尾行と食事会
汗が止まらない(;´Д`A
「そろそろ行くぞ、リイナ」
「はい、そうですね」
現在5時50分…
リイナの家で昼食を食べた後も俺はそのままリイナの家で過ごした。その時にリイナとサラも辺境伯が開く食事会に呼ばれていることを知ったんだが一体どれくらいの人数を呼んだんだカイさんは…今って街の復興中だろうに。
まあそれで今はその辺境伯邸に向かってるわけなんだがリイナはドレスを着ている。辺境伯が開く食事会だからしっかりとした服装で行くそうだ。もちろん俺はいつも通りの服装ですよ。だって俺、肩がこりそうなああいった服装ってあんまり好きじゃなし。
リイナの家から辺境伯邸は結構近く、リイナはドレスだがもちろん歩いていく。
話は変わるが、俺は今誰かにつけられている。いや、誰かにといったが夜とノーメンって事はすでにわかってしまっている。でもいつからつけられていたのかは分からないんだよな、というのも俺が二人に気づいたのはリイナの家にいた時だ。リイナの家で暇だった俺は俺にとっての重要な課題である複数ステータスの同時使用を試していた。まあ結果は失敗だったんだが…それに言葉にすると結構凄いことをやってる感じだけど他の人が見ればただ眼を閉じてるだけなんだよね。
で、ステータスを切り替えた時魔力感知によって二人が家の外に隠れていることがわかった。しかしだ、普段のステータスの魔力感知も結構レベルが上がってるはずなんだけどその状態では二人には気付けなかった。まあ二人も成長してるということなんだろう。それは俺としては嬉しいことだ。
ただ…なんで俺のことつけてんだ?理由が全くわからない。そんなに暇だったのかあいつらは…。
まあお遊びもこれくらいにして少し驚かせてやるか。
「リイナ、少し転移するけど我慢して」
「は、はい、えっとどうしたんでしょうか」
「俺をつけた罰として少し驚かせようと思ってね」
「は、はい?」
「まあじっとしてればわかるから」
リイナの肩を掴みこっちに寄せる。
「ひゃあ…//」
「あ、嫌だった」
「い、いえ大丈夫です!(むしろご褒美です!)」
「それじゃあ行くか」
俺はリイナを連れ転移する。場所はノーメンの真後ろ、様子を見る限り夜はノーメンがいることに気づいていないようだ。だがノーメンは夜に気づいているようなので最初はノーメンを驚かせてやろう。
で、転移したんだが…。
「本当に申し訳ありません!!ただ主様を観察して少しでも強さを学ぼうと思っただけでして…」
ノーメンの後ろに転移した後、俺が消えたことに驚いているノーメンの肩を叩き「やあ、ノーメン」と笑顔で声をかけたら…。
土下座である。…俺に尾行がばれた時の表情はどんなんだったんだろうか、仮面で隠れていてわからないが結構面白い表情をしていたんだろう。見れなくて残念だ。でだ土下座なんだが…本当最近土下座を見過ぎて土下座の謝罪としてのランクが俺の中で低くなっていくような気がする。
「はあ、別に気にしてないからいいよ。それより次は夜のところへ転移するぞ」
土下座から立ちがり服装を整えるノーメン。
「夜先生ですか」
「ああ、あそこで俺がいきなり消えてから周囲をきょろきょろしてる。ノーメンは夜には気づいてたんだろ」
「はい、私と夜先生は宿から主様を観察させていただいていたのですが、夜先生は私より後に宿を出てきたので私の方は夜先生が隠れている姿を見ることができました」
「しかし、なんで夜は俺のことつけてたんだろうな」
「私もわかりません。私と同じ理由というのも考えられますが…」
「まあ直接聞けばいいか、じゃあ転移するぞ」
「はい」
そして今度は夜の真後ろに三人で転移した…。
トントン
夜の肩を叩く。
「あの〜、道をお聞きしたいのですが」
声を変えて夜に話しかけてみる、さてどんな反応が返ってくるんだろうか。
「今はそれどころでは……」
後ろを振りかえり俺の姿を確認した瞬間、その状態で固まってしまった夜。
「お〜い、夜さん、大丈夫ですか〜」
「はっ」
意識が戻ったようだ、マジで全く動かなかったな。
「ど、どうしたのですかアキハ様、偶然ですねこんなところで会うなんて、それでは一緒に辺境伯邸にいきましょうか、はい、それがいいですね」
そう言って歩き出す夜。
