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蒼葉の殲滅戦

遅くなりましたm(_ _)m







「くそ!今何分経ったんだ!援軍はまだなのか!!」


ギルド長は焦っていた、戦いが始まってすぐはまだ数にものを言わせ魔物達を抑えられていた。しかし現在冒険者達の壁は崩れ始めている。


後衛専門のギルド長は、他の魔術師たちと街の外壁の上から冒険者達の支援を行っている。


そこから見る光景は目を覆いたくなる程、悲惨なものへと変化し始めていた。




『グヲオオオオ!!』


一体の魔物が雄叫びをあげ、冒険者数名へと突っ込む。

襲われた冒険者達は後方数十メートルへ吹っ飛ぶ。

そしてそれをかわぎりに冒険者達は次々と魔物達によって倒されていく。



(くっ!やはりダメだ、このままでは援軍が到着するまで持ちそうにない!)



やはり、こうするしかないか、だがそれでも街の住民全員が逃げられるか…。


ギルド長は共に後衛で戦っていたギルド職員のサラを呼ぶ。


「サラ、お前は街に戻り避難所へ街を放棄し逃げるよう伝えるのだ!そしてお前もそれに同行するんだサラ」


「しかし、ギルド長!!」


「お前には今も避難所で心配してくれている姉と祖父がいるだろう。さあ、時間がないんだ、泣いていないで早く行け!」


「は、はい!!…」


よし、これで後は少しでも長くこの場を持ちこたえられれば…


そう思い、前を向いた瞬間後ろから聞き覚えのある声がした。




「はいはい、行かせないよお嬢さん」


「なっ!」


後ろを振り向くとそこには笑顔でこの戦場を見据える少年とその姿を横から微笑ましく見守る女性が立っていた。










「主様、どうやら戦いが始まったようですよ」



夜にそう言われ下を見ると、冒険者達が魔物の軍勢と戦っている光景が見えた。


「おおー、やってるやってる」


どうやら冒険者達は少数のチームに分かれそれぞれのチームで魔物と戦っているようだ。

そして後方からは魔術師達の支援か…まあ、作戦としては妥当なところだな、それでもあまり長くは持たないだろうが。


そう思い、魔術師達を見ているとその中には先ほど会ったギルド長の姿が見えた。


へえ、ギルド長も戦えるんだ、しかもギルド長が放っている魔法はどれも高位魔法だ それも難易度が高いものばかり、それなりにやるようで少し見直したな。


そんなことを考えながら下の状況を観察していると、だんだんと冒険者達が押され始めてきた。


まあ、当然こうなるわな。



その直後冒険者数名が咆哮をあげ突進してきた魔物に後方数十メートルへ突き飛ばされる。そしてそれを機に一気に冒険者達は窮地へと追い込まれていく。



さて、ギルド長 あんたは一体どうするんだろうなこの状況を。


ギルド長の方を見るとなにやら女性と話し合っていた

、ていうかあの女性あの気絶した受付嬢の隣の受付にいた人じゃん、戦えたんだあの人。


そしてどうやら何か言い合っているようだな、

これはそろそろ限界かもしれないな。


「夜、戦闘が始まってからどれくらい経った」


「今、ちょうど2分が経過したところです」


2分....か、思っていたより持ち堪えたしそろそろ助けに行ってやるか



そして俺は夜と一緒にギルド長がいる場所へと転移した。




転移した先であの女性が街へ向かおうとしていることから、ギルド長が下した判断は大体察することができた。


「はいはい、行かせないよお嬢さん」


そういって、街へ向かおうとしていた女性を止めた、

せっかく俺が魔物と戦うんだ、観客は一人でも多い方がいいからな。


「きゃ!何ですか貴方は?!」


「御二方……」


「ギルド長、知っている方なのですか?」


「ああ、大丈夫だサラ。少し御二方と話がある、緊急だ。その間ここを頼む」


そう言ってギルド長は俺と夜の方へ歩いてきた。


「しかし…」


「頼むサラ、もう時間がないのだ」


「は、はい…」


ギルド長に言われては断れないのか、あの女性、サラは戦場へと体を向けた。



「で、話って何じいさん」


「わかっていて仰っているんだったら、性格が悪すぎますぞ」


「はは、ごめんごめんちゃんと分かってるよ」


「では!」


「ああ、ちゃんと助けてやるよ、この街も冒険者も」


「あ、ありがとうございます!!し、しかしあれ程の魔物達をどうするのです。それに冒険者達の中には戦場に倒れたまま動けず避難できないものも」


