港町シオラス
きびしー!(T ^ T)
ガタガタ…
馬車は順調に進んでいる。外もいい陽気で段々と眠くなってくるな、寝ようかな…。
「ねえ、なんであの馬この重さの馬車を一頭で引けてるの?」
先程まで外を見ながら退屈そうにしていたフェレサが聞いてきた。
「んーああ、実はな魔力強化で馬の脚力を強化してんだよ」
「どゆこと?」
「あーだから、この世界の生物は必ず魔力を持ってるだろ」
「うんそうだね、魔力は生命エネルギーだから。無かったら死んじゃうもんね」
「だから馬がもともと持っている魔力に変換した俺の魔力を馬の魔力に上乗せしてから闘気に変換して脚に集中させたんだよ。かなり持続すると思うぞ」
「え…いやいやいや!そんなこと出来るわけないじゃん」
「実際できたぞ」
「自分の魔力を馬の魔力に変換なんてそんなことができたら自分以外の人の魔力にも変換出来るってことでしょ!そんなことできる人がいるなんて聞いたことがないよ」
そうなのか、俺が昔この世界にいた時は何人かできる人がいたが今じゃいないのか…。
「まあ、それじゃあ俺が世界初ってことでいいんじゃないか」
「ん〜、今だに信じられないけど、実際あの馬は異常だし…あーもう!わけわかんない!」
「なら考えなければいいだろに…」
「あ!そうだ、私の魔力に変換してくれないかい」
「なんでだよ…」
「私の魔力に変換して私の冒険者カードに反応したらちゃんと信じられるじゃないか、うんうん名案だよ」
フェレサが面倒くさい…。
「それじゃあ手を出してくれ」
「こうかい?」
出されたフェレサの手を握り魔力を感じる。ちなみに今は黒眼を緋色の眼に変えている、相手の魔力を探らなければいけないからな、魔力感知が高くなければ出来ない。
そしてフェレサの魔力を捉え想像し俺の魔力をフェレサの魔力に変換する。
「もういいぞ」
「え?!まだ1秒も経ってないんだけど」
「まあいいから冒険者カードを貸してくれ」
「わかったよ…」
フェレサから渡された冒険者カードに魔力を通す、そうすると冒険者カードが反応した。
「うそ…」
「これで信じたか?」
「うん…まあこれを見せられたら信じるしかないけど…君本当に何者だい?」
「ただの冒険者だ」
「そっちの方が信じられなくなってきたよ」
「まあ、こんな冒険者もいるさ。とりあえず俺寝るから…町についたら起こしてくれ…」
「うん、わかったよ」
「アキハ様は私が起こすので貴女は起こさなくてーーー」
こうして俺はやっと眠りにつくことができた…。
ーーー「アキハ様、起きてください。町に着きましたよ」
「んーああもう着いたのか」
目が覚めた俺は潮の香りを鼻に感じる。周りは港町独特の喧騒に包まれている。時間帯はだいたい昼ぐらいかな。
「ここ町のどこ?」
「今は馬車庫に向かっている途中です」
「あれ、検問はなかったのか?」
「そういえばありませんでしたね」
「この町に検問はないよ、他の大陸からも様々な種族が来る場所だからね、検問は設けられてないんだ」
「へえーそうなのか、じゃあこの町には今、結構人間意外の種族がいるのか」
「そうだよ、この町に暮らしてる他種族もいるくらいだからね」
「主様、馬車庫に着きましたのでお降り下さい」
ノーメンが御者席から言ってきた。
「おう、わかったー」
馬車から降り、ノーメンが馬車庫に馬と馬車を置いてくる間、三人で少し話をしている。
「ところで君たちはこれからどうするんだい。この町に来たってことは他の大陸に渡るつもりなのかい?」
「そのつもりだ、ただまあ今日はこの町に滞在するつもりだけどな」
「そうかい、じゃあ君達とはここでお別れだね。私はこれから冒険者ギルドに調査報告に行かないといけないからね。君達との旅は楽しかったよ、それに今回はいろいろとありがとね」
「いや、俺達も冒険者ギルドに行くつもりだぞ」
「えっ?なんでだい」
「ギルド長に会ってみたいからな、それに調査報告するんだったら俺がいた方がいいだろう」
「それはそうだけど…いいのかい報告にまで付き合わせて」
「別にいいさ、俺もギルド長に用事があるからな」
「そうなのかい、ならいいんだけど…私も助かるしね」
「主様、馬と馬車を預けてまいりました」
「そうか、ありがとなノーメン。それじゃあ早速ギルドに行くとするか。フェレサ、道案内よろしくな」
「うん、任せてよ」
こうして俺たちは四人で冒険者ギルドに向かうことになった。
ーーーフェレサに案内されて着いた冒険者ギルドは造りは今までの町と同じものの大きさが一回りほど大きいものだった。
「大きいな…」
「中にいろいろな施設があるからね、地下には訓練場があるし」
「へえ、そうなのか」
「それじゃあ中に入ろっか」
ガチャ
中に入るとやはり冒険者ギルド特有の喧騒に包まれている。ただ今までと違うのは様々な種族が入り乱れているということだ。
ここに来るまでにもいろいろな種族を見かけたが冒険者ギルドにも他種族が多いな。
「それじゃ受付にギルド長に通してもらえるよう言ってくるね」
