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兄と妹。  作者: 神田水紗&日和
神谷編 〜ツンデレ妹と鈍感兄〜
24/28

《神谷さんとプレゼント》

少し遅くなりましたがどうぞ!!

《神谷さんとプレゼント》

 お兄ちゃんの誕生日が一週間前に迫ってきた。

 考えてはいるが良い案が出てこないでいたらもうそんな時期にまで期限がきていた。

「仕方ない、ここは恥ずいがアンズにでも相談しよう。」

 アンズ、絶対からかってくるよなぁ。だからこんなに切羽詰まらないとアンズには頼れないんだよ。もうちょっとさ、接し方ってもんがあるじゃん。とグチグチと思いながらもケータイに指を走らす。

『今日ってヒマ?少し話さない?』

 送信すると待っていたかのような返信が返ってくる。

『ヒマヒマ、すっごいヒマ。偶然にもこのごろガラにもなく雑貨を見て回ろうと思ってたんだよ。ということで、30分後に駅前で待っとく』

 これ、バレてるよなぁ。まぁ、アンズもお兄ちゃんと仲良いしな。

『了解』


30分と少ししてから駅前に着くとアンズが手持ち無沙汰に旅行広告を手に取っていた。

「ごめん、遅れた。」

「ハロハロ、今日は随分と早起きじゃん。」

「今日はって、まるでいつものあたしを知ってるみたいなのは……?」

 わざとらしく肩をすくめる。確かに寝起きが悪いとは言ったことはあるかもしれないが時間までは言った覚えがない。ということはどこかの誰かと内通しているってわけだ。

「さて、昼まで時間はあるしどこを見て回る?というか何を探すんだい?」

「それ、わざとだよね?分かった上でしてるよね?」

「だってー、毎年のことじゃん。私の一年の年間行事の一つだよ〜。」

「ありがたいけどよくも毎年毎年付き合うね。することないの?」

「毎年毎年カナミンのテンパる顔とか恥ずかしそうにする顔が見れるなら年間行事に入っちゃうのだよ。」

 さあ、行こうとアンズに引きずられるかたちでアンズのオススメの店へと連れて行かれる。

 店内は無機質な雰囲気ではあるが居心地は悪くない。むしろ、飾り気が無いからこその圧迫感のなさが心地良い。

 なるほど、確かに無趣味なお兄ちゃんには味気のないシンプルな物の方が合いそうだ。

 ちなみに、お兄ちゃんは走るのも料理も得意だが趣味ではなく部活と親が家にいることが少ないかららしい。部活で進学できるなら良いじゃんってことだ。

「これ、どうかな?」

「マグカップか、それならこっちのペアマグカップにしたら?カナミンこんな感じの好きでしょ?」

 確かにセピア調で小っちゃいハートのついたこのマグカップはあたし好みだ。しかしでも……。

「ペアマグって……。ペアマグって……。なんか、その……兄妹だよ?ダメに決まってるじゃん。」

「なら、告っちゃえば?」

「は、はぁ?な、何言ってんの。なんであたしがあんなのに告らなきゃなんないのよ。バッカみたい、そもそも兄妹なんだから───」

「禁断の恋じゃん。」

 ニッと笑うアンズ。

 思考が止まるあたし。

「な!なっ!そんなことするわけないでしょ、そんなの物語の中にしか存在しないし。あたしは脳内花畑みたいなやつじゃないし。」


 結局購入した。



本当は14日に出すつもりだったんですが遅くなっちゃいました。次は月終わりか来月初めあたりにしたい。

面倒だとは思いますが、評価や感想を頂けると嬉しいです。

次回、神谷編ラストです。

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