街はずれの不思議な喫茶店
この街のはずれには不思議な喫茶店が存在するらしいとを昔祖母に聞いた。
魔法使いが経営する店という記憶しかないが、本当にそんな喫茶店が存在するだろうか。
昔の記憶を思い出したのはつい先ほど。
森の中を進んだ先に1つの店を見つけたからだ。
心の中で「まさか」と思いながら、おそるおそる店の扉を開いた。
「いらっしゃい。」
優しい声と共に迎えられた。
顔を上げてみるととても儚げな印象の女性がコーヒーカップを拭き上げていた。
窓際の木漏れ日が差す席に腰掛けると店主の女性から声をかけられた。
「ご注文はいかがいたしますか。」
「コーヒーをお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
店主はほほえみながらコーヒーの準備をはじめた。
豆を挽く音が、森の静けさに溶け込んでいく。
これほどまでに心が落ち着いたのはいつぶりだろう。
この喫茶店には不思議と優しい雰囲気が漂い、今の自分を包み込んでくれるような気分になる。
心安まる空間にしばらく身を任せた。
「お待たせしました。」
コトンとコーヒーが机に置かれる。
コーヒーには珍しく紙包みのキャンディが添えられていた。
立ち上る香りにせかされるように、コーヒーを口に含む。
「おいしい。」
言葉では表現できないような懐かしさを感じた。
懐かしさが安心感を加速する。
その様子にカウンターにいる店主がうれしそうにこちらを見ていた。




