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兄と妹。  作者: 神田水紗&日和
音無編 〜大人しいんじゃなくて兄しか話し相手がいないだけ〜
26/28

《音無さんとスマホ》

音無編スタートです。

2年と少しぶりの更新ですが腕を上げて帰ってきたって思っていただければ幸いです。

(感想とかptとかブックマーク登録とかきたらめっちゃ書ける気がする)

 クラスで私は相当物静かな人だと思われているようだった。そうなってしまったのも新学期から体調を崩し、私が学校に行けるようになったころには交友関係の輪は出来上がっていた。音無という苗字も相まって私はクラスでそんな立ち位置になっている。

 クラスが私に持つ印象はだいたい間違ってはいないのだが、私は単に人と話すのが苦手なだけで一人でいるのが好きというわけでもない。むしろ誰かといるほうが安心するしいるだけで楽しいと思っているくらいだ。

 その結果、気を紛らわすのが数年前から自室に引きこもり始めた兄とお手軽チャットアプリで意味の無いようなやり取りをすることだった。

 良くも悪くも一人の私たちは共依存して、時間を潰す都合の良い相手になってしまったわけだ。

『ひま。』

『ちょいまち、今いいところ』

『まつ、早めに帰ってきて』

 私が連絡入れるとすぐ既読がついて返信も早いのにお父さんやお母さんとは早くて3日、酷ければ1ヵ月くらいは返信がないそうで、いつからか家族の兄との中継役にもなってしまっている。私が言えたことじゃないが兄は私のこと好きだよなと思う。いわゆるシスコンというやつなんだろう。

 そうやってスマホばかりつついているのも私がクラスに馴染めない理由の一つだと思う。

 クラスで仲の良い人でも出来ないものかとため息が出そうにもなるが、こればかりは今のところどうにかなる予定はない。

 チャイムを合図にぞろぞろと友達のところから散り散りに自分の席に帰っていくクラスメイトを見て、少し寂しいなと思う。ほんの少し前は私もその一人だったことは確かなのだからなおさらだ。

 人は温かさを知るともう寒いところには戻れない、コタツと同じだ。あれは一度入ったが最後な感じがある。前に兄の部屋に入ったらまだ出してあったな、と回想に入りそうになったところで先生が号令をかけた。

『授業始まった、また』

 外の時間の感覚が無い兄にしばらくスマホをつつけない旨を送る。こうでもしないと通知がとんでもない事になってしまう。通知音は出ないようにしているが充電の減り方が早くなり、暇潰しが出来なくなってしまう。

 適当に数学で数字を弄りながら問題を解いていく。授業中はぼっちにはありがたい。静かにしていたら良いし、私には隣の人と相談してってのも生身の人と話す貴重な時間になる。

 先生の解説が長引き、休憩時間が2分ほどオーバーして生徒たちはブーブーと言っているが悪くは思っていないのだろう。何となく分かるのだ。先生もごめんごめんと言いながら早口で喋る。

 授業も終わり、各々が友人のところへ集う中、私は教卓で白板を消す先生のところへ行く。

「あの、すいません。あ、先生。先生!えっと、ここ……これであってますか?」

「えっと、音無さんか。あー、はいはいはい。考え方は良いけど解き方かなぁ。教科書ある?ま、いいや僕ので。えーと、あった。これが例題だね。こっちの方が楽で間違い難いと思うよ。解ければ切り口は何でも良いけどね」

 先生くらいしか話す人いないな。

 お礼を言って自分の席に戻ってスマホを見たら兄から返信がきていた。

『今日、両親不在。晩御飯はカレー』

『アイス欲しい』

 何のアイス買おうかな、と考えながら今日最後の授業の準備を整えた。

はい、日和です。前書きは神田です。

投稿が遅くなり過ぎてしまったことには申し訳なさみしかない。

感想とかくれたらめっちゃ書けそう

軽口はさて置いて読んでくださってありがとうございます。

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