窟内の様相、他にも空気中の魔力の濃度が地上に比べて高いなど理由はいくつかある。が一番の理由は俺が今まで見てきたダンジョンと似ているからだ。


「ダンジョン、ですか?」


「ああ、確実にそうだろうな」

しかしどうしようか。このまま俺の力ですぐに地上に戻るのもいいけど、それじゃあせっかくの面白い事が無駄になるし、…よし、しばらくここで遊んで行こう。

幸いルイーナの街に残してきた魔族の二人からの報告ではまだ魔王が企てる作戦の実行は先になりそうだしな。


「たぶん、周囲の探索に行ってる奴らもダンジョンだと気づくだろうから、帰ってきたら今後のことを話そう」


「はい」



そうして数分待つと探索に言っていた奴らが帰ってきた。ここは一本道になっていて、二手に別れての探索だったようだ。


「アキハ様、お目覚めになられたのですね」

戻ってきて早々起きている俺を見つけた夜が言う。なんか妙に満足気な顔をしてるな…。


「ああ、…それよりどうだったんだ?見てきたんだろ」


「僕たちの方は特に何もなかったよ。結構進んでみたんだけど同じような道が続いているだけだった」

ディルが答えた。


さてもう一方の道はどうだろうか

もう一方はスクロワ、コンクル、キュルムの三人で見てきたようで代表してスクロワが答える。


「こちらはここから少し進んだところに二手に別れる道があった。ただそこから先には進んでいないので奥がどうなっているのかはわからない」


「そっちも特にわかったことはなかったか…」

ディルがどうしたものかと考えている。


「少し、スクロワに聞きたい事があるんだが」


「なんだ」ギロッ

うわ話しかけただけで睨んできた。


「ガルマリア国王直轄地にはダンジョンがあるのか?」


「ダンジョン?……確か、1つだけあった筈だ」


「それじゃあここが多分そのダンジョンだろうな」


「「「え?!」」」

何人かの驚きの声が上がる。


「やはりそうか、薄々そうだと思っていたが…」


「僕もそうだと思うよ。前に入ったダンジョンと少し似てるしね、この洞窟」


「しかしどうする?とりあえずここから出ることが最終目標として、まずは進む方向をどうするかだが?」


ここで天井をぶち抜くって案を出した人はお仕置きです。まあここの洞窟を構成している鉱石は普通の鉱石と違い、魔力濃度の高い環境下にずっと置かれていふ、そのため強度はかなり高い。だからそんな案を出すバカはいないと思うが…。

いや、一人いたな。


「天井をぶち抜グファ!」

フェレサには少し黙っててもらおう。


「い、いきなり何するんだい!?」


「天井をぶち抜くなんてバカな考えを言った罰だ」


「む〜、じゃあ二手に別れていた方の道に行きたい」

自分の意見を否定されたばかりなのに良く提案できるな。


「よし、それじゃあこっちの一本道の方に進もう」


「え〜なんでよ」プンプン

わざとらしく頬を膨らませている。なんか最近ますます行動がバカっぽくなってきてないかこいつ。


「お前な、なんでわざわざ進んだ先でまたすぐに進む道を選ばなきゃいけない事がわかってる方を選ぶんだよ」

さっき言ってただろ。あっちは二手に道が別れてたって。またあっちでどっちに行くか迷いたいのかよ。


「た、確かに」


「ということで、こっちの道でいいか?」


全員に確認をし、了承を得る。どうやら反対意見はないようだ。ただまあスクロワは俺が喋ってると終始不機嫌だな。


進む道も決まって、早速ダンジョン探索が始まる。

あ、ちなみに馬車は二台とも俺のアイテムボックスにしまい、馬は一緒についてきている。

初めて見る人は大抵このアイテムボックスに馬車をしまうというのには驚く。今回も例外なく驚いていた。特にスクロワ達三人が驚いていたな。ディルはすごーいと驚きより関心が強いようだったがーー



ーーー歩き出して1時間ほど、別れ道が現われるわけでもなくずっと一本道が続いている。


「ぜんぜん出口に向かってる気がしない」

フェレサが溜息と共に呟く、しかし俺も同感だ。全然見てる景色が変わらん。


「これ、出れなかったらどうするだ?」

つい、口に出してしまった疑問。


「アキハさん、それは本当に想像すると怖いからやめて…」


言葉通り本当に想像してしまったのかフェレサが青い顔をしながら言ってきた。

いや、まあ本当に出口が見つからなかったらさすがに俺も無理矢理地上に出るよ。そんなに時間もかけられないしな。あんまり長居してたらダンジョンに潜ってる間に魔王の作戦が決行されかねないからな。


「み、皆さん!ここに魔法陣が!それに道はもうここで行き止まりのようです」


先頭を歩いていたコンクルがやっと希望が見えてきた、といった感じで魔法陣を指差す。


「ほ、本当だ」


「これでこの洞窟からも解放される〜」


「しかし、これは本当に安全なのか?第一転移の魔法陣かもわからない。何かの罠だということも」

フェレサが喜んでいる横で不安を口にするスクロワ、心配性だな。



「いや、俺が見た限り転移系統の魔法陣だ。どこに繋がってるのかはわからないが、ただ単純に魔法陣に足を踏み入れた者を転移するだけのものみたいだぞ、他に仕掛けはないみたいだ」


「「「………」」」


夜とノーメン以外の全員が突然黙る。というよりは驚いているのか?夜とノーメンはまあいつも黙っているか。


「どうした?」


「いや、普通魔法陣を見ただけじゃそこまで詳しくわかるはずないんだけど」


驚きつつディルが答える。


「へぇ、そうなのか」

まじ!?出来ないの?…これは本気でみんな普通に出来るのかと思ってた。できないんだ普通は、まあ俺は普通じゃないからいいんだけども。


「すごいです、アキハさん!」

コンクルがキラキラした眼差しで見てくる。安易に人を尊敬なんてするなと言ったが、昨日の訓練でさらに俺への尊敬度が高まったようだ。まあ結果こうなってしまったわけなんだが…もうどうでもいいや、面倒だし。


「まだわからないですよ、この人の言葉が信用できるかはわからない!」

案の定スクロワが突っかかってきた。



「はあ、それじゃあ俺が先に転移して証明してやるよ」

そう言って俺は魔法陣に足を踏み込む。


「「ちょっ!!」」


その瞬間、俺の周囲が光に包まれ俺は何処とも知らない場所へ転移した。


まだ王都には着きそうにないなぁ…

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