魔獣との遭遇(3)
ルル様が向かった所は学園の校舎裏だった。
ルル様は私に気を遣って少し遅めに走ってくれているのだろうけど、私はついていくのに精一杯で息が切れそうになる。だけど早く探して見つけてあげなきゃ…!
『コドモ イル』
「え?本当に!?」
ウルフは今までにないくらいの速さで走っていく。
それに一緒についていくルル様。
足が速すぎて全く追いつけない…。というかルル様何でも出来すぎ…神様は全てを与えすぎなのでは…?
アイロウルフとルル様は校舎裏の茂みで立ち止まっていた。
「ウルフさん…子供はいましたか?」
アイロウルフの目線の先を見てみるとカゴの中に入った小さなアイロウルフと学園の生徒が3人いた。
「あのカゴ、魔獣の魔力を遮断している。だから親の魔獣は気配が分からなかったようだ。本来なら瘴気に当てられた魔獣をとるカゴなんだが何故ここに…」
私は茂みを通り、生徒達のところへ向かう。
「あの、すみません…。私この魔獣を探してたんです。」
「君が連れてきたの?」
1人の男子生徒が反応してくれた。
「いえ!違います…。だけど早くこの子の家族の元に返してあげたくて。」
「僕たちも何故ここにこの魔獣がいるのか分からないけど元の場所に返したかったんだ。…だけどこのカゴに触ると魔力が吸い取られてしまって触れないんだ。」
「魔力…?なら私は魔力がないから触れると思います!」
「え?!危険だよ大丈夫か?」
「このままじゃきっと誰も触れないと思うしやめた方が…」
「それでも…やってみます!」
私はカゴの前に座った。
「ウルフさん大丈夫?怪我してない?貴方の家族が探してるわ。」
『ケガ ナイ ケド…コノカゴ アカナイ』
「カゴが開かないのね?待ってて今開けてみるわ!」
子供のアイロウルフは少し元気がなかった。魔力を吸い取られているのかもしれない。
恐る恐るカゴに触ってみたが私には魔力がないからか特に何の変化も起こらず普通のカゴだった。
(やっぱり魔力なしの私は普通に触れる!)
カゴの扉を触るとカチャッと扉が開く。鍵は無いようだ。子供のアイロウルフを取り出して抱き上げる。
「ウルフさん、もう大丈夫よ。」
『アリガトウ…!ボク ツタエタイコト アル』
「伝えたい事?」
『ソウ。コノタメニ ココヘキタ』
「そうなのね。ここまで1人で…本当に偉いわ」
『ヤッパリ キミダ。 キミニアイニキタ。』
「私に?」
アイロウルフの目の色が赤色から金色にスーッと変わる。
『物語はまだ終わっていない。王太子は死から逃れられていない。貴方も気をつけて。』
ハッキリと言葉が聞こえた。いつもは片言でしか聞き取れないのに。
(物語が終わっていない…?王太子の死…もしかしてまだフラグが折れてないって事?何故この子が…)
伝え終わると子供のアイロウルフは眠ってしまった。




