旅の仲間
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魔族を魔王のところへ転移させた俺はステータスを普段のに戻し夜たちがいる冒険者ギルドへ向かった。
ギルドに着くと夜達がいたのでこれからどうなるのか詳しく聞いた。
それによると、ギルド長、町長等が町民に今まで起きていた事態の説明をした後は特にこれといった対処はないそうだ。唯一あるとしたら今回の魔族が行ったことについて辺境伯へ報告をするぐらいだそうだ。まあおそらく辺境伯から国王へ報告されるんだろうけど。
町民には一切の被害がなかったことから、町民への対処も今回のことについての報告だけだ。まあ、報告するのも日数のズレは知らせておいたほうがいいだろうくらいの考えからだからな。
そして夜に頼んでおいた主犯の処罰はすんなり通ったらしい。
どうやらソーラスのギルド長シルさんから何か手紙がきていたらしくなるべくお二方の頼みは聞いてやってほしいと書いてあったそうだ。
ここのギルド長とシルさんは仲が良くシルさんがいうなら安心できると許可してくれた。町長も同じ意見らしい。
なんか、シルさんの俺に対する信頼度が高すぎて驚きなんだが、
俺、最初あの街が危機の時気が向いたら助けるって言ったと思ったんだけど……いいや、忘れよう俺にとっては都合のいいことだし。
そんな感じで町長はソーラスへ出かけ、ギルド長は町民への報告などで忙しく詳しい話はまた後日したいのでと言われ今日は泊まる宿を紹介してもらった。無論宿泊料はタダだ。
俺、まだ一度も宿に金を使ってないな。
今回のことを解決した俺たちはその宿へ泊まることになり現在は宿の一階にある談話室を借りホアイ達と少し話をしている。
「まさか、アキハさんとヨルハさんがSランク冒険者だったなんてビックリしましたよ!」
「だが、さっきの戦いを見ればSランクに見合う、いやそれ以上の強さがあるのは一目瞭然だ」
「ああ、確かにそうだな」
「はい、俺本当尊敬しちゃいますよ!」
先程ギルド長に聞いた俺と夜のランクについてホアイ、カルム、シッタが盛り上がっている
あと、シッタはギルドに着いてすぐギルド長にポーションを飲まされるはぶっかけられるはで今は怪我をする前より元気なんじゃないかというほどテンションが高く、怪我も完治している。
やっぱなんかすごいアホっぽいんだよなシッタって、言動が。
「それで、三人の冒険者ランクはいくつなんだ?そっちだけ知っているのもな」
「あ、はいすみません。えっと、僕とカルムがAランクで、シッタがBランクです」
「へえ、二人はAランクだったのか。シッタお前もっと頑張れよ」
「無茶言わないでくださいよアキハさん、俺これでも頑張ってる方ですって」
だか明らかに二人とシッタの実力は離れている。シッタの必要性ってムードメーカーってだけなんじゃね。
まあ、それはいいとして、
「ところで四人はこれからどうするんだ?とりあえずは明日ギルド長に今回のことを詳しく話すまで、つまり今日はこの宿に泊まるんだろ」
俺の質問にホアイが答える。
「はい、そのつもりです。ですが僕達はクレアさんの依頼を受けている途中なのでクレアさんの意向に従おうと思っています」
「私は明日ギルド長との話が終わったらすぐにこの町を出て行こうと思います。今回のことで予定がくるってしまったのでなるべく早く目的地に着きたいと思いまして」
「目的地?それってこの町と港町の中間にある町のことか?」
「はいそうです!」
「じゃあ俺たちも一緒に行っていいか?俺たちもそこに行く予定だったから」
「はい、いいですよ、人数が多い方が旅は楽しいですから」
「ああ、じゃあ明日ギルド長に今回のことを詳しく話してから出発でいいんだな」
「はいそうです」
「それじゃあ、今日は一旦別れてそれぞれの部屋で休むとしようか」
「そうですね今日は疲れましたし、また明日会いましょう」
「ああ、そうだな、それじゃあ夜行こうか」
「はい」
こうして俺と夜はクレア達四人と別れ自分の部屋へ向かった。
ちなみに俺と夜の部屋は別々だ。個々に部屋をとってくれるとはなかなかに気前のいいギルド長みたいだな…
こうしてこの町の慌ただしい1日は終わっていった…
◆
次の日、俺たちはギルド長に今回のことを詳しく報告するためにギルド長の部屋へきていた。
……「それで、今回の主犯の魔族はどうしたのですか?」
今回、どういったことが起こっていたかなどわかることは全てホアイが報告した。そのあとにギルド長が俺に聞いてきた。
「誰の差し金か吐かせようとしたところあらかじめ仕込んでいた自爆の術式で自ら命を絶ち情報は何も得られませんでした」
はい、うっそでーす!
