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兄と妹。  作者: 神田水紗&日和
音無編 〜大人しいんじゃなくて兄しか話し相手がいないだけ〜
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《音無さんと休日》

 自室にこもっている兄とチャットアプリを通して会話をしていた。壁を挟んでいるだけで兄は隣の部屋にいるとは分かっている。

 何かこれといった用事がないと兄はほぼ部屋から出ないから仕方ないと言えばそうなのだが、何とも変な話だと思う。

 いつも兄とやりとりをしてるばかりではない。暇な時に何も考えないでやりとり出来るのが兄しかいなかった。兄は部屋の中で何をしてるのかは知らないが収入があるらしく、それで趣味をやりくりしており、家にもいくらか入れてるそうで、両親もじゃあ良いやって言って引きこもっていることに触れない。

 兄もゲームをしているようで返信がまちまちになっていた。少し悩んでから部屋を出た。

 兄の部屋の前に立ちノックする。少しして「戸森?」と聞こえた。

「ナツ開けて」

 先ほどより少し大きくなった声で兄が言う。

「今、良いところなんだ。もう少し待って」

「しょうがないから待ってあげる」

 こんな生意気なこと言えるのは今のところ兄しかいない。ふふんと笑ってみるが当の兄は画面の敵と闘っていて私なんて見えてないのだろう。まぁ、ドアを挟んでいるから見えるはずがないのだけど。

 10分ほど経つと兄がドアを開ける。

「ごめんごめん。何か用事?あ、おやつ作ろうか?」

「それも魅力的だけど、ちょっと部屋居ていい?」

 兄は不思議そうな顔をして部屋へ入れてくれた。そしてさっきまで座ってたであろうゲーミングチェアに私を座らすと自分は私の目の前の床に正座する。

「どうしたの?こんな引きこもりで良ければ話聞くよ?」

「ちょっと暇だったから来ただけだよ」

「ほんと?何か心配事とかない?」

 からかってみようかなと思ったが、耐えきれずに笑ってしまった。

「あはは、ほんとほんと、んふっ」

 その姿を見てようやく兄は妹は暇だったから来たのだと理解したらしい。

「なんだよー、心配したー」

 大仰に言うと足を崩して言う。

「ゲームする?」

 多分、本当に悩んでいてもこの兄には話しちゃうのだろうなと思う。

「手加減してよ、お兄ちゃん」

「はいはい、お嬢様」

 そう言った数分後にこの考えを改めることになる。何故でしょう?

なんでこんなエターナルしてるやつをまだ読んでる人がいるんですかね。

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