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2日目

勇者様!( ̄^ ̄)ゞ




王都への旅、2日目


朝食はディルが全員の分を作ってくれた。ディルも結構料理が好きなのだろうか。…そして朝食後はすぐに出発となった。


スクロワはどうやら自分から夜達に関わるつもりはないらしくフェレサなんかが話しかければ必要最低限のことしか喋らないといった感じだ。



それでも、やはり直接的に嫌っているという態度をとるのは俺だけのようだ。


1つ目の森林地帯を出発してから数時間、このまま何事もなく進めば大体午後七時ごろには野営地につくはずだ。


ガタガタガタ


本当に何も起きないな。あ、そういえばディルに聞きたいことがあるんだった。


「ディル、ちょっと聞きたいことがあるんだが」


カキィン!金属がぶつかり合う音が馬車内に響く


ディルとフェレサは俺がついさっき教えた『叩いてかぶってジャンケンぽん』という遊びを叩くのはナイフ、防ぐのもナイフで遊んでいるところだった。


「ん?何かな」


「いやこないだ試合した時、その時使ってた剣を聖霊王から貰ったって言ってただろ?その事を詳しく聞きたくてな」


「そういえばそんなことも言ったね、詳しくか…そんなたいした話じゃないけどいいの?」


「ああ、よろしく頼む」


そう言うとディルはこちらに体を向け話す体制に入る

遊び相手を取られたフェレサは少し拗ねた顔をこちらに向けてくる、がなんかイラッとくるな。


「フェレサはそんなに遊びたいのか〜、なら夜さんや遊び相手になっておやり」


「はい、存分に遊ばせていただけます」


「へ?い、いやちょっ、ちょ!なんでナイフをこっちに向けるの?ヨルハさん絶対本気で殺すつもりだよね!遊びだよ、遊び!」


「殺すわけないじゃないですか…馬車が汚れます」


「ひやぁーー!!」


まあこの二人は放っておこう。


「それじゃあ聞かせてくれよ、その剣と精霊王の事」


「うん、それじゃあまずはーーーー」


そこからのディルの話はとても興味深いものだった。


ディルの話の前にこの世界の精霊について少し話しておこう。



ーー精霊とは魔力というエネルギー自体に意識が宿りそれが形を成した存在。それはこの世界の理を表し、万物に通ずる様々な精霊が存在している。


精霊に寿命はなく、生まれるというよりは生じると言った方がいいだろう自然現象的な存在。その数多の精霊は精霊界と呼ばれるこの世界とは全くの別次元に存在し、この世界に存在する天界、魔界とはまた違うものだ。

精霊王という位は精霊の中でもっとも力の持つ者の称号だ。確か他にも位はあったがよく覚えていない。

現在この世界で精霊という存在がどの程度認知されているかはわからないが俺がアークとしてこの世界に存在していた時は全くと言っていいほど知られていなかった。


で、そんな中で俺は偶然、精霊王と出逢った。まあ俺がたまたまその精霊界に迷い込んでそこを治める精霊王に喧嘩を売っただけだったんだが…。

まあそれは良いとして、もし俺が知っている精霊王があの時代からずっと存在してきたのだとしたら、この世界の変わり様はなんなのか是非とも聞きに行きたい。今の所俺がいた頃の世界の記録というのはまったく残っていない、その理由ももしかしたらわかるかもしれないからな。


それでここからが本題であるディルの話なんだが、現在精霊界の存在を知っているのはエルフ族と一部の人々だけだそうだ。一部のというのはソーラスの街にいたカイさんのような精霊使いのことを言う。


そこで疑問なのが精霊使いが存在するならその情報が広まっていてもおかしくないんじゃないか、といことだった。だがディルが言うには精霊使いとは精霊と契約することによって成り立つものでその契約のなかに精霊界の一切の情報を漏らしてはならないという決まりがあるそうだ。そして精霊達は絶対に人前に姿を現さず、常に姿を消していてせいぜいが契約主の支援的存在だそうだ。

まあ俺みたいな少し特殊な奴らには姿を消していても見えてしまうようだが、それでもその契約などのおかげで精霊界の情報は広まっていないようだ。


そして俺が一番聞きたかった精霊王のことなんだが、結論から言うとまだおそらくとしか言えないがおそらく俺が知っている精霊王だった。その容姿、名前など他にも細かいところなど俺の知る精霊王と合致していた。それなら絶対近いうちに話を聞きに行かないとな。


だからディルにどうやったら会えるのか聞いたんだが、エルフ族が暮らすエンシャント大陸に1つだけある祭壇からしか精霊界へはいけないそうだ。それも大長老とかいう奴の許可がなければ行けないみたいで、これまた面倒くさい。何故エルフ族だけが精霊界の事を詳しく知っているのかも聞いたがディルにはわからないそうだ。