そう言ってフェレサは受付へと向かった。とれあえず俺たちもフェレサについていく。
「SSランク冒険者のフェレサだけどギルド長に通してもらえるかな」
「フェレサさん!お帰りになられたのですね。ギルド長がフェレサさんが帰ってきたらすぐにギルド長室に通してくれと伺っていましたので、どうぞ」
フェレサと話している受付のギルド職員はどうやら獣人の女の子のようだ。
ここのギルド職員にはいろいろな種族がいるみたいだな。
「そっかありがと。それで今回は調査を手伝ってくれた冒険者がいてね、その人達もギルド長に合わせたいんだけど」
そう言ってフェレサは俺たちを紹介する。
「御三方は仲間なのですよね?それでしたら念のためお一人の冒険者カードを拝見してもよろしいでしょうか?」
「それじゃあ、俺のでいいか」
そう言って俺は冒険者カードを受付に渡す。
「はい大丈夫です…Sランク冒険者のアキハさんですね。確認致しました。ありがとうございます。それではギルド長の部屋へご案内させていただきますね」
「ああ、大丈夫だよ。私がわかるから」
「そうでしたね、それではフェレサさんよろしくお願いします」
こうして裏に通された俺たちは階段をのぼりギルド長の部屋へ向かっている。
「アキハさんSランク冒険者だったんだね、凄いね」
「お前はSSランクだろうが、自慢か!」
「違うよ。それにあのカードってギルド長が推薦した冒険者ってことでしょ。黒色が入ってたし」
「ああそうだけど、意外と持ってる奴って多いのか?」
「そんなにいないよ。推薦した冒険者が問題を起こしたらギルド長の面目丸潰れだからね」
「へえ、そうなのか」
「っと、着いたよ、ここがギルド長室」
このギルドは3階建てだったが一番上がギルド長室なのか。
コンコン
「失礼しまーす、依頼を受けたフェレサです。調査報告に戻ってきました」
「どうぞ」
今の声、ここのギルド長って女なのか。
ギィィ
部屋の中に入ると黒髪ショートのスーツ姿の女性が椅子に座っていた。
かなり若いな、歳は二十代かな……見た目は…。
「フェレサ、そちらの3人は?」
「今回調査を手伝ってくれた人たちさ、報告するんだったらいた方がいいと思ってね」
「そうですか、それでは早速報告を聞きますので、ソファにどうぞ」
そう言われ俺たちはギルド長の前にあるソファに座る。
「すみませんねフェレサ、今回は急遽依頼を頼んでしまって」
「別に構わないよ、友人の頼みとあってはね」
友人?この年の差でか。
「ギルド長とフェレサって親しい仲なのか?」
「そうだよ、私の友人さ」
「すみません、まだ名乗っていませんでしたね。私はこの町のギルド長、サリファ・スコールと申します。」
「そうか、俺はアキハという」
「私はヨルハと申します」
「ノーメンと申します」
「か、仮面?」
「この人はあまり人に素顔を見られたくないそうなんだよ」
フェレサが説明する。
「そうなんですか」
「ところで少し聞いてもいいかなギルド長」
「サリファで良いですよ」
「それじゃあサリファさん、フェレサとは親しい仲と言っていたが本当の歳をフェレサは知っているのか」
「本当の歳?…ああ、そういうことですか。それならちゃんとフェレサも知っていますよ」
「そうか、ならいいんだけど。サリファさんもかなり魔法の腕がたつようだな」
「まさか見破られるとは思いませんでしたよ。あなたも結構な力を持っているのですね」
「アキハ様、何のことを言っているのでしょうか?」
夜が首を傾げている。
「サリファさんは魔法で自身を若返らせているだよ、かなり高等なことだ。普通は実現不可能なほどにね」
「はは、サリファは本当はおばあちゃんなのさ!まさか初見で見破るなんてさすがアキハさんだね」
スパン!
サリファがフェレサの頭を叩いた。
「おばあちゃんとはなんですか!肉体が若返っているですからおばあちゃんではありません、それにこの魔法は不完全だったらしく解けなくなってしまったものです。ですから私は永遠の二十歳です」
「痛いじゃないかー、精神はおばあちゃんなんだから本当のこーーー」
スパン!
「おばあちゃんじゃありませんよね、フェレサ!」
「そ、そうだね、おばあちゃんじゃないね。だからその殴る手を止めてくれないかい、お願いだから」
仲良いな本当。
「そろそろ報告に入らないか」
「す、すみません。そうでしたねそれじゃあフェレサ報告をお願いします」
「はあ、痛かった。わかったよ…それじゃあ報告を始めるね」
自業自得だフェレサ…。
こうして俺たちはやっとギルド長に報告を話し始めることができた。
◆
秋たちが港町に着く前日…。
「報告によるとターゲットが明日この町に到着するみたいだ」
「作戦は確認通りでいいんだな」
「ああ」
「決行はいつだ?」
「作戦決行は明日の夜、ターゲットがこの町に着いた日だ。その日の夜まではターゲットの周囲の観察、情報収集に徹しろ」
「「「「了解」」」」
どうしよう、勇者達が登場する前に二章が終わってしまう〜(゜д゜lllゞ




