ウマ娘は世界を変えるのか
六月末、「ウマ娘プリティダービー」の英語版がsteamで公開されました。
海外勢の反応を見ていると、あの頃の私たちが見え隠れするようで、気恥ずかしいような嬉しいような、何とも言えない気持ちになります。
ただあの頃の私たちと違うのは、既にアニメが三期分に加え、劇場版、舞台、うまゆる、TTTR、シンデレラグレイ、スターブロッサムと媒体やコンセプトが違うながらも複数の物語が提供されていることでしょう。
私たちが始めた時点では、アニメの二期が放送されている頃でした。
あれから四年半、育成シナリオも十一作に至り、各種ステータスのインフレ具合が激しい状況ですが、始めたばかりの苦労も懐かしい記憶です。
特に苦労したのはキングヘイローとライスシャワーですね。
キングヘイローはクラシック期(二年目)を中距離路線で育成せねばならないのですが、シニア(三年目)に入ると短距離路線に転向します。求められる能力が全く異なりますから、何度も途中で挫折を味わいました。
けれど、その幾度もの挫折を乗り越えてエンディングに辿り着いた時の感動は格別で、その後のメインストーリーや他のキャラストーリーに登場するキングヘイローの生き様にすっかり脳を焼かれてしまいます。
原作のキングヘイローも十度の挫折の末にG1競走の高松宮記念で勝利して、種牡馬として生き残れました。現在もキングヘイローの血統は母父として一流の競走馬に受け継がれています。
ライスシャワーは、長距離を得意とするステイヤーですが、育成シナリオで立ちはだかるのは当時の最強ステイヤーであるメジロマックイーン。
原作ではそのメジロマックイーンの天皇賞(春)の三連覇を阻止するのですが、アプリ実装当時のサポートカードではスタミナを伸長するのは困難でした。
推し馬であり、推しウマ娘でもあるメジロマックイーンに何度も敗れたのも良い思い出です。
海外勢もライスシャワーやハルウララ、キングヘイローに脳を焼かれているようですが、メインストーリーが進めばサイレンススズカに焼き尽くされるでしょう。
サイレンススズカの原作は予後不良という結果でした。
競走途中、ぶっちぎりの独走中に粉砕骨折、落馬、競走中止、予後不良という悲劇は二十五年を経た今でも語り草になっているぐらいで、翌年以降の競走馬の早期引退などの影響も残しているぐらいです。
なお主戦騎手であった武豊騎手をして、後のディープインパクトと比較してもサイレンススズカに騎乗したいと言わしめるほどの名馬でした。
国内でも社会現象と言われるほどの影響を残しているウマ娘ですが、実際のところ以下のような結果を残しています。
・引退馬協会への寄付が大幅に増額
・競馬場の来場者が大幅増
・特に笠松競馬場、高知競馬場などの地方競馬場への来場者が増えた
・苫小牧観光が微増
・コラボ商品の売り上げが好調
・ウマ娘を運営しているサイゲーム社の親会社であるサイバーエージェントの社長が馬主になり、高額な競走馬を続々と購入
・更にサイバーエージェントが引退競走馬の牧場の一つである「ヴェルサイユリゾートファーム」のスポンサー企業に名を連ねる
・アメリカの経済誌「フォーブス」で記事になる
・海外馬のウマ娘化が要望される
経済的に大きな影響がある上、競馬という文化に対しても多大な影響を残しそうな雰囲気になっています。
そして海外勢が、「自国の競馬がどういう状況にあるのか」注目し始めるのも時間の問題でしょう。
我が国の競馬場でも自衛隊の音楽隊がウマ娘の楽曲を演奏するぐらいの勢いですから、海外でもそのような動きになってもおかしくはありません。
特にアメリカはウマ娘の原作である競走馬の多くが父としている競走馬を輩出した事実に行き着けば、アメリカ競馬の興隆を期待するようになるでしょう。
フォーブスが割と好意的に取り上げていましたので、もしかするとアメリカ競馬のてこ入れに繋がるかもしれません。
第一次競馬ブームと呼ばれた時の人気競走馬は「ハイセイコー」、第二次競馬ブームと呼ばれた時の人気競走馬は「オグリキャップ」、第三次競馬ブームはまだありませんがもしかすると、ウマ娘が契機となって盛り上がっている今ではないでしょうか。
この世界にウマ娘が存在していないとすれば、あの菓子メーカーやあの飲料メーカーの売り上げ予測はどうなっていたでしょう。
引退競走馬の生活や、笠松競馬場の存続すらも危うかったかもしれません。
全てが良い方向へと動いているウマ娘界隈、水を差すのは例によって例の如く自称フェミニストたちですが、文句を言うならウマ娘以上の経済効果を見せる必要があるでしょう。
返り討ちに遭って、自称フェミニストが消え去ってくれれば良いのですけれど。
ウマ娘は世界を変える、これは間違いないと思います。疑いのある方はウマ娘関連の何かしらのコンテンツに触れてみると良いでしょう。
私のお薦めは「シンデレラグレイ」です。
そして、ようこそウマ娘の沼へ(笑)