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謝罪

「はいはい。そこまでね。君たち…僕の大切な妹を困らせないでくれるかな?」


カイお兄様が間に入って止めてくれた。良かった…

何故ヒロインとメインキャラ達が言い合いしているのか…。ルル様とシリウス様がヒロインであるサーシャを取り合いするのならともかく、何故私…?混乱してしまう…。


「ねぇ皆、タイミング待ってるみたいだけどそろそろ部屋に入れて良いかな?」


カイお兄様がドアに向かって指を差している。


「ああ、入れ。ドウェインがアロイス