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作戦決行日


◆(場面、視点の切り替え)

が多いです



作戦当日早朝、宿の四人にばれないよう森へと転移した俺は今回の作戦の確認を行っている。


「…よし、大丈夫そうだな」


唯一の懸念事項のディルの対策もしっかりと準備を整えてあり、いつでも作戦を開始できるほどに仕上がっている。

だがあくまで作戦決行は今日の昼だ。理由は単純で、その時間帯が一番街が活気付くからだ。観客は少しでも多い方がいいからな。


とりあえず最終確認も終えたし宿に戻るか。


「それじゃあ、よろしく頼むぞ。後のことは俺が教えた通りに動いてくれ。こっから先俺は一切お前に指示を出さない。緊急事態の場合も自身で対処してくれよ」


「はい、わかりました」


不安もあるが後はそいつに託し俺は宿へと転移した。



宿へと戻った後は朝食の時間まで自分の部屋で過ごした。今日の俺の行動に不信感を与えるわけにはいかないからな、夜たちはともかくディルには駄目だ。それにあいつは感が鋭そうだし気をつけよう。


そして今はディルを含めた五人で朝食をとっている。


「今日みんなはどうするんだ?」

昨日は三人ともディルと一緒にギルドの地下にある修練場に行っていたらしいが。


「今日もギルドの修練場に行く予定です」

ノーメンが答える。


「ちなみに僕も一緒だよ、ノーメンさんに訓練相手を頼まれてるからね」


「へぇ、そうなのか。…で、夜とフェレサはどうするんだ」


「私は…出来ればアキハ様と行動を共にしたいのですが今日も一人でどこかに行かれるのでしょうか?」


「いや、今日は特に考えてなかったしな…俺も修練場に行こうと思うけど」


「それでは私も修練場へ行きます」


「それじゃあ私も行こうかな〜」


結局全員で修練場に行くことになった。まあ固まって行動してくれるのはこちらとしてもありがたいけどね。






ドゴォン、ドカァン、スパンッ、ズゴォン


朝食の後、早速修練場にやって来た俺たちは五人でトーナメント戦をやることになった。これは俺の提案だったんだが意外と全員乗り気で、逆に俺のテンションが追いつかない。ちなみに試合のルールは以前行ったものとまったく同じだ。


昨日ここに来ていた夜達はすでに多くの冒険者に顔を知られていたらしく夜達が戦うということになると全員二階のスタンド席に上がってしまい、そこから試合を観戦し始めた。

そしてトーナメント戦は第一試合、夜 vs ノーメン

第二試合、フェレサ vs ディル となっている

まあもうすでに両試合とも始まってるんだけどね…。


そして実況は私、アキハです!

……俺は決勝からの参戦となってしまっている。まあクジで決めたことだから仕方ないけど…暇だ。それとこの後の決勝はこの二試合の勝者二人と俺を入れた三人という少し変則的な試合形式となった。



ブオン…トゴォン!!


俺の後ろで轟音が響く。

夜が蹴り上げた瓦礫が俺の真横を通り過ぎていった。相変わらず激しい戦いだな。全員が近接戦闘型である為両者のぶつかり合いが激しい。

まあ近接戦闘といっても魔法も並の後衛なんかより遥かにレベルは高いんだけど。


試合もだいぶ進んできたがディルとフェレサの試合はやはりというべきかディルの方が優勢だ。フェレサも頑張ってはいるがまだまだ及ばずといった感じだな。


そしてこの二人よりもさらに激しいのが夜とノーメンの試合なんだが、意外にノーメンが頑張っているようだ。身体能力で夜に大きく劣るノーメンはスキルと魔法を使いなんとか対処している。夜がスキルをまったく持っていないのがハンデになってる。さらに夜はまだ一度も魔法を使っていない。夜は魔法を使えるはずなんだが、どうやらわざと使ってないようだな。手加減が出来るなんて結構しっかり先生やってるじゃないか夜のやつ。


その後も見応えのあるいい勝負を繰り広げたものの結果、ディル vs フェレサの方はディル相手に攻めきれず体力が尽きたフェレサが負け、夜 vs ノーメンは夜の動きに段々と対処しきれなくなり最後に一発くらって場外に吹っ飛ばされたノーメンが負けた。

