幻の料理店
投稿時間が遅いですよね…
本当にすみませんm(_ _)m
結論から言うと料理は見た目通りとても美味かったです…。
あれほどの量があった料理を結局4人で食べきってしまうほどに。
言葉では言い表せない絶妙な味付け、いくらでも食べられると錯覚してしまうあっさりさ、があるものの満足できるこってりさ、ランチだから料理自体軽めでいっぱい食べてしまうという事もあるがそれだけではなかった。
夜とフェレサの料理もかなりの腕だと思っていたが、これは…格が違う。
料理を食べ終わった俺たちはそれぞれが料理の余韻に浸っている。
3人の表情を見れば俺と同じ感想を抱いているのはわかる。
いや、ノーメンは食事が終わったらすぐに仮面をつけてしまったから表情はわからないがあの食べっぷりからして同じだろう。
まあ、全員がいつも以上の量を食べたのは確実なんだが、結局一番食べたのはフェレサだろうな。
まるで料理が飲み物のようだった。
「それじゃあ食い終わったことだし、そろそろ行くか」
「どこへ行くんだい?トイレかい」
「トイレって…宿を探すんだろう」
「宿を探すんだったら、まず冒険者ギルドに行ったほうがいいんじゃなのいかい」
まあ、ギルドでおすすめの宿を聞けばすぐだろうが。
「冒険者ギルドの場所が分からないだろう」
「はっはっはっ!私はちゃんとギルドの場所を聞いていたんだよ」
いつだ?この店に入る前か?いつの間に聞いてたんだ。
「じゃあ冒険者ギルドに行くとしようか」
明日にはこの町を出るからな、ギルドに一回ぐらい行くのもいいだろ。
「それでアキハさん、ここの昼食代は誰が出すんだい?私ほとんどのお金をギルドに預けていて今はそれほどお金持ってないんだけど」
ギルドに金って預けられるのか、知らなかった。サラのやつ説明するの忘れたな。いや、それとも常識過ぎて説明不要だと思ったのか?
「それなら俺が払うから別にいいよ、金ならいっぱいあるしね。あとこれからは食事とか宿は俺が代金払うから遠慮すんなよ」
「え、そんなの悪いじゃなーー」
「遠慮すんなって言ったろ。これは俺がやりたくてやってることだ。俺の旅に同行する者の特権とでも思ってくれればいいよ、まあ見返りがあるとすれば何か面白いことをフェレサが見つけたら俺に教えてくれること、ぐらいでいいかな」
しぶしぶといった顔だな。
「ま、まあアキハさんがいいって言うなら私には反論のしようがないしその言葉に甘えさせて貰うけど…えっと、面白いことを見つけたらだね。わかった教えるようにするよ」
「アキハ様、この大陸はエルノイド大陸の通貨を使えるのでしょうか?」
フェレサと話していると突然夜がそんなことをつぶやいた。
「それなら…いやそういえばそうだな」
俺はエルノイドの金しか持ってないな。
「使えない場合どうしましょうか?」
「…食い逃げ…」
フェレサが呟く。
俺も頭に一瞬その言葉が浮かんだ。不覚にも聞いた時にビクッとしてしまった。
が、ばれていないのでフェレサを責める。
「ばかかお前!食い逃げなんて最低だぞ」
「ち、違うよ!私がやろうと思ったわけじゃなくてそのあの…」
慌てて否定するフェレサ、まあ店員に聞いてエルノイドの通貨が使えなかったら能力で通貨を変えるしかないな。幸いここには何人か人がいる。記憶を見てキャッタナ大陸の通貨に変えれば大丈夫だろ。
「とりあえず支払いに行こう、なんとかするから」
「え!?なんとかって…」
「なんとかはなんとかだ、早く行くぞ」
席を立ち先程のケモミミっ娘がいるカウンターへ行く。
「ご馳走様。美味しかったですよ」
まずは軽く挨拶から。
「ありがとうございます!」
「ところでこの店ってエルノイド大陸の通貨って使える?」
さあ、どうだ…使えるのか使えないのか
「はい使えます。エルノイドの通貨でのお支払いですね」
「あ、はい。それでお願いします」
エルノイド大陸の通貨を使えると知ったフェレサは後ろで胸をなでおろしている。
ふう、俺も胸をなでおろ…さない!…まあ、茶番はこのくらいでいいか…何が茶番?と思っただろう、それは…今のフェレサの食い逃げからのくだり全てだ!