「そうか、情報が得られなかったのは残念だが今回は魔族が絡んでいたにも関わらず一人の犠牲者も出ていないからなそれで良しとしとこう」
「そうですね」
しかし俺ってよく嘘がこんなにすらすら出てくるよな、他の人たち完全に信じちゃってるし。
まあ、本当の事を知っている夜は若干呆れの混ざった眼差しで俺のことを見てきているが。
「それで、あなた方はこれからどうするのでしょか?この町に滞在するのであれば今泊まっている宿はその間使っていて構いませんが…」
「いえ、私たちは今日中にこの町を出ていくつもりです」
ギルド長の質問にクレアが答える。
「今日ですか?それは随分と早いですね」
「この町にはそれほど滞在するつもりはなかったので今回の事で遅れた分早めに出発しようと思いまして」
「すみませんな、どうも日数の感覚が狂ってしまっているようで。そうですか、他に目的地があるんですね。それなら道中はお気をつけて目的地を目指してください」
「はい!」
こうしてギルド長との話は終わった。
ギルド長の部屋を出る時、最後にギルド長から礼を言われた。
「今回は本当にありがとうございました。またあなた方に逢えるのを楽しみにしています。それではまた」
こうしてギルド長と別れた俺たちはクレア達の馬車がある車庫へきていた。
「馬車は二台ありますが一台は商品などの荷物がたくさん置いてあるので馬車内には乗れません。どうしましょうか」
そういえばクレアは商人だったな、。見た目からは想像できないからすっかり忘れてたわ。
「じゃあ、俺と夜が荷物がたくさんある方の馬車の御者席に乗るってことでいいんじゃないか」
「そうですね、そうしましょうか」
そして馬車の乗り方を決めた俺たちはこの町〈バスール〉を出発した……
◆
その頃、ギニィシルヴィアが暮らす魔王城では……
「グレイリン!先ほどここへ転移してきたカルムマンは回復したか」
「はい、先ほど喋れるまでに回復したので今は何があったのか聞いているところです」
「あいつは、人間族の大陸で魔力に関する実験をしていたんだろう。それがなんだあの無様な姿は」
「カルムマンはこの後どう致しましょうか?」
「無論処分しろ、あんな無様な姿を晒す幹部は必要ない」
「かしこまりました」
「だか、人間の大陸には調査員を出せ、カルムマンをあそこまで追い込んだ張本人を見つけ出せ!」
「カルムマンは一人の人物にやられたのですか?」
「ああ、そうだ。先ほどの転移はカルムマンではなく別の何者かがやったことだ。それほどの転移が使えるものならカルムマンが一対一で負けてもおかしくないからな。それにわざわざこの私のところへ送り返してきたんだ。直々に私が相手をしてやろうではないか!」
「それではその者を見つけ次第ギニィ様の前に連れてまいります」
「あまり傷つけるなよ、私の獲物なのだからな」
「はは!かしこまりました。それでは早速調査隊の選別に行って参ります」
そう言ってグレイリンは部屋を出ていった。
ふふ、なかなか面白いことになってきたではないか!
こんなに気分が高揚したのはいつ以来だろうな。もしかしたら相手はつい最近召喚された勇者なのかもしれんし、あー、戦おうのが待ち遠しいぞ!
やっぱりいつになっても強者との戦いはやめられん。
「待っているぞ強者よ!いつか必ず相見えようぞ!」
高らかに叫ぶ魔王ギニィシルヴィア。
だがギニィシルヴィアは知らない、自分が相手にしようとしている者が自分を上回る化け物だということを……
エレスタの勇者側の話はもう少し先になりそうです