一息に言ったな、言ってる内容はめちゃくちゃだったが。
「ちょっと待とうか、夜」
ビクッ
「な、何でしょうか…早く行かないと食事会の時間に遅れてしまいますが」
「なんで俺のことつけてたのかな?」
「……」
「夜?」
「い、いつからお気づきで…」
「いや、気づいたのはリイナの家にいる時だったんだけどさ、実際は宿からつけてきてたんだろ。全然気づかなかったぞ」
「…それで、なぜノーメンが一緒にいるのでしょうか」
「ノーメンも俺のことつけてたんだよ」
「どうしてノーメンがアキハ様を…」ギロ
うわ、ノーメンのことすごい目で睨んでるんですけど…夜さんも同じことしてたんだよー忘れてませんか〜。
「どうやら俺を観察して少しでも強さを学びたかったらしい」
「そうだったのですか」
「それで、夜はなんで俺をつけてたんだ」
「え、えーと…ノーメンと同じ理由です。私も少しでも強くなりたいと思いまして…」
「やっぱりそうだったのか、まあ別に気にしてないからいいんだけどな」
「……あの、そろそろ辺境伯邸に向かった方が良いのでは」
先程からずっと俺たちの様子を黙って見ていたリイナが言ってきた。
「そうだな、もう時間ないし直接転移しちゃうか」
こうして俺たちは辺境伯邸に転移した。
辺境伯邸に転移するとすでに何人かリイナ同様しっかりとした服装をした人達がいた。それに周囲のテーブルに料理が並べられている。どうやら今回の食事会はバイキング形式のようだ。
「そういえばリイナ、今回の食事会はどれくらいの人数が呼ばれてるか知ってるか?」
「えっと、アキハ様とお仲間さん方、それとギルド長、あとは私含む今回魔族にさらわれていたギルド職員と妹のサラですね」
「その人選でなんでサラも呼ばれてるんだ」
「サラは今回魔物撃退に活躍したそうで特別に辺境伯が招待したそうです」
「へえ、そうなのか」
「アキハさ〜ん」
フェレサが手を振りながらこちらに来る、フェレサもいつも通りの服装だな。
「フェレサ、いつ来たんだ」
「私もさっきついたばかりだよ、さっき会ったんだけど辺境伯がそろそろ始まるって言ってたよ」
「そうか」
コンコンッ
「お静かにお願い致します」
執事が場を静める。
「それではカイバルト様、お願い致します」
執事がさがり前に出てきた辺境伯に視線が集まる。
ゴホンッ
「…辺境伯のカイバルトだ。今回の騒動で君達ギルド職員に多大な負担をかけてしまい申し訳ないと思っている。この食事会が少しでも君達の心の安らぎになればいいと思う。まあ、そんな堅苦しいものではないので存分に楽しんでいってくれ」
パチパチパチ…
俺と話している時とは違い、威厳のある態度で語っていた、まあ人の上に立つ者としては当然か。
そうして、辺境伯邸での食事会が始まった。
食事会は結構賑わった。俺は食事に夢中だったからほとんど人と話さなかった。それは夜とノーメンも同じようであんまり人と話しはしていなかったようだ、まあいつも通りなんだけどな。ただリイナとサラが俺の所へ来ると夜も必ず俺の近くに寄ってくる。
まあそれ以外にも色々とあったんだが…例えば酔ったフェレサがこれまた酔ったギルド長と喧嘩を始めたりとか踊りだしたりとか、大食い対決をしたりとか、騒ぎの中心に必ずと言ってもいいほどフェレサがいた。これは二日酔い確定だろう、あいつ自分で気づいてないけど絶対酒弱いだろ。
食事会は最後の方には飲み会のようになり結局12時頃まで続いた。
6時間も食事会が続いたと思うと結構長い間食べ続けていたんだなと思う。
そして食事会が終わる頃にはフェレサは完全に酔いつぶれていた。…ので先に宿に転移させておいた。
そして今はカイさんと別れの挨拶をかわしてるところだ。
「それじゃあなカイさん。俺たちは明日の午前中にはキャッタナ大陸に戻るつもりだから、これでお別れだな。街の復興頑張れよ」
「そうですか…はい、そうですね。アキハさんが再び街にきた時にしっかりとした歓迎ができるように少しでも早く街の復興ができるように力を注ごうと思います」
まあ、またここに来るかはわからないんだけどね。
「そうか、じゃあな」
「はい」
こうして俺たちは辺境伯邸を後にし宿へと転移した。
他の勇者はいつ出てくるだー!!




