生首の正体
はっ!生首が夢に出てきた(゜д゜lll)
「夜、少し動かないでくれ」
「え?主さーー」
「動くな!」
「は、はい」
生首は変わらず夜の背中にしがみついている。しかしこれどうすればいいんだ。俺の魔力でも逃げ出さないし、これ以上に魔力濃度をあげればもしかしたら逃げ出すかもしれないが魔力濃度を上げすぎると夜の方にも影響が出てきてしまうからな。
どうしよう、とりあえず触ってみるか。
そう思い俺は背中を向けている夜にしがみついている生首の頭を…引っ叩く。
スパン!
うわ本当に触れちゃったよ、どうしよう。
「きゃ、」
ん、今こいつなんか言わなかったか。
「きゃ、」
きゃ?ってなんだ。
「き、きゃアァァーーーーーーーーーーーーーー!」
「うわ!」
「主様!どうしたのですか!?」
「い、いやなんでもない」
様子からして夜には聞こえてないみたいだな。しかし何なんだこいつ、突然叫び出しやがった。怖すぎるぞ、マジでどうする。
まだ叫んでいやがる。
「きゃーーーーーーーーーーーー!」
う、うるせー!
スパン!
あ、つい殴ってしまった。しかも今ので地面に叩き落とされたぞ。
「夜、俺の後ろに来い!」
「え?は、はい」
夜を俺の背後に移動させ、俺は地面に転がっている生首を踏みつける。
「お前は一体なんなんだ、喋れるんだったら答えろ、。10秒以内に答えが返ってこなければお前を消す」
「主様いったい何を?」
夜さん、その何やってんだこいつみたいな眼はやめてもらっていいですかね。そんな眼は日本で散々見飽きてるから。
まあ、夜には後で説明すればいいだろ、それよりも今はこいつだ。
俺はカウントダウンを始める。
「じゅう、きゅう、はち、なな、ろく、………」
「す、すみませんでしたー!」
うわ、喋った!いや俺が答えろと言ったんだけどさ、まさか本当に喋れるとは思わないでしょう。
「お前、喋れるのか」
「あ、ああ、それでだとりあえず事情を説明したいのでこの足をどかしてもらってもいいかな」
急にペラペラしゃべり出すと気持ち悪いな。
「どかしてやるが、ここから逃げ出すなよ。それやったら消すからな」
「逃げ出さないから早くよろしく頼むよ、だんだん顔が痛くなってきた」
「わかった」
そうして俺は生首を踏み付けていた足をどかす
「ふはあーこれでやっと楽になるー」
「解放してやったんだからちゃんと説明してもらおうか」
「ああ、わかっているさ、と、その前に能力を解除しなきゃね」
そう言った生首には俺から見て特に変化は見られなかったが、
「ぬ、主様!その気持ち悪い生物はなんですか!」
「夜、見えているのか?」
「は、はい生首に手が生えている生物です。き、気持ち悪い」
なるほど、能力で姿を消していたのか。てことは幽霊ではないのかな。
「夜、こいつは大丈夫だから。一旦その殴ろうとしている手を止めてくれ」
「え、あはい」
「じゃあ、生首いろいろと教えてもらおうかな」
「ああ、それじゃあまず私の名前から、私はクラスタ・フェレサ。気軽にフェレサと呼んでくれて構わない」
「………」
「何か反応してくれないかな!」
「いいからさっさと本題に入れ」
「わ、わかっているさ。それじゃあ私がこんな姿になった原因から話そうかな」
「元からそんなんじゃなかったのか」
「もちろん、私は数日前まで君たちみたいな普通の姿だったのさ」
「………」
「信じてないだろ!本当なんだぞ!」
「わかったからその原因とやらを話してみろ」
「実は、私はこの森にとある調査で来たんだ」
「調査?」
「私は冒険者をやっていてね。それである町のギルド長からここの調査を依頼されたんだ。この森の調査を開始したのが3日前、調査初日は特に何事もなく終わったんだけどね、異変は次の日の朝に起こった。そう次の日の朝、目を覚ますとこの姿になっていたんだよ突然、本当にびっくりしたよー」
こいつ絶対たいして驚かなかっただろ。
「それで、結局原因はわからなかったのか?」
「うん、そうなんだ。今日までいろいろと調べてみたんだけど原因は不明。この森には滅多に人もこないしね。だから君たちが来た時は本当に嬉しかったよこれでどうにかなるかもしれないと」
「じゃあなんで姿を隠してた」
「君には見えていたんだよね?すごいね一体どんな能力を持っているんだか。まあ、それはいいとして姿を隠していたのはね流石にこの姿でいきなり現れても怖いだけかな、と思ってタイミングを狙っていたのさ」
いや、普通にどんな現れ方してもその姿がすでに怖いからどうしようもないだろう。夜がさっきから臨戦態勢を解かないし、なんで俺じゃなく夜についてきたのかは聞かないほうが良さそうだな、夜が気持ち悪がりそうだし。
「さっき叫んだのは?」
「いや、いきなり叩かれたからビックリしてしまったのさ、それに君が見えているのはあの時気づいたんだから」
叫び方が怖すぎだろ、まあそれはいいとして。
「それで、助けて欲しいんだろ?具体的にはどうすればいいんだ」
「とりあえずギルド長に頼まれたこの森の調査を手伝ってくれないかい。もしかしたらこれの原因もこの森にあるかもしれない」
「それは別に構わないが、ギルド長には一体どんな調査依頼を受けたんだ?」
「それが、この森に最近危険な魔物が住み着いたらしくそれの調査、及びこの森に関することだってさ」
「魔物の調査はわかるがこの森に関することってなんだ」
「この森はいろいろと変な噂が絶たなくてね。例えば死者が見えるとか、まあその辺りの調査だよ」
「へ、へえー」
まあ、とりあえず後半の方の調査はしなくてもよさそうだな。
「じゃあ、魔物の調査から始めよう」
「本当!本当に手伝ってくれるのかい!」
「ああ、いいぞ」
「やったー。この森で会えたのが君達でよかったよ!」
手が生えた生首がバンザイしてるとさすがにちょっと気持ち悪いな。
「主様、本当にいいのですか?この気持ち悪い生物の願いを聞いて」
夜さんはそんなに嫌いか、まあ気持ち悪い容姿だということは確かなんだが。
「はは、そんな真正面から気持ち悪いと言われると傷つくなー。まあ自分でも最初この姿になった時は気持ち悪いと思ったけど」
「まあ、いいじゃないか夜」
「主様がお決めになったことですのでそれでよければいいのですが」
俺は夜に小声で言う。
「こんな面白そうなことを見逃したらもったいないぞ。それに夜、面倒くさくなったら放棄すればいいだけさ」
「わかりました、私も協力させていただきます」
とりあえず夜も納得してくれたみたいでよかった。
「それじゃあ、こちらも名乗っておくな。俺たちもフェレサと同じ冒険者だ。名前はアキハ」
「私はヨルハです」
「アキハさんとヨルハさんだね。協力してくれるからにはちゃんとお礼もするから、これからよろしくね!」
「ああ、よろしく」
「よろしくお願いします…」
夜とフェレサは仲良くなれそうにないな。
港町はまだ遠そうです…




