旅路の別れ
夜さんの社交辞令( ̄Д ̄)ノ
翌日は結構早い時間に湖を出発した。結局御者はホアイとカルムが初めにやり途中からシッタに変わることになった。
早朝だということもあり馬車の中で眠ることができることになったシッタの顔は満面の笑顔だった…
俺と夜が乗る馬車は荷台がもので溢れていて結局二人とも御者席に座ることになるので揉めることはない…ただ荷台が空いていて座るスペースがあるのなら夜は俺に荷台を譲って御者をかってでてくれると思う……たぶん…
まあ、そんな感じで湖を出発した。出発した時間が早いので昼頃には町につけるだろう。
町についたら今日はそこに滞在するつもりだが、明日は早速港町に向けて出発するつもりだ。
だからクレア達とは町についたらお別れだろうな。まあ馬車に乗せてもらえたのはよかったし、こういう縁も旅の醍醐味だな。
「主様、次の町から港町まではどれくらいの距離があるのでしょうか?」
「ん〜、だいたいバスールの町から今向かっている町までの距離ぐらいだな」
「結構遠いのですね」
「ああ、だから次の町でできれば馬車なんかも欲しいところだな」
「あの少し思ったのですが、主様の能力を使えば一瞬で目的地につくのではないのでしょうか?」
「ばっか、お前!そんなんじゃ面白くないだろ。せっかくの旅は道中を楽しむものなんだよ!それをするのは緊急時と俺が面倒くさくなった時だけだ」
「そ、そうなんですか」
「いずれ夜にも旅の面白さはわかるさ」
「はい」
道中はこんな感じで夜と談笑しながら過ごした。今日の馬車の旅も何かの襲撃があったり魔物があらわれたりするわけでもなく目的地の町についてしまった。
何かあったといえば昨日のように途中休憩に入った時、御者を変わるため熟睡していて起こしてもなかなか起きないシッタを起こすためホアイとカルムがシッタの顔をボコボコに殴っていたとうことだ。
なんかあの二人のシッタの扱いが酷いんだが…
とまあ、こんな感じで顔が倍近く腫れ上がったシッタがそこから御者を務め無事昼頃には町についた。
町の検問所でも今回は冒険者カードという身分証もあり、すんなり町に入ることができた。
そして今は馬車庫に馬車と馬を預け、そこでクレア達と少し話をしている。
「アキハさんとヨルハさんはこれからどうするのでしょうか?」
クレアが聞いてくる。
「今日はとりあえずこの町に滞在して、明日にはこの町を出て行くつもりだ」
「この町が最終的な目的地じゃないんですか?」
「ああ、まあ一応今の所目的地は港町だな」
「どこか別の大陸にいくのでしょうか」
「ああそうだ。獣人族が暮らすキャッタナ大陸に渡るつもりでいる。クレア達はどうなんだ今後の予定は?」
「私はこの町でしばらく仕事をするつもりです。私とホアイさん達との護衛契約はこの町までなのでこの町でそれぞれお別れですね」
その言葉にカルムが言う。
「いや、俺らもしばらくはこの町を拠点にして依頼を請けようと思っている」
「そうか、じゃあ四人とはこの町でお別れだな」
「そう思うとちょっぴり寂しいですね…」
クレアが少し俯向く。
「まあ、また縁があれば会うこともあるだろうさ」
「そうですね」
「そうだな」
「ああ、そうだね」
「そうっすね」
「それじゃ四人とはここでお別れな。明日は朝早くに出て行くつもりだからこれが最後だ」
「そうですか…今回はいろいろとありがとうございました。あの町で出会えたのがあなた方で本当に良かったです」
「俺たちも本当に助かりました。あなた方がいて下さらなければ俺たちは魔族に殺されていたかもしれません。本当にありがとうございました」
「俺も同感だ。Sランク冒険者の戦いを間近で見れてよかった」
「俺もいろいろと勉強になりました!これからも冒険者頑張っていきたいと思いまっす!」
そうだなシッタにはぜひ頑張ってほしい。なんか面白そうだし。
「ああ、俺もいろいろ助かった。ありがとな」
「私からも礼を言います、いろいろと(主に馬車に乗せてくれて)ありがとうございます」
夜が俺以外の人と喋るのは珍しいな。まあこういう社交辞令も学んでいったほうがいいからな、猫をかぶるのは自分で仕組んで面白いことを起こすには必要なことだし、それにこれから夜にも必要になるかもしれないしな。
「それじゃあお別れだな、またいつか」
「それでは、みなさんさようなら」
「はい、また会いましょう。アキハさん、ヨルハさん!」
こうして、俺と夜はクレア達と別れ宿へと向かった。
今回は結構値段が高い宿に泊まるつもりだ。昼食もそこの宿内で食べるつもりだし、理由は先ほど別れたばかりのクレア達と町中でばったり会うと結構な言葉を並べて別れた故に気まずくなってしまいそうだから…
次の日の早朝、俺と夜は出発の準備を整え宿を出た後昨日夜に言っていたにも関わらず忘れていた馬車を買いに来ている。クレア達に会わないためにかなり早い時間にきているので店が開いているか心配だったが、無事開いていたので良かった。
「それでどんなのが欲しいんだ?」
「んーなるべく持久力がある馬と馬車内はなるべく、くつろげる空間が整ってる方がいいな」
「そうか、じゃあちょっと待ってろ。馬の方を先に連れてくるからよ」
そうして店主が馬を連れてくるのを待っていると、
ヒッヒヒーン!
ドゴッドゴン
「こら、おとなしくしろ!」
随分と荒れている馬を連れてきた。
「この馬が一番持久力が高いんだが見ての通り気性が荒くて買い手がつかなくてな、どうだ?」
どうだと言われてもな〜まあ、この馬の性能が高いんだったらやっぱこの馬でいいかな。
「ちょっと触らせてくれ」
「あ、ああいいが怪我しないよう気をつけろよ」
「ああ、わかってる」
そう言って俺は馬へと近づき言葉を発する。
「少し、おとなしくしろ」
ヒッヒヒーン…
言葉に少し威圧をのせて発してみたが効果は抜群のようだ。
おとなしくなった馬を撫でてやる。
「オヤジ、この馬でいいや。あと馬車もそっちで選んじゃってくれ、値段は気にしなくていいから」
「あ、ああ」
こうして、馬も決めオヤジが持ってきた馬車を買った俺はこの町を出発した…
◆
「情報によるとターゲットは数日後この町にくるそうだ」
「それ以外の相手の情報はないのか?」
「特に戦っているところを直接見たわけではないからな、戦力は正確なところはわからないままだ。それに今回は調べる時間も足りなかったからな」
「そうか」
「今回はギニィ様直々の命令だ。失敗するわけにはいかない」
「命令の内容はターゲットを無傷でギニィ様の御前に連れていくことだろう」
「ああ、それとターゲットの情報についてなんだがどうやら一人だけ連れがいるそうだ」
「連れて来いと言われたのはターゲットのみ。その連れは殺ってしまって構わないのだろう」
「ああ、グレイリン様にも許可は得ている」
「ならば、作戦実行はターゲットがこの町に着き次第とする。失敗は絶対に許されない、我ら5人で確実に作戦を遂行する」
「「「「了解」」」」
ギニィシルヴィアより命を受けた彼らはターゲットが町に着くのを暗闇の中で息を潜め静かに待ち続ける…
次回は港町につけるかなー
どうだろうなー(;´Д`A




