王太子殿下の訪問(1)
「お父様、お母様お待たせしました。」
コンコンとドアを叩くとお父様が扉を開けてくれた。
「スレイ、凄く綺麗にして貰ったんだね。とても似合うよ。」
お父様、サヴァル・ダンパーネは、このダンパーネ領を仕切っている当主だ。とても温厚で穏やかな性格だが、騎士としての腕前は国の中でもトップクラスだ。
「まぁ…!スレイちゃん!なんて可愛らしいの!?おめかしして今日も可愛いわ〜。」
お母様、リーシャ・ダンパーネは、誰もが振り向くほどの美女だけど、おっとりしていてどこか抜けてる…所謂、天然だ。
お母様が私に抱きつき顔をスリスリしてくる。
「スーは何でこんなに可愛いんだろうね…。」
お母様と一緒に私に抱きつきカイお兄様も顔をスリスリしてくる。
カイお兄様のシスコンはお母様譲りの性格から来てんだわ…。
「こらこら、もうやめてあげなさい。折角の化粧が取れてしまうよ?」
「そうねぇ〜。今はやめておきましょうか〜!ね?カイル?」
「うーん。残念だけどそうするよ…。所でお父様、お母様。僕達に何のご用だったんでしょうか?」
「まぁ、立ち話もなんだし、座ってくれ。」
お父様達がソファに座った後、私達も座った。
「今回、王太子殿下が急遽来るという事で…あまりにも急だったから驚いたんだけど、私達はここに来る理由を知らなくてね…。何故ここに来るかはカイル達は知っているのか?もしダンパーネ領に何か用事があるようなら把握しておきたかったんだ。」
「俺は分からないな…スーは聞いてたか?」
「あ…そういえば…ダンパーネ領に来るって言っていたような…ですが理由は分からないです。」
「え!?そうなのか?俺は聞いてないな。」
「ふむ…。何か問題があって視察に来るのではなくカイルの友人として来るのなら問題ない。」
「そうねぇ。またご本人から直接聞いてみましょう。」
確かに、視察というよりかは友人の家に遊びに来るという感覚が合っている気がする。
「旦那様!ルルド王太子殿下がご到着されたようです!」
家の中がより一層バタバタと焦り出した。
「家の前まで行ってお出迎えしにいくぞ。」
ルル様をお出迎えするため私達は家の前でまで行った。




