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術者はどこ

遅れました( ̄^ ̄)ゞ




クレアの話は俺の結論を裏付けるものだった。


まず俺が数日前盗賊におそわれていなかったか、と聞くと「はい、そうなんです。なぜ知っているんですか?」と言われたので適当にはぐらかしておいた。

いや、無視したなんて言えないよ。


クレア達は確かに盗賊に襲われていたみたいだが、どうやら俺たちがあの場所を通りすぎてから、近くに水を汲みに行っていたこの中では一番腕が立つホアイが戻ってきて盗賊達を追い払うことができたそうだ。


なるほどな、やっとつながった。


そしてその後クレア達はその日のうちにこの町へ到着したそうなんだが馬車が門を通り抜けようとした瞬間

周囲が光り輝き気付いたら町の中に立っていたそうだ。


クレアたちはその後もいろいろ調べたそうだが、門を通ろうとしても見えない壁に阻まれてしまうそうだ。

馬車を動かそうとしても馬で引いてもびくともしないらしい。


まあ、あの馬車は同時に2つの空間に存在しているんだ、動かせないのは当たり前なんだが。


その後も町民に事情を聞いて回ったそうだが誰一人としてこの問題を認識している者はいなかったそうだ。

そしてとりあえず1日目は終了した。

2日目はまた情報収集に徹したそうだが結果は変わらなかった。

しかしある事がわかったそうだ。昨日と全く同じ行動をしている人がいると、これに気づいたのはカルムらしい。なかなか細かいことに気づくな。

普通はわからないものだが、なかなかいい感してる。


そしてその後は町民達を観察しカルムの話が本当かどうか確かめていた。

そして今日その最終確認のため町民たちに話しかけていたところを夜に話しかけられ、ここまでついてきたそうだ。


話の途中あなた方はどうやってここに?と聞かれたので入り方を知っていたということを除いてどうやって入ったか教えた。もちろん一方通行だということも。


まあつまり、現状術者を見つけない限りこの隔離からは解放されない。


「でだ、どうするつもりなんだクレア達は?」


「とりあえず、こうなった原因を調べようと思って」


「そうか」

まあ、原因はわかっているんだが、どうしようかこの子達にそれを教えてしまおうか…


「じゃあ、俺たちも手伝うよ」

俺は【思念伝達】で夜に伝える。


(夜、しばらく俺に合わせてくれ)

