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宣言

扇風機が欲しい…




宿に戻った後はいつも通りディルが作った夕食を食べてからそれぞれ就寝した。


そして今日、天気は晴天。祭りにはもってこいの天気だ。まあせっかくの機会を潰したくないからもし天気が悪くてもなんとかしてたけど…。


朝食の時にそれぞれの今日の予定を聞いたところ全員祭りに参加するそうだ。ディルはリサと祭りを見てまわるらしくそれに夜、ノーメン、フェレサも一緒についていくらしい。

ディルにこの街の祭りとはどういったものなのか聞いたところ街をあげての飲み会みたいなものと言われた。それぞれの店が店前に屋台を出したり広場では芸を披露する者もいるようだ。結構楽しそうだな。


朝食後はそれぞれ自由行動となり他のみんながなにをするかは知らないが俺はルサルファ王女と祭りをまわる下準備をしておかなければならない。ルサルファ王女が今どれほど俺を信頼しているかはわからないが今回でそれを確かめ最終的には絶対的な信頼を寄せる相手にならなければいけない。


というわけで俺は宿を出て下準備へと向かった。


ーーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー


で、下準備を終わらせ現在待ち合わせ時間の五分前、ルサルファ王女の屋敷に来たわけなんだが。


「もう出てきてたのか、俺が来てからでよかったのに」


ルサルファ王女は屋敷の門の前で待っていた。


「あ、ああわざわざ待たせるのも悪いと思って…」


「そうか」

ルサルファ王女の格好はいつものドレスや戦闘服用のドレスアーマーと違いシンプルで身軽なものだった。


「ど、どうだろうか、この服装は?」


「ん?良いんじゃないか。俺はいつもの堅苦しい服装よりこっちの方が好きだな」

動きやすそうだし。


「そ、そうか、良かった//」


「ところで祭りではルサルファ王女がやる事はないのか?何か開催宣言的なやつとか、部下に任せっきりで大丈夫か?」


「いや、今回のは祭りと言っても街の無事を祝うものだからそういった改まったものはないんだ。それに昨日、国民の前で明日6時から祭りを開催すると言っただけだからな。だから6時から出店なんかがでてくると思うんだが」


「そういえばここに来るまでにも屋台の準備をしてる店がいたな」


「そろそろ祭り開催の合図があるはずなんだが」


「合図?」


ドゴォン!!


上空で魔法によって上がった火の玉が爆発し幾つもの色を持つ光を放った。それは立て続けに上空に上がり街の上空を幾つもの色で包み込む。


「綺麗だな、これが開催の合図か」


「ああ、これは祭りの終わりにもあるんだ。最後の締めってやつだよ」


「そうなのか。それじゃあそれまではこの祭りを楽しむとするか」


「うん、そうだな」


こうして俺たちは歩き始めた。


祭りは結構な賑わいを見せていた。ディルが言っていたように広場では様々な芸が披露されている。その芸はやはり魔法を使ったものが多く結構な迫力を放っていた。


特に火だるまにした人間5人を大男がジャグリングしてたのは面白かった。最後は全員を水が入った樽の中に打ち込んでいたし…。


見渡す限り全員が笑顔、昨日自分たちに死の危険がせまっていたなんて微塵も感じさせないほどに祭を賑わう全ての人達が楽しそうだった。

まあその記憶を払拭する為に楽しい事で覆い尽くしている部分もあるんだろう。そしてそれをさせる為にルサルファ王女は今回こんなにも早く祭りという祝い事を開いたのかもしれない。


そういえばルサルファ王女が街中を出歩いて大丈夫なのか?と思ったがすれ違う人は気軽に挨拶をしたり子供とも親しげで何の心配もいらなかった。これを見ただけで王族が国民からどれほど信頼されているか、どれほど国民に寄り添っているのかがわかる。まあこれからそれを崩す反乱が起こるかもしれないんだがな、魔王によって。


今回の反乱、近いうちにはっきりとした作戦を立てておかないとな。これを利用するならばまずは王都にいくべきだろうか…。


と、今はルサルファ王女との祭りに意識を向けておかないとな。



…その後も二人で賑わう祭りを見てまわった。


街が広いだけはあり全てを見て回るのは無理だ。まあわざわざ急いで全て見てまわる必要はないからな、ルサルファ王女は十分に楽しめているようだし。


「楽しそうで何よりだ」


「す、すまない、私ばかり楽しんでしまって」


「いや、俺も楽しいよ。こういった雰囲気も嫌いじゃないしな」


「そ、そうか、それなら良かった」






祭りを楽しむルサルファ王女と秋、その後ろに二人を付け狙う五つの影…。


というかディル、リサ、夜、ノーメン、フェレサである


「ほほう、これはいい感じの雰囲気じゃないですか」

ゲス顏でディルが呟く。


「ルサルファも楽しそうですし、これはやはり完全におちているようですね、アキハさんに」


「ち、また余計な女が増えましたか」


「ヨルハさん、口が悪いって」


「はあ…(今回の事、主様には他に目的があるように思えるのですが、そうなるとルサルファ王女が少し可哀想ですね。まあ主様はそういったことに無関心ですし仕方がありませんが)」