つまり決勝は俺と夜、それとディルの勝負となるわけだ。


現在の時間はだいたい午前11時、今から10分間休憩をとった後決勝戦を始めることなってる。

そして作戦開始の時刻もあと少しでやってくる。



休憩は各々とり、あっという間に10分間は過ぎていったんだが…。



『さあ、もうすぐ始まる決勝戦!戦うのは登録初日にSランクになった天才ルーキー冒険者のアキハ!そして紅一点こちらも登録初日にSランクになったという美しき天才冒険者、ヨルハ!そしてそして!最後は誰あろうこの人!ギルド総長が認めた者しかなれないというあのSSSランク冒険者のディル・クレインっだあ!!』


《《《《うおおおおおおおお!!!》》》》


広い闘技場に歓声が轟く。今俺たちを紹介したのはここのギルド職員だ。どうやら休憩中にこのことを聞きつけたギルド長がこんな感じにしやがった。

そしてそれに遅れず反応するスタンド席の冒険者達はノリが良すぎるだろ。


「なんか凄い事になったね」


「確かにな…ていうかディルはSSSランクなのにこんな人前に出て良いのか?」


「別に構わないさ、そもそもなんでSSSランク冒険者全員の情報が少ないのかよく分からないんだよね。僕は隠してるわけじゃないし。まあ考えられることといえばSSSランク冒険者自身が素性を知られるのを嫌って隠してたり、どんなに凄いことをしてもその人がSSSランク冒険者だって周囲に伝わってなかったりとかだと思うんだけどね。まあ実際にSSSランク冒険者の中にも自分の素性を隠してる人はいるし」


「へえ、そうなのか」


「まあそれはいいとして、いい感じに周囲も盛り上がってきたことだしそろそろ始めようか、アキハさん、ヨルハさん」


「そうだな」


「そうですね」



そうして俺たち三人はお互いに距離をとり闘技台の上に立つ。先程まで騒がしかった空間が一気に静まり返った。

なんか妙に緊張感漂わせてるけどただの試合だぞ!

本当にノリがいいなこいつら。


そういえば試合開始の合図は…たぶんあの実況の人がやってくれるだろ…。




ふう、全身に力が入っているのがわかる。珍しく緊張してるみたいだ。


…僕が今まで会ってきた人達の中でもっとも警戒すべき人物。その相手と何の偶然か今日、戦うことになった。警戒すべきだけどいざ向き合うと警戒出来ないそんな異質な存在…そんな相手と戦うことはこれまでにない程気持ちを高揚させる。いったいどれ程の力を持っているのかと、彼は僕に何を見せてくれるのかと…。それにヨルハさんだって十分異質な存在だ。

その二人と同時に戦うことができるだなんて、僕はついてるよ本当に。


すまないがアキハさんとヨルハさん、今回の勝負、僕は全力でやらせてもらうよ。





…アキハ様と戦うのは今回が初めて、アキハ様と戦うなど仕える者として無礼な行いだと思います、がその反面至上の喜びでもあるのが事実です。先程の休憩時、アキハ様は全力でかかってこい、その方が面白いと言ってくださった。アキハ様がそう望まれる以上私は全力で戦いに臨むのみです。


そしてこんな考えもアキハ様にとって失礼だとはわかっていても不可能だとわかっていても私はつい思ってしまう…いつか、本当の意味でアキハ様の隣で共に戦いたいと。


不可能だと理解してても、私はその為に強くなりたいと願う。





今回のトーナメント戦は作戦開始時刻までの暇つぶしでしかなかったんだが、やけに大事にしてくれたな、あのギルド長…。

まあいいんだけど。それに暇つぶしと思っていたこの試合もいろいろと得ることがありそうだしな。

夜と戦うのはなんだかんだ初めてで楽しみだし、ディルの実力も俺自身が戦って測っておきたかったからちょうど良かったしな。ただまあこの変則的な試合、どういう戦い方をするかも重要になってくるだろう。もし長引きそうだったら一気に勝負をつけちゃうけどね。



ーーそれぞれの気持ちを胸に三人は戦闘態勢に入り試合開始の合図を待つ


秋を除く他二人の緊張感が周囲の観衆にも伝わる。



…『それでは…試合、開始!』



その合図とともに化け物達が動き出す。








作戦までの暇つぶしが予想以上に盛り上がってしまって作戦決行までいけませんでしたT^T

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