夜が頷いたのを確認し俺は言う。


「とりあえずこちらも自己紹介を。俺はアキハ、でこっちがヨルハ、俺らは冒険者をやっている。そっちの三人とは同業者だな。よろしく頼むよ」


「はい」

「ああ」

「おう」

「ん」


「それで、原因を突き止めると言ってもどうするつもりなんだ?」


「私は役に立たないので、冒険者さんたちにお任せします」


クレアがそういうと後ろにいた冒険者三人が前に出てきた。


「それじゃあまずは予想を立ててみようか。この状況になった原因は一体なんなのか、そこからこの状況を打開する案をだそう」


俺がそういうとカルムが話し始めた。


「じゃあまず俺から話させてくれ。

まずはいつからこの状況なのか。これは俺たちがこの町にきた瞬間からだ、今の所このタイミングに何か理由があったのかはわからない。

次にこれは自然的発生によるものなのか、故意的発生なのかだが、おそらく故意的の方が可能性は大きい」


「なんでわかるんですか?」

クレアが聞く。


「俺が以前この町を訪れた時、町は普通だった。しかし今はあの見えない壁がこの町だけを特定したように覆っているということからだ」


「そういえば外からこの町はどう見えたんだ?」


カルムが聞いてきた。


「町の外ではこの町は見えなかった。この町にあるもので唯一見えたものは馬車だけだ」


「なるほど、つまりこの見えない壁は町の外から見えなくしこの壁が囲っている範囲を24時間毎に時間を巻き戻しているのか」


ブッブー!ハズレでーす、仕方ないもう少しヒントを与えるか。


「じゃあなんで馬車は動かないんだ?」

3人の中では一番バカそうなシッタが聞く。


だが、いい質問だ。


「それは.......」

カルムが言葉に詰まる。


よし、ここでヒントを出してやろう。

「まるで空間が固定されてるみたいだな」


「空間が固定?」


「そうだ、空間が固定されているようだ。だって動かないのは馬車だけなんだろ、まるで馬車の時間が止まったようじゃないか」


「そうか、そういうことか!」

お、カルムはわかったようだな。


「どういうことだカルム」

「私にも教えてください」

「俺にも教えてくれ」

シッタ、クレア、ホアイがカルムに詰め寄る。


「教えるから、落ち着け」


「まず、なぜ馬車は動かなかったのかだが、多分この町は町の外の空間から隔離されている。そしてそのちょうど中間に位置してるのがあの馬車だ。だからあの馬車に乗った二人はこちらに転送された。そして同時に2つの空間に存在している馬車は空間に固定されてしまっているわけだ」


「……どういうことだ?」

「私にもよくわかりません」


「なるほど…そういうことか」

ホアイは今の説明でわかったようだが、他二人はわからないか。


「それで、どうすればこの隔離された町から出ることができるんだ」


ホアイがカルムに聞く。


「おそらくいるだろう術者を捕らえて術式を解かせるしかないだろうな」


「しかし、その術者の目的はなんなんだ」


「そこまではわからないが、とりあえず術者を見つけることができれば全てわかるだろうさ」


「それもそうか」


「え、でも術者はこの町にいるのでしょうか?」


クレアが指摘するが、まあ同然の疑問だな。


「あっ!」


「そういえばそうだな。自分の術の中にいるなんてあるのか?」


まあ、これは教えてもいいかな。

「おそらく術者はこの町にいる」


「え?!」


「なんでそう言い切れるんだ?」


「術者がこの町の外から術式を発動したのなら、お前達がこの町に完全に入ってから発動しただろ。しかし、実際は入りきる前に発動している。おそらく町の中から発動していてそこまで確認できなかったんだろう」


「……な、なるほど」

「そうだったのか」

「私にはよくわかりません」

「なるほどな」

シッタはわかったふりをしてるな。やっぱ典型的なバカらしい。


でもどうやら納得してくれたようだ。実際は術式を見てわかったことで今のは咄嗟に思いついたことなんだが、術式が見えることがばれたら元も子もないないからな。



「それじゃあ、術者を捕まえればここから解放されるんだな」


「ああ、そうだ」


「でもどうやって?術者の手がかりはなにもないんですよ」


クレアが心配そうに言う。


「術者にとってお前達四人は邪魔者でしかないはずだが」


「そうか、俺たちを餌におびき出せれば」


「でも、なんでこの町に入ってから今まで襲われなかったんだ?」

「こんな大規模な術式なんだ。術者はこの術式から手を離せないんじゃないか?」


「そう、これは大掛かりな術式なんだ。ということは必然的にこの術式を発動している場所つまりこの術式の核となる場所は決まってくるだろう」


「「町の中心か!!」」


「そうだ。そこにお前達が現れれば必ず術者から姿を現すはずだ。そして術式を発動中の術者はそこまで強くない。なんとか追い込めば術式を解除せざるをえなくなるだろう」


「カルム、この街の中心地には何がある」

「確か、教会があったはずだ」


「それじゃあ行きましょう、アキハさん、ヨルハさん!」


「おびき出すには四人で十分のはずだ。俺と夜はもしもの場合に備えて裏からその術者を追い込もうと思う」


「それもそうですね。それではここから二手に分かれて教会に向かうということで」


「それじゃあ、行こうかみんな」

「おう」

「はい」

「ああ」


そうして四人は町の中心地へ走って行った。


それにしても.....あの四人どんだけ思い通りに動いてくれるんだよ。

途中から笑い堪えるのに必死だったぞ。


「主様、今回は面白くなりそうですか」


「さあどうだろうな、今回はあんまり面白くならないかもしれないな」


「では、どうして?」


「これは準備さ、面白いことが起こるための」

「準備?」

「ああ、今回の事は必ず面白いことに繋がっていると思う。まあただの勘だけどな」


「そうですか、私も楽しみです」




楽しみ、だと!?

「よ、夜よあまり俺の影響を受けないでもらえるとありがたいんだが......」


「私は主様に造られました。創造主たる主様に似るのは必然かと」



俺の個性を殺す気かこいつめっ!!



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