懐かしき仲間達
昨日はキャラ紹介だけですみませんでした。
完全に復活したのでいつも通り書いていけそうです( ̄^ ̄)ゞ
自分の部屋に入ってからは特にやらなきゃいけないこともなかったのでアイテムボックスに入っている物の確認をしていた。もちろん部屋に出せる物のみだが。
この能力はメニュー 一覧とかが表示されるわけではなく頭の中にアイテムボックス内の物がなんとなく浮かび、それから出したいものをはっきりと想像することで外に出すことができる仕組みだ。だからこの能力には少しやりにくい部分もある。
それを踏まえてアイテムボックス内の物を確認していたんだが中は魔物がほとんどだった。この魔物達もいつか売らないとな。
それからこれまでに買った道具など、いろいろと確認していたが、ちょうど夕食の少し前に確認し終えることができた。そろそろ食堂に行った方がいいな。
ちなみに風呂は各部屋についているので食事後に入るつもりだ。そのあとは窓際に座り夜景を楽しむ。はは、なんか俺らしくないな。…でもこの世界にいた頃の俺はもっと真面目で綺麗な心を持っていた。あ、別に今が汚い心だというわけではありませんよ。…まああの頃の自分は今の俺が思い出すと笑いたくなるほど生真面目でまっすぐな性格でしたね。しかし俺もだいぶ変わったよ本当。まあそれもしょうがないんだろうな。現状、精神が安定してるのは絶妙なところでバランスが取れているからなんだろう。だからこうして柄にもないことでも楽しいと思える。基本的な性格はもうなんとも言えない感じになってるんだが…。
そんなことを思いながらも早速食堂へ向かう。廊下で夜達を見なかったがもう食堂に行っているのか?
説明されていた食堂へ向かうとやはりすでに3人とも席についていた。食堂の中は5つのテーブル席が並びその奥に調理台が見える。調理台にはおそらく先ほどの少女のお母さんであろう人がどんどん料理を作っている。少女はそれを3人が座っている席にせっせと運んでいる。
調理台に一番近い席に座っている3人の元へ行き俺も席につく。
「アキハさん遅かったね。寝ていたのかい?」
「寝てねえよ。それに時間通りだろうが」
「そうですよ。それにあなたは一体いつからいたんですかフェレサ?私とノーメンが食堂に来た時にはもう席についていたではないですか」
「夜とノーメンは一緒に来たのか?」
「はい。夜先生とは部屋を出るタイミングが一緒だったので」
今の感じからしてどうやら夜とノーメンは仲良くやっているようだな。…問題は夜とフェレサなんだが、フェレサは結構夜に喋りかけているようなんだが、夜がフェレサを嫌っているからな。あれは時間をかけないとどうしようもないだろ。まあその嫌われた理由もフェレサが原因なんだが。
「お腹が減っちゃってね。30分ぐらい前には来ていたかな」
「夕食は7時と言われていたでしょう。そんなに早く来ても無駄だと理解できなかったのですか、ばかですか」
「アキハさ〜ん!ヨルハさんの私に対するあたりが強いよ〜」
まああれは仕方ないだろ。俺にはどうしようもない。
「がんばれ、フェレサ。俺には振らないでくれ」
「そ、そんなー!ノ、ノーメンさ〜ん、君は私を助けてくれるよね」
「私は中立ですので」
「ノーメンさんまで……」
ノーメンにも断られたフェレサ、もうどうしようもないな。めげずに頑張れ!!
