会いたくない2人組
遅れてすみませんm(_ _)m
誰かの声が聞こえる…
「…様、主様!朝です、起きてください」
「ああ、夜か、ごめん眠いから無理」
「主様、今日は辺境伯のところへいくのでしょう」
その言葉を聞いて俺はベットから跳ね起きる。
「うわ、やばいすっかり忘れてた。夜、辺境伯に会う時間まで後どれくらいある」
「大丈夫ですよ主様、ここから辺境伯邸まではそれほど遠くありませんし、まだ1時間ほど時間があります。朝食は作っておきましたので食べてください」
「ああ、そうかそれじゃあいただこうかな」
「はい」
こうして朝、寝坊しかけ夜に起こされた俺は昨日から楽しみにしていた辺境伯のもとへいくのだった。
なぜ俺が辺境伯のところへ行くのが楽しみなのかは辺境伯の館につけば分かることだろう…
朝食も食べたことだし、
それじゃあそろそろ宿を出発しなけきゃな。
「夜、そろそろ辺境伯のところへ行こうか」
「はい主様」
現在朝9時ごろ、街は朝特有の賑わいを見せることなく意外と静かだった。
まあ、おそらく。昨日の宴が響いて大半がまだ寝てんだろうな
今日の俺の予定は埋まってるし、街やここ周辺の探索は明日でいいかな、まだ数日この街にいるつもりだし。
ところですっかり忘れてたけど、ギルド長に辺境伯邸までの道教えてもらってないんだけど。
え、まさかまたあのおっさん二人が俺の眼の前に召喚されちゃうの、俺嫌だぞ絶対、あの手を繋ぎあって幸せそうに死んでいる二人、思い出しただけでも身震いがする、絶対に会いたくない。
ちくしょう変な記憶残しやがって、やっぱ見なかったことにはできそうにないぞ。
「主様、辺境伯邸までの道は私にお任せください、昨日ギルド長よりお伺っております」
「そ、そうか、ならいいんだよろしくな夜」
ありがとう夜、君に心からの感謝を送るよ。
「……?」
こうして俺は夜に辺境伯邸まで案内してもらったわけなんだが…
本当、まじ最悪だ。
「おう、にいちゃん久しぶりだな、つっても会ったのは昨日なんだけどな」
「嬢ちゃんもおはようさん」
もう少しで館についたのに!もう目の前に見えてきてるのに!
道を曲がったところで偶然にもこのおっさん二人と再開してしまった。
「すまん!」
ガンッ!
「ゴヘッ」
「グハッ」
これでよし、
悪いとは思うがおっさん二人には気絶してもらった。やっぱあの二人を見ていると寒気がしてくるので耐えられなかった、いや本当すまん。
気絶したおっさん二人を道の端に寄せてから、俺たちは辺境伯邸へ向かった。
もう目の前まで来ていたのですぐだったがおっさん達にあった時は館がものすごく遠く感じたな、不思議だ。
辺境伯邸の門の前まで行くと自然と門が開いたのでそのまま俺たちは館へ入った。
「それにしても、やっぱ広いな」
門を抜けるとお花畑とでもいうような、とにかく広大な庭が広がっていた、そしてその奥に西洋風の大きな邸宅が見える。
「邸宅も大きいしやっぱ辺境伯なだけはあるな」
「はい、花もとても綺麗ですね」
なんと!?夜からそんな言葉が出てくるとは…
君にも花を美しいと思える心が残っていたんだね、僕は嬉しいよ、シクシク。
「主様、何ですかその目は、なぜ私を哀れみの含まれた眼差しで見ていらっしゃるのですか」
「いや、いいんだ夜、僕は嬉しいだけだから」
「主様言っていることがよくわからないのですが」
「はは、冗談冗談。ちょっとしたおふざけだ」
「…そうですか、ならいいのですが」
こんな感じで夜をからかっているといつの間にか邸宅の近くまできていたようだ。
扉の前に立つとさっきと同じように扉が自然と開いたので俺たちは中へ入っていく。
中は眩しいくらいに豪華な内装だ、これは俺の趣味に合わないな。
「お待ちしておりましたお客様、ここからは私が案内させていただきます」
そう話しかけてきたのは執事服を着た壮年の男、まあ、見た目通り執事のようだな。
「ああ、よろしく」
そうして執事に案内されたのは二階に上がって一番奥の部屋だった 。
コンコン
「失礼いたします旦那様、お客様がお見えになられました」
「入れ」
そう言われ中へ入ると想像していた煌びやかな装飾などもなく以外と質素な部屋だった、その部屋の奥に辺境伯が座っている。
「とりあえずソファに掛けてくれ」
俺と夜はテーブルを挟んで辺境伯の向かいのソファへ腰を下ろす。
「では、私はこれで」
そう言って執事は部屋を出て行った。
「それではまずはお互い自己紹介からしようか」
「そうですね」
それにしてもこの辺境伯ずいぶん厳つい容姿だな、物腰は柔らかいけど
「私はカイバルトといいます。この辺境伯領領主です。まず、昨日の件この街の住民達を守ってくださりありがとうございます」
そう言って辺境伯カイバルトは頭を下げてきた。
「礼は素直に受け取っておくよ、その代わりと言ってはなんだが少しばかり聞きたいことがあるんだが」
「聞きたいこと?」
「ああ、俺たち二人はずっと近くの山で師匠に教えを受けていたんだ。そしてつい昨日山を降りたばかりで世情には疎くてね、その辺りのことをいろいろと聞きたいと思ってね」
「そうでしたか。その程度のこと、もちろんお受けいたします」
「じゃあ、お互いの自己紹介が終わった後によろしく」
「はい」
「それじゃあ次はこちらの自己紹介だな。まず俺の名前はアキハという、でこっちがヨルハ、俺たちは同じ師匠に教えを受けた仲でね。これから一緒に旅をしようと思っているんだ」
「そうでしたか、ギルド長に聞いても何も知らないとしかおっしゃらなかったので」
「まあ、昨日会ったばかりだったからね、何も話してなかったんだよ」
「そうだったのですか。…ところで聞いてもいいでしょか」
「何を?」
「あなたが死者蘇生を行ったというのは本当なんでしょうか」
「ああ、そのこと、もちろん本当だよ。やっぱり噂が広まったか」
「いえ、私はギルド長から聞いたので、それにこのことを知っている冒険者達には口止めをしてありますので、住民達はあなた方が街を救ってくださったということしか知らないはずです」
「そうか、それは助かるよ」
本当にヤバそうだったらこの街全員の記憶を消すということになりかねなかったし。
「ところで聞きたいこととは、どういったことでしょう。世情と言われましてもどこをどう言えばいいのか」
「ああ、大丈夫こっちから質問するからそれに答えてくれれば」
「そうですか、ではどうぞ」
ここからいろいろと辺境伯に質問した俺はこの世界についていろいろと知ることができた。