表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十二支部  作者: 兎羽 翔
4/14

兎と羊と猪の密談

 場所は変わり、受け付け会場からすぐそばにある講堂には、新入生と在校生、そして在籍する教職員や関係者、保護者と千人を超える人数が集められていた。学費も高く、偏差値も高い学校ともあれば、これだけの人数がいても騒がしさに手を煩わせることもなく、式は予定通り進行される。


「入学おめでとう」


 舞台に立つのは、目立ちのいい青年。そして、ジャンルは違うものの街に出れば間違いなく人目を集めるだろう顔立ちの整った数人の生徒。

彼らは、生徒会と風紀委員にあたり、この学園の代表でもある。彼らが学園の顔であるし、特色も代々入れ替わるほど影響力は強い。


 見とれる生徒や保護者は少なくない。見慣れているはずの在学生徒たちまで、釘付けになっているほどだ。


「ね、カミサマ見た?」

「まだ。探してんだけどさー、こんだけ人数いるとやっぱ分かんないよなー」

「つかあの人の性格考えると、サボってる確率のが高くね? 」


 ひそひそと、交わされる会話は式を煩わせるほどではない。

 しかし、新入生の中でもひときわ目立つ三人組は、朝の喧騒時からすでに注目されていた。微笑み合う三人を、まわりの新入生がちらちらとのぞき見ているのが傍目にもよく分かる。


「たしかにさぼってそー。受付んとこに七瀬センパイと、大橋センパイはいたね」


 嬉しそうに笑うのは、無邪気な笑顔がチャームポイントの椎名拓巳(シイナタクミ)


「ふっ、七瀬センパイの作り笑顔はちょー笑えたな。俺らの顔見た瞬間、口元引き攣ってたって」


 思い出し吹き出す、少しやんちゃそうな彼は柊翼(ヒイラギツバサ)


「笑うなよツバサ。なっちゃん先輩も久々に見たな。相変わらず可愛い」


 そして、悪戯に笑う柊を嗜めるは、どこかオカン要素を漂わせる綾瀬航平(アヤセコウヘイ)


 中学からつるんでいた三人は、系統はバラバラだがお互い無いものを補うようにバランスよく付き合えてきた深い友人関係にある。

懐かしい顔に、懐かしい話題で静かに笑い合う三人だが、共通して気になっていることもあった。


「にしても、翔真ったらどこいったんだか」


 呆れた溜息とともに吐き出した椎名の言葉に、二人は肩をすくめるだけだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