四人で話しているうちに料理はどんどん運ばれてくる。結構な量があるがこれは元々の量なのか?ちょっと多すぎないか。
ガタッ
「これで全部になります。そちらのフェレサさんがだいぶお腹をすかれていましたのでサービスで料理を追加させていただきました」
「フェレサ、お前…」
「まあまあ、良いじゃないか。サービスと言っているんだから!」
「そういうことじゃなくてだな…」
「いいんだよ。これは私からのサービスさ!久しぶりのお客さんだったからね、いっぱい食べてくれた方が嬉しいんだよ」
調理場から出てきた少女のお母さんが笑顔でそう言う。
「まあ、そういうことならその言葉に甘えて美味しくいただくよ」
「ああ、たんとお食べよ!」
なかなか気前のいいお母さんだ。娘が華奢な体だからお母さんもスレンダー系かと思ったが随分とがっしりした感じのお母さんだな、性格的にも。
それじゃあ早速いただくか。
「「「「いただきます」」」」
この間覚えたばかりの挨拶を結構普通に使ってるなフェレサ。
そして俺達は大量に並べられた料理を食べ始めた。最初の挨拶はなんだとかお母さんに聞かれ説明している間にフェレサの提案で二人も一緒に食べることになった。ノーメンが素顔を見せた時の二人の反応が凄かったな。それに今回の夕食は久しぶりに結構賑わった食事になり、夜やノーメンにも笑顔が見られた。それにしてもこの宿の客は俺たちが久しぶりと言っていたがやっていけてんのかこの宿。
食事を食べ終えた俺たちはそれぞれの部屋に戻った。ただフェレサは美味しい夕食のお礼だと食器の片付けを手伝っていた。
俺はこの後の楽しみがあるので食事後はすぐに部屋へ戻った。
部屋へ戻った俺はとりあえず風呂に入る。風呂と言ってもシャワーだけなんだが、それでもこの宿の大きさにしてはしっかりとした設備になっている。あのギルド職員の紹介は正しかったようだ。
シャワーを浴び終えた俺は就寝用の服に着替え部屋の電気を消し窓際へと行く。窓を開け階段状になっている窓際に座り外を見る
そこにはまるで地上の星とでもいうような光り輝く町の光が広がっていた。あまり遅い時間だと街灯なども消えてしまいこれは楽しめない。今はいい時間帯なんだろう。それにこの場所は町はずれの少し小高い丘の上にあるからそれも景色がいい要因だろう。まあその立地のせいで客もなかなか来ないんだろうが。
しかしだ。こういった様に綺麗な景色を見ながらぼうっとするものなんだか心が落ち着く。普段はあまりしない事をするのもたまにはいいな。この世界にいた頃、つまり俺がアークという名だった頃はよく仲間と一緒に見たものなんだがな……。
ーーー「アーク、見てよ。すっごい綺麗だよ!」
暗闇の中、街を一望できる丘の上で元気にはしゃぐ少女。
「ユフィはいつも元気だな。まあ確かに良い景色だ。こんな殺伐とした世界でもこういったものは見れるんだな」
「これを変わらせない為にそして守るために俺たちは旅をしてるんだろ」
「エドブルはあんまり景色見ないだろう」
「はは、そりゃ景色よりは酒の方がいいさ」
「脳筋なのよ、エドブルは」
「酷いぞサーシャ。男は誰だってそうだろう」
「アークは違うもん」
「アークが変わり者なだけだ。クレインだって俺と同じだ」
「同じにするなよエドブル。俺は景色も酒も両方楽しむことができる」
「見捨てるのか!クレイン」
「見捨てるも何もないだろう」
言い合ってはいるもののどこか楽しそうな仲間達。
「ははは、…俺はやっぱりお前達が仲間で良かったよ」
「なんだよいきなり…」
「どうしたんだ、アーク…死ぬのか?」
「死なねえよ!勝手に殺すな!……ただ思っただけだ。この世界を救うことが出来たら、魔王を倒すことが出来たら、変わらずにお前達と一緒に過ごしたいな…って」
「アーク…」
「そうよね…」
「当たり前だアーク。俺たちはこれからもずっと仲間だ」
「そうだ、この縁は一生切れない。ずっと俺たちは仲間同士だ」
「そうだな、仲間同士だ…ずっと、これからも…」ーーーーー
ーーーーー宿の窓、そこから町の美しい景色を見ている少年、その少年の頬には一筋の涙が流れている。
…はは、これこそ俺らしくもないな涙なんて…。この世界にいるといろいろと思い出すことが多い。あいつら…この世界でできた仲間、それが俺の今までの長い命の中で唯一の仲間と呼べる存在だった。最後はあんな結末になってしまったが…あいつらは俺が死んだ後どんな風に暮らしたんだろうか、幸せになれたんだろうか、それも今はもう分かる術はないんだがな。…はあ、まさか夜景を見ただけでこんな感情が出てくるとは思わなかったな。
夜景ももう十分楽しんだし、そろそろ寝るか…。
こうして俺は久しい記憶を胸にしまい込み眠りについた。