まあなぜ茶番なのかは簡単に言うと俺はこの店がエルノイド大陸の通貨を使えることを知っていた。いや正確には推測できたと言うべきだな。
ちょっとドキドキしているフェレサが面白かったのでつい悪乗りしてしまった。
そして何故わかったかの理由はこの店を出た後にフェレサから聞かれるだろうな別の意図で。
「代金丁度ですね、それではありがとうございました。またのお越しをお待ちしております!」
「ああ、また巡り会えるのを楽しみにしているよ」
俺の言葉にケモミミっ娘の表情が驚きに変わる。
「もしかしてあなたは……いえ、はい!お待ちしてますね」
こうして俺たちは店を出た……。
……「いやー美味しかったね!またぜひ食べに来たいよ」
「主様、あの店は…」
「お、ノーメンは気づいたか」
「いえ、気づくというほどでは、多少の違和感を覚えただけです」
「そうか」
まあ俺も普段のステータス時なら違和感だけだったんだが、その違和感を感じたからこそ他のステータスに変えてその違和感の正体がわかった。
「アキハ様、何のことを言っているのでしょうか」
夜はまだそういう繊細な部分は感じ取れないか、まあ経験不足なだけだろうが。
「ちょっとちょっとなんのことを言っているんだい?私にも説明してくれよ〜」
会話にフェレサが割って入る。
「フェレサ、さっき入った店を見てみろ」
「見ろってそんなの後ろにあるじゃない…か?ってあれ?…店の外装が変わっているような?どうして…」
「説明してやるから、人の少ないところに行くぞ。ここだと落ち着かない」
通行人が多いんだよな、まるで人があれのようだ!よな本当、まあそのあれに俺たちも入っているんだが。
そして俺たちは人混みを避けるため大通りから外れた小さな広場のような場所に来ている。人は数人しかいない。
「これで落ち着いて話せるな」
「それでアキハ様、あの店に何かあるのでしょうか?」
「うんうん、どうしてあの店が消えてしまって他の店が現れていたんだい」
「まあ落ち着け、一から説明してやるから。…じゃあまず俺が店を出る時店員に言った言葉は覚えているか」
「聞いてなかった…」
「《また巡り会えるのを楽しみにしている》でしたか?」
「そう、俺はそう言ったんだ。普通は《また、来れるのを》だろ」
「ん?」
フェレサは首を傾げている。
「そういうことですか」
ノーメンは理解できたようだな。
「私もわかりました」
夜もわかったか、あとはフェレサだけなんだが…。
「ごめんよ、よくわからない。説明してくれないかな」
フェレサにはわからないか…。
「あの店はなこの次元に存在していないんだよ」
「それってどういう…?」
「別にこの世界に存在していないわけじゃない。次元が違うんだ存在している。もちろんあの店の中にいた人達は全て生きているし料理も本物だ。ただ俺たちは店の扉を開けた瞬間にあの店が存在している次元に引き込まれたんだ。あの店はおそらくこの世界を転々としこの世界に存在する扉と店の扉を繋げ客を引き入れているんだ。だから俺は《また巡り会えるのを》と言ったんだ」
果たしてこれでフェレサが理解できるかどうか。
「なるほど、つまりはあそこは〈幻の料理店〉ということだね」
理解しているのかよくわからない返答だが、本人が納得しているようなので良しとしよう。
「まあ、その言い方もあながち間違っていないのかもな、気まぐれに現れ超絶品料理を振る舞う店、でなかなか食べられない、という意味では」
「またあそこの料理が食べたいよ」
「それには同感だな。確かにもう一度食いたいと思うほどの料理だった」
「アキハ様、それでこの後は冒険者ギルドへ行くのですよね?」
「そうだったな。じゃあフェレサ、冒険者ギルドまでの道案内よろしく」
「はーい、まあここから意外と近いんだけどね」
こうして昼食を食べ終えた俺たちは冒険者ギルドをめざして歩き始めた…。
前話の【キャッタナ大陸】から三章ににさせていただきます
エレスタの勇者側の話は三章でということになりそうです。二章でと言っていたのにすみません