で、ディルと精霊王の関係だが、ディルがまだ幼少の頃、ディルは大長老が育ての親だったらしく、その関係で精霊界に繋がっている祭壇の場所は知っていたらしい。そして幼さ故のいたずら心からディルは精霊界へと足を踏み入れた。その時に精霊王と出会いその剣を渡され、強くなれと言われたそうだ。唐突に言い渡された言葉と剣に意味がわからず戸惑いながらも精霊界を後にしたディル。とうぜん大人達には酷く怒られたらしいんだが、ディルが精霊界で体験した事を話すと周囲のディルを見る目が一変した。後から聞いた事らしいんだが精霊界にはごく少数のものしか行くことができないらしい。そして大長老にはその精霊界に行ける者、精霊王に認められた者がなり、その当時幼いながらも精霊王に剣を貰ったディルが大長老候補に上がった。現在では大長老が亡くなった際には本国に戻ってそれを継がなければいけないと、溜息をつきながらディルは言っていた。


てことは大陸の統治者になるってことだろう、普通に凄いな、こいつ。


「まあ聞きたいことは聞けたよ、ありがとな。それになんかディルが意外に凄いということがわかった。性格は残念だけど」


「最後のは余計だよ!まあそれは自分でも思っていることだけど…。でも僕は正直言ってこのまま冒険者でいたかったんだよ。でもさ僕が大長老になることはあっちでは確定しちゃってるみたいなんだよね、まあ本当に大長老になっちゃったなら仕事放り出してくればいいだけなんだけどさ、はは!」


「のんきな奴だな」


「まあね、僕はわざわざ楽しくもない仕事はしたくないからね」


「それには同感だ」


「「ははははは!」」


ガタンッ


「主様、2つ目の野営地に着きました」

御者席からノーメンが言う。


予定より早く着いたな、まだだいたい6時前だ。ディルと話してたらあっという間だった。ちなみに夜とフェレサは俺とディルが話している間、ずっとあのゲームをやっていたようだ。フェレサは半強制的だったんだが夜にボコボコにされ今は完全にダウンしちゃっている。


さすが夜さん、フェレサに対して容赦がないっす!


野営地についてからの行動はほとんど昨日と一緒だ。ただそれは夕食までだが。


夕食後、予定より早く野営地についたためにできた時間を使って俺はあの三人に稽古をつけてやろうと思った。…んだが、スクロワには速攻で拒否された。他二人は隊長に言われたからなのか素直に俺の教えを受けるつもりのようだ。


早速少し開けた場所で俺は二人と二対一の勝負をした。戦闘の最中に二人の攻撃、防御、連携などの改善点を言い、その場で修正させる。二人は言われたことをすぐに直してくるので教え甲斐があるというものだ。


そして一通りの改善点を教えた後は次は個別に教える。先程よりより細かい動きを教えたり、筋肉の使い方を教えてやった。


コンクルは槍使いだ。俺も槍術なら様々な人から教えてもらい、習得していた。今回はそれらを応用し今のコンクルの型を崩さないようにバランスの取れた槍術を少しだけだが教えてやった。今日教えただけでも槍術、攻撃力ともにワンランク上がった筈だ。さすがに成長が早い。


で、キュルムの方なんだが彼女はコンクルより教えることが少なかった。最初に言った筋肉の使い方だがこれを学べば攻撃力は必ず上がるはずだ。だがキュルムは戦闘を見る限りそれを自分自身で少なからず理解しており戦闘中に実行していた。だから俺はそれに少し付け加えただけだ。キュルムに聞くと、攻撃の仕方などもすべて独学で学んだようだ。それ故に型にはまらない自由な動きができているんだろう。彼女はおそらく天才と言われる部類に入る者だ。このまましっかりと鍛えれば必ず大きな成長を果たすだろう。で、その筋肉の使い方以外に教えてやったのが小剣の使い方と走り方だ。

彼女の戦闘スタイルと言えば持ち前のスピードで相手を翻弄しその小剣で急所を一突きして終わり。だからさらにスピードの上がる走り方と脚の使い方。二本の小剣特有の技を教えてあげた。小剣の技の方は少し手こずったようだがそれでも今日中に出来るようにはなった。


今日教えただけでこの成長、まだ教えるべきことはある。例えば闘気とかな。この二人はまだまだ成長するだろうな。


あとはスクロワがおとなしく俺の教えを受けてくれればいいんだがな、三人の中で一番成長が楽しみなのはスクロワなのだ。スクロワの剣術は極めれば確実にスクロワ自身の究極の武器になる。


それに俺はというとスクロワに剣術を教える為に昨日スクロワの剣術を見て独自に習得してしまった。その剣術を使った技も考案してみたりした。これをぜひスクロワに教えたいんだが、肝心の本人が拒否だ。…まあまだ時間はあるしそのうち教えればいいだろう。


ちなみにスクロワの剣術にはコンクルの槍術とは違い俺が今まで習得した剣術は混ぜていない。スクロワの剣術はあれだけで完璧に仕上がっている剣術だ。これほどの剣術を一体誰から学んだのか気になるところだがそれほどの剣術を彼女はまだ完全には習得しきっていない。だからこそそこを含めて教えてやりたいんだ。

今後彼女が俺に教えを請うきっかけがあればいいんだがな…。



その後も二人の稽古に付き合い小一時間ほどでその日の稽古は終わった。食後のいい運動をした俺はテントに戻って就寝した。




まだまだ先は長そうですね……

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