殲滅後の後片付け
前話の投稿時間が遅れてしまったのでお詫びになるかわかりませんが本日は2話投稿にします( ̄^ ̄)ゞ
魔物を倒し尽くした俺たちはその後ギルド長の所へ戻ってきていた。
「御二方!本当にありがとうございました」
「ああ、これぐらいどうってことはない」
「それでも、この街はあなた方がいなければ滅んでいた。本当に、ありがとうございます…本当に」
「ありがとな、にいちゃん」
「嬢ちゃんもありがとう」
「助けてくださりありがとうございます」…
戻ってきてすぐにあの戦いを見ていた者達からお礼の言葉が俺たちにかけられる。
まあ、自分の為にやった事とはいえ、礼を言われるのは気分がいいので別に構わないんだけど。
そんな中冒険者達の隅の方でしゃがんでいる女性がいた。
あれは、サラか?
俺はサラの方へと歩いていく。
これは…
サラは女性の冒険者の死体に縋り付き泣いていた。
「彼女はサラの親友だったのです。今しばらくこのままにしてやってくれませんか」
俺の横へギルド長が来てそう言った。
「この戦いで冒険者は何人死んだ」
「今分かっている限りでは83名がこの戦いで犠牲になりました」
そう言うギルド長の顔は本当に悔しそうだった。
本当、いいギルド長だよ。
「言っただろギルド長この街も“冒険者も”全て助けてやるって」
そう言って俺はサラの隣にしゃがみこむ。
「な、何を!?」
「サラ、こっちへ向け」
「貴方は…ごめんなさい街を救ってくださったことには感謝しています。ですが今は一人にさせて下さい…お願いします」
そう言ってこちらに向かないサラを無理矢理こちらへ向けさせる。
「今は一人にしてやって下さい…」
ギルド長が俺に向かって言ってくるが、とりあえず無視だ。
「サラ、その女性は大切な人か?」
「はい、とても…私の一番の親友です」
「彼女が生きていたら、どんな話をしたい」
「いつものように…笑って、たわいもない話を…したいです…」
「そうか」
そう言って俺はサラの頭を撫でてやる。
「え…」
「ちょっと、後ろへ下がっててくれるか」
「え?」
「夜、サラを頼むぞ」
「はい」
こうしてサラを後ろへ下がらせた俺は死んでいる彼女の親友の額に手を当てる
「な、何をするつもり!」
後ろでサラの声が聞こえるが夜に任せてあるし邪魔は入らないだろう。
そして俺は能力を使う、
アルティメットスキル【生命創造】を。
その瞬間、この場は光で包まる
「な、なんだ!」
「どうなってるの!」
「主様…」
光が収まるとそこには変わらず死体の額に手を当てている蒼葉 秋がいた。
いや、見ただけではわからないが実際は大きな変化が起きている。
「さあ、終わったぞ」
「私の親友に何をしたの!」
「近くに行って見てくればいいさ、夜 離してやれ」
夜が手を離すとサラは親友の元へと駆け寄る。
そしてサラは気づく、
「っ!い、息をしてる…」
「息をしてるだと!ま、まさか貴方は死者の蘇生を行ったというのですか!」
「うるせよ、いきなり大声出すなよじいさん」
「しかし、あれは…」
「ああ、蘇生したよ俺の能力でな」
「幾ら何でも規格外すぎるだろに…」
「そんなことはいいからさっさと他の死体を一箇所に集めろ、今度は一気にやるから」
「まさか、他の冒険者達も!」
「ああ、そうだ、わかったらさっさと行った!」
「わ、わかりました!」
こうしてギルド長は冒険者達の方へ走って行った。
「あ、あの」
「ん?なんだサラ」
「い、いえあの、あ、ありがとうございます。私の大切な親友を助けていただき…」
「いいよ、別に。それより目覚めるのにはもう少し時間がかかるから彼女のそばにいてやれ」
「はい!」
そう返事をするサラの顔はとてもいい笑顔だった。
俺はサラに聞こえないように夜に伝える。
「夜、お前はここに残ってサラの親友に異変があった場合すぐ俺に知らせろ」
「はい」
そして俺は冒険者達の死体を集めているギルド長のもとへ向かった…
………結論から言うと、全員無事生き返らせることが出来た。
ギルド長のもとにいった俺は今度は一気に死者の蘇生を行った。
その途中に気づいたのだが、冒険者の死体の中に冒険者ギルドまで案内をしてくれたおっさん2人がいた
しかもお互い手を繋ぎあってすげえ幸せそうな顔で死んでいた…見なければよかった。
そして、全員の蘇生が終わった。もちろんあのおっさん二人も生き返らせたが、途中このまま逝かせてあげたほうがいいんじゃないか、という考えも頭をよぎった。
◆
その後はいろいろと慌ただしかった、まず今回周辺の視察に出ていて不在だった辺境伯が魔物襲撃の報をききつけ急遽帰ってきた。
帰ってきて早々詳しい事情を聞くためギルド長を自分の館へ呼び出していた。
そのあとこっちに戻ってきたギルド長に明日辺境伯が俺と会いたいと言っている、ということを伝えられ面会の詳しい時間を知らされた。
冒険者達総勢200名は死者の数は多かったものの重症者の人数はそこまで多くなくギルド長が持ってきた上級ポーションで事足りた
そして粗方、今回の騒動の後片付けがついてから住民、冒険者やその他街に滞在していた者たちの前で辺境伯自ら今回の騒動について詳しく説明がされた。原因の調査は後日、ギルドを通して高ランク冒険者へ依頼をするそうだ。
こうして今回の騒動は収束していった。
そして現在は辺境伯が街のため戦った冒険者達をねぎらうため街の住民全員参加の宴をひらき街は大賑わいだ。
あと、すっかり忘れていたが援軍としてこの街を目指していた冒険者達は辺境伯がこの街に到着した後すぐに到着し、
今は何が何だかわからないまま参加させられたこの宴を一緒に楽しんでいるようだ。
俺?俺は今ギルドが用意してくれた宿で休憩中、夜は隣の部屋にいる。夜だけで宴に参加してもいいんだぞと言ったら「今回は私もやめておきます」と言われた。
そして俺が宴に参加しない理由、それはあまりにも注目を集めてしまうからだ 。最初は美味いものが出るというからもちろん参加した。だが俺と夜が戦っていた場にいた冒険者たちが、他の奴らに俺と夜の話をしたのか噂がどんどん広がっていき、今ではもう英雄扱いだ。
そのためこうして宿に避難してきたわけなんだが。
「はあ〜、こんなに目立つつもりなかったのに」
まったく予定が狂ってしまう。
まあでも、
「面白ければなんでもいいか!」
こうして俺のソーラス滞在初日は終わっていった。
ちなみに今回行った死者蘇生は【生命創造】の能力をうまく使い実現できた。ただ死んだ人間をぽいっと出されても俺は蘇生できない。
今回は俺のシナリオだったから死者も蘇生してやったが普段ならあんな目立つことはお断りだしな。