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後悔の念

夏…やばい、時間が無い(;´Д`A



「あとは俺に任せてくれ」

防護壁の上へ転移してきた俺は誰もいないことに気づき下を見るとちょうど下で何やらやっていたので絶好のタイミングを見計らって降りてきた。


「アキハさん!!」


「貴方は先日の…」


後ろを振り向くと地面に座り込むリサとルサルファ王女が目に入った。それに、周囲の奴らも満身創痍といった感じだな。


「良くここまで持ち堪えたな。後は俺が相手をする」

そう言って魔物の方を見据える。


「そんなの無茶だ!貴方がどれほどの力を持っているかは知らないがあの魔物達はSランクなんて優に超えるほどの怪物達だ!」


ルサルファ王女が叫ぶ。


「ルサルファ、大丈夫です…」


リサが言う。


「先程の咆哮ブレスを防いだのは彼です。それにどちらにしろもう彼に頼るしかないのが現状です。私達は彼を信じるしかないんです。それに…彼だけではありませんから」


「え?」


「夜、ノーメン、フェレサ、ディル、…まだ戦えるな」


「はい」


「準備はできております」


「…もちろん」


「当然さ」


四人が俺の横に並ぶ。


「お前達が戦い抜いたことは決して無駄じゃなかった。お前達が戦ったことで街を、住民を守り抜くことができる。(そして俺は絶好のタイミングで登場することができた)それを今から証明してやる」


「アキハさん…」



「それじゃあ、早速行くか」

そして俺たちは魔物へと向かう。


ーーー正門から少し離れたところで夜が小声で話しかけてきた。


「アキハ様、これはアキハ様がご用意した計画でしょうか?」


「ん?さて、どうだろうな…というか夜、お前も結構ダメージを受けてるな。もうだいぶ自己治癒で治ってきてはいるけど、それにしても治りが遅いし、…もしかしてわざとか?」


「…はい、これがアキハ様のお考えになられた作戦ならば私が目立つわけにはいかなかったのでこういう形でご協力できればと」


「なんだ、俺の作戦ってわかってたのかよ」


「いえ、確信は持てませんでしたがやはりそうだったのですね」


「ああ、そうだよ。いろいろと面白くするためにな、少し前から準備してたんだ」


「そうでしたか、それなら良かったです。どうやらノーメンもこの事に気づいてうまく調整していたようです」


そう言われノーメンの方を見ると夜同様結構ダメージを受けていた。


「そうか、まあ二人には別にばれても良かったからな。でもあの五体は結構強かっただろ」

そのダメージもおそらくあの五体の魔物のどれかから受けたものだろうしな


「はい、驚きました。私は全てSランク程度の魔物だと思っていましたので、まさか全ての魔物がそれを上回っているとは。そしてあの五体の魔物です。あの五体が同時に相手では私でも勝てるとは思えません」


あの五体は一体でも夜が余裕がなくなるほどの強さだろうな、だからこそ、何も知らないディルを追い込むことができた。さすがにSSSランクなだけはあり、まだ戦えるようだけど。


「ちょっといいかみんな、…あの五体と仮面の男は俺が相手をする。だから、それ以外の魔物は頼んでいいか?」


全員頷き返してきた。確認が取れたし、


「それじゃあ各自、後は自由に行こうか!」


こうして俺たちはそれぞれの戦いへと向かった。



ーーー俺は正面に構えるあの五体の魔物と向かい合う


仮面の男、というかミスティルの部下は結構上手くやっていたようだ。それに今も俺の考えを的確に読んであの五体以外の魔物に街を攻めるよう指示を出し、邪魔な魔物を俺から引き離してくれた。



グォォォ!!


五体の魔物が吠え、俺と対峙する。







本当に信じられない。何かとんでもない力を持っていいるとは思っていた。それは単なる勘でしかなかったけれど確かにあの人が纏う空気は初めて会った時からとても異質だと感じた。


そして今、SSSランク冒険者でも倒せなかったあの五体の魔物と戦っている。それに、先程まで深いダメージを受けていたはずの四人は今はほかの魔物達を圧倒している。あの人が来てから、より強くなったんではないかと思うほどに。特にあの二人…ヨルハさんとノーメンさんはまるで先程まで手を抜いていたんじゃないかというほどの変化が…。


「一体何者なんだ、あの人は…」


「本当にそうですね。あれほどの強さを持っているのに、今まで名前すら聞いたことがありませんでした」


「でも、これならこの街は」


「はい、確実に助かるでしょう。本当にあの人がいなければどうなっていたことか」


先程まで戦っていた周囲の人達もどこかホッとしたような表情をしている。そして今目の前で繰り広げられている戦いを見て誰もが信じられないと口々に言っている。

本当にアキハさんがこの街にいてくれて良かった。


「それでも…」


「ルサルファ?」


「それでも、この戦いで多くの人が亡くなってしまった。…私の判断はもしかしたら間違っていたのかもしれない。最初からこの街を放棄していればこんなに被害はでなかったんじゃーーー」