「あー、説明面倒くさいから取り敢えずここから大人しく見とけ」


「わ、分かりました。ではどうか宜しくお願い致します」


「おう、じゃあ行くか!夜」


「はい!主様」


こうして俺と夜は戦場へと降りていった。






…そこからはあっという間だった。


まず俺は普段のステータス、地球で手に入れた能力とこの世界に来た時発現した能力が統合されてできた7つ目のステータスから第3の世界のステータスへと変更する。

それにより俺の眼は黒色から緋色へと変化していく。



それからスキル【物質転移】を使い、立っている者、倒れている者問わず、俺と夜以外を戦場から街の正門前へと転移した。



「夜、Sランクの魔物は全部で17体だ!9体は俺がやるから残り8体しっかりお前が殺れ、他のAランクの魔物は適当でいい」


「はい、わかりました」


そう言って夜は魔物達の方へと駆け出して行った。



さて、俺もぼちぼち始めるとするか。


先ずは素手だけで数体を屠る。



正面から来た巨大な狼型の魔物を手刀で首を飛ばし、その手刀の勢いのまま地面から飛び出してきたミミズ型の魔物を真っ二つにする。


しかし残る魔物達は本能からくる恐怖心からか動こうとはしない。

しびれをきらし俺から向かおうとすると一際大きな魔物が雄叫びをあげながら突進して来た。どうやらこいつがここにいる魔物の中で一番強そうだなっ!


そして俺もその魔物へと正面から突っ込んでいく



ドガオァーン!!


俺と魔物が衝突した瞬間、魔物は首の骨がへし折れた状態で後方数十メートルへと吹っ飛んでいった。


(今のがこの中で一番強そうだったし、やっぱあの森程度の魔物じゃつまんねえな)


そんなことを考えながらも、また一体の魔物を殴り殺す。


(はあなんか飽きてきたな、俺あと5体倒せば終わりだし一気に片付けちゃうか)


そして俺は俺と魔物達の上に直径50メートル程の魔法陣を構築していく。


まあ、今回はこれぐらいでいいかな。


そして俺は叫ぶ、

「我が命令に従いて、従わざる者への天罰を下せ!

轟け、雷天!」


俺がその詠唱を終わると同時に魔物達へと雷の雨が降り注ぐ。

これ、久しぶりに使ったが、まあまあいい感じに使えてるな、うん満足満足。


そして夜が倒す予定の魔物達を残して他のすべての魔物を殺し尽くし、雷は魔法陣ごと消えていった。



あとは、夜が倒し終われば終了だな…

そう思い夜の方を見るとちょうど最後の一体を倒し終えた所だった。


しかし夜よ、魔物の頭を拳で消し飛ばすとはなかなかに強烈な倒し方をしてるな…




こうして、俺と夜の戦い〈お遊び〉は終わった。









ギルド長やその他この戦場で意識のある者は目の前の光景に愕然としていた。


自分達が束になっても追い払うことすらできなかった魔物達をいとも簡単に蹂躙して行く二人の男女。


これは、夢でも見ているんじゃないかとこの光景を見ている誰もが思ったことだろう…


それはあの二人の強さを僅かでも知っていたギルド長ですら例外ではなかった。


「ギルド長!あの二人は一体何者なんですか!?」


誰もが聞きたいことをサラが代弁する


「(そんなのこっちが知りたいわ!)私だって、そこまで知らん!彼らは今日突然この街にやって来た。そして冒険者ギルドで一月前この街を襲ったSランクの魔物を売ろうとしていたから少し話をしようと思いギルド長室に呼んで礼を言っただけだ」


「しかし、彼らの強さは異常です!あの強さは、この世界に10人しかいないSSSランクにもとどくほどのものですよ」


「ああ、私だって十分わかってるとも。(彼らの強さの事が広まればまた面倒な事態が起こるだろうということも。

そんな事を考えると憂鬱な気分になるが今は取り敢えず、‘‘この街は助かる’’この事を喜ぶべきだろうな)」



こうして辺りが暗くなり始めた頃、ようやくこの街の危機は過ぎ去っていった。








……………(しかしあの詠唱カッコ良かったな、私もこれからはもっとかっこいい詠唱を唱えたほうがいいんだろうか)


厨二心の片鱗を見せるギルド長であった。





(闇より出でし鉄槌に我が魂の………)





厨二病が感染したギルド長であった.........



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