五人はルサルファ王女の屋敷から二人をつけその様子を伺っていた。


これを言い出したのはディルであり、ノーメン以外が乗り気であったことから結局こうなってしまった。


「絶対に主様にばれていますよ」

ノーメンが溜息交じりに呟く。


「それは、確かに…」


「いいんですよノーメン、今の所アキハ様が私達を巻く様子はありませんし」


「夜先生…ただ私は今回のこの事の罰を気にしているのですが」


「ば、罰って…」

フェレサが絶望しきった顔で聞く。


「それは…ご想像にお任せします」


「い、嫌だー!じゃ、じゃあ私はこれでつけるのをやめるよ。じゃあね」


ガシッ


「逃がしませんよ、フェレサ。共犯者は最後まで運命を共にしなさい」


「(私もついてこなければよかった…夜先生に無理矢理連れてこられたと言えば主様はお許しになられるだろうか)」


「あ、ほら先に進んじゃったよ。早く行こう」

ディルが言う。


「貴方もまだ続けるんですね、まあ私もですが」

リサも意外に乗り気である。


「二人はアキハさんの恐ろしさを知らないからだー!」


「文句を言わずに歩くのです。それに今逃げてもすでにばれているんですから無駄ですよ、お仕置きからは逃れられません」


「あ、そうだった…」

再びフェレサの表情は絶望へと変わる。


つまりこの五人に秋からお仕置きが下るのは確定事項だった。






「ルサルファ王女、そろそろ祭りも終わりなんじゃないか?」


「ええ、あと10分で終了の時刻。さっきも言った通りその時間になったらさっきの魔法が打ち上がるんだが、ただ終わりは最初と違って30分間魔法が打ち上がり続けるんだ」


「へえ、そうなのか」


「今日は本当に楽しかったよ、私のわがままに付き合ってくれてありがとう」


「いや、俺も楽しかったからな、一緒に見てまわれて良かったよ。それに、まだ祭りは終わってないぞ」


「え?」


「まだ最後の締めがあるんだろ、それを一緒に見ようと思ってたんだが」


「いいのか、私にそんなに付き合わせてしまって」


「いいんだよ、祭りを一緒に見てまわるって約束したしな。それでな、この為に特等席を用意したんだが一緒に来てくれるか」


「そうなのか、それはわざわざすまない。ぜ、ぜひよろしく頼む」


「それじゃあ手を」

俺はルサルファ王女に手を差し出す。


「え…は、はい//」

ルサルファ王女の手をしっかりと握り俺は特等席へと転移した。




ーーー街から少し離れた上空百メートル


ドゴォン!!


すでに魔法は打ち上がり始めている。


「さあ、どうぞ」


「え、これは空中に立ってる?」


「魔法によって透明な地面がここにある。十分広いから落ちる心配もないよ、透明が嫌なら別のに変えるけど」


「いや、これで構わない、光が反射してとても綺麗だ」


「そうか、それじゃあ座ろうか、椅子があるから座ってくれ」


「ありがとう」


そう、俺がやった準備とはこの事だ。実はあの魔法による締めはディルに聞いていて知っていた。この街には定期的な祭りがあるようでその度にあれは行われてたようだ。そしてそれを特等席から見せる、これが俺のルサルファ王女へのプレゼントだ。


「…綺麗」


「ああ、本当に綺麗だ」

ルサルファ王女は虹色に光り輝く魔法に魅入っている。まあそれも仕方ないだろう、これは確かに綺麗なのだから。


「アキハさん…」

突然ルサルファ王女が口を開く。


「なんだ?」


「…今回は本当にありがとう。度々言うようだけどやはりアキハさんがいなかったらこの街は無事ではなかったし私もこんな気持ちにはなれていなかったと思う。だから…本当にありがとう」


「いいよ、俺もこの街を守れて良かった。こんなに綺麗なものが観れたんだから」


「…私はみんなが守り抜いてくれたこの街を絶対にこれからも守っていくよ。それは私一人の力じゃどうしようもないことかもしれないけど、またみんなの力を借りなければいけないかもしれないけど、それでも私は胸を張ってこの街を治められるように頑張るから…」


「そうか」


「だから…だからさ、こんなお願い迷惑でしかないかもしれないけど」


「なんだ?」


「私がもっと立派になってこの街、領地だけじゃない、この国を治めて国民全員を守れるだけの力を持てるまで私を見ててはくれないか」


そういうルサルファ王女の顔は今まで一度も見たことがない、本当に儚げな表情をしていた。


なんでそんな表情をするんだろうか…。


まあそうだな、その問いに対して俺は望む答えを貴女に言ってあげよう。それで俺の今回の作戦は本当に終了だ。


「…わかった。貴女がこの国の王になるまで俺は貴女を見守り続けよう。ただ忘れないでほしい、貴女にはたくさんの仲間がいることを貴女を慕う人々がいることを国民を守れる力は決して貴女一人だけの力では成り立たないことを。人に頼ることは悪いことじゃない、頼って力になるならばそれは頼るべきだ。その中でもし本当に辛く苦しい時がきたならば遠慮なく俺を頼ってくれていい、その時は必ず力になる」


少し、かっこつけすぎましたかね。自分で言ってて少し恥ずかしくなってきた…。


「…本当に、ありがとう。私は絶対貴女にふさわしい王に、女性になってみせる」


「そうか、無茶すべき時はいいが無茶しすぎて倒れるなよ」


「ふふ、そうだな」


「まあ今はこの一時を楽しもう。この綺麗な景色もいつまでも続くわけじゃないんだから」


「そう、だね。せっかくのこの時間、楽しまなくては損だ」


そうして時間はゆっくりとだが確実に過ぎていった…。



そして祭りも終わり屋敷へとルサルファ王女を送り届け、別れの挨拶をしている時。


「ちょっといいか、アキハさん」


「なんだ?」


「アキハさんが良ければなんだが私を…ルサルファと呼んで欲しい」


「…いいのか?王女だろう」

まあ王女にこんな態度をとってる時点で今更なんだが。


「いいんだ。リサも呼んでいるし、親しい間柄にはそう呼んで欲しい」


「そうか、わかった。…じゃあなルサルファ」


「ああ、また今度。アキハさん…//」


そして俺は宿へと転移した。





お仕置き決定〜!!

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