「ルサルファ、…アキハさんも言っていたでしょう。私達が戦ったことで街を、住民を守り抜くことができる、と。今のルサルファの言葉は住民の命だけじゃない、この街の為に命を賭して戦ってくれた人達に失礼です」


「…そう、だよね。…でも、それでも私は今日亡くなった人達の責任を背負える自信が持てないんだ。命を賭してまで守ってくれたこの街を私はこれからも胸を張って治めることができるのかって」


「ルサルファ…」

貴女はそういう人でしたね。…どこまでも他人の事を考えて、いつでも自分に厳しくて、自分がどうなろうと構わないと、他人の為に動ける、そういう人でしたね。


「それなら、…私がルサルファの力になります。貴女が挫けそうな時は私が支えます。それが貴女の…友達としての私の役目です」


「友達…私はリサの友達でいていいのか?」


「はい、これから、いつまでも私はルサルファの友達です」ーーー





ドゴォオォン!!


これで三体目だ。というかこの五体、俺が思っていた以上に強かった。これは夜でも複数体の相手はきつかっただろうな。強さで言うと今まで戦った二人の魔王より強い。これは結構危険な生物を生み出しちゃったな。まあここで殺すんだけどさ。



ドゴォン!

っと、これであと一体だな。


「おい、魔王の部下!仕事はここまでだ。なかなか役に立ったぞありがとな」


「は!ありがたき幸せ」


「それじゃあ魔王城に転移するから、ミスティルによろしくな」

そう言って部下を魔王城へ転移させた。まあ姿を見せちゃったしリサ達には適当に逃げられたって言っとけばいいだろ。


グオォォォ!!

最後の一体が俺へと突っ込んでくる。


そうだ、折角だしこれを試そう。

…「暗黒世界ブラックホール!」

そう唱えると同時に魔物の目の前に黒い球体が出現した。魔物は一瞬にしてその中へと吸い込まれていき、それと同時に黒い球体は消滅した。

…そこには魔物の一欠片も残っていなかった。


おお!結構うまくいったな。一度試したかった想像魔法だったんだが、結構強力な魔法だな。それにこれはいろいろと応用が効きそうだし。


っと、そういえば四人はどうなったかな。


後ろを振り向くとすでに魔物は全滅していた。

血の海って感じだな。

それにしてもすげな、こんな短時間であの量の魔物を全滅ですか、いやあ恐ろしいね。まあ多分ほとんど夜とノーメンが倒したんだろうが…あの二人めちゃくちゃ返り血を被ってるし。


四人の位置を確認した後、全員を正門へと転移させた。






ーー「さあ、倒し終わったぞ」



「「………」」


「なんだ何の言葉もないのかよ、というか早く負傷者の手当をしたほうがいいんじゃないか?負傷者も結構いるだろう」


「そ、そうですね。救護班は直ちに負傷者の手当を開始してください。ポーションもここにあるものは全て使って構わないです」


「「「はい!」」」



…こうして今回の戦いは幕を閉じた。



ギルド長とルサルファ王女は部下に指示を出した後、俺のところへやってきてとれあえず防護壁の上にあるテントに行くことになった。


で、テントに来たわけなんだが、


「どうしたんだ?」


「今回の事についてです。今回は本当にありがとうございました。あなた方がいなければどうなっていたことか…」


「私も礼を言う、本当にありがとう。…私は結局自分の力ではどうすることもできず、人に頼って、町を守ってもらい。その結果、多くの人がこの戦いで亡くなって…本当に情けない」


「リサ…」


ルサルファ王女は涙を流している。それほどに自分を責めているようだった。


だが、

「ルサルファ王女、それは違うぞ」


「…え?」


「今回、多くの人がこの街の為に命を賭した。それはこの街が守りたいと思うほどのものだったからだろう?そう思わせたのは誰でもないルサルファ王女だ。それはルサルファ王女自身の力で、この街を守ったのもルサルファ王女自身の力とこの戦場にいた全員の力だ。今は自分を責める時じゃない、守り抜いたこの街の為に動く時だ。せっかく守り抜いたこの街で涙を流すなよ、それはこの街のために戦った全ての人達に失礼だろ?」


「…アキハさん」


「はい…」


「住民達が見るルサルファ王女の表情は不安を抱かせるものではあってはならないんだから」


パンッ

自分の頬を叩くルサルファ王女。


「はい!もう大丈夫。そうだ、私はこの街を治める王女、その私が住民の前で無様な姿は晒せない。それじゃあ私は事後処理に行ってくる」


そう言ってテントを出て行こうとするルサルファ王女



「ルサルファ王女」


「はい?」


「もし、これから先本当に苦しい時は俺を頼ればいい。その時は必ず貴女の力になろう」


「…はい」

そう言って見せたルサルファ王女の笑顔はやはりどこかまだ後悔の念が残っているように見えた


後は

「ギルド長、今回の被害を細かく教えてくれ」


「え?わ、わかりました」


それじゃあ俺も早速、事後処理を始めますかね。




章が長い…

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