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一分間だけのヒーロー  作者: Oっ3
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プロローグ

プロローグ


たった一瞬前までは、一流ホテルだったのに、今では見る影も無い瓦礫だらけだ。

 灼熱の陽光が、まるで罪人を燃やそうとするかのように少年の背中に降り注ぐ。

 少年は陽光を気にする気力も無く、立ち尽くすのみである。

「嘘だろ……」

 少年は力ない声を出しながら、瓦礫に両膝を着けた。

「う……う」

 今にも命が尽きかけそうな女の人の呻き声が聞こえる。

 少年は立ち上がった。今にも折れそうな心に一つの希望が現われた。

 重い足取りで少年は歩いた。

 その先には、瓦礫に横たわっている血まみれの少女の姿があった。

 特筆すべき点は、少女のお腹の上に淡く輝く、手の平大の光の玉が浮いている事だ。

 少女は今にも事切れそうに見えた。

 直感が働いた。この光の玉を彼女のお腹に戻せば、きっと目覚めるのではないかと。

 少年は光の玉に触れた。ほんわかと温かく、何故か絶望に打ちひしがれていた心が救われるような気がした。

 光の玉を少女のお腹の中に入れた。それは造作の無い事だった。

 少年は祈る様な気持ちで、少女を見た。だが、何も反応が無い。少女の頬に一滴がかかる。

「起きてくれ……起きろよ」

 少年は再び、瓦礫の上に両膝を着き、天を仰いだ。

「ウワァァァァァァァァ」

 今、その叫びは誰にも届かなかった。

 突然、悪魔の囁きが少年の耳元に聞こえた。

「もう、お前の選択肢は二つだけだ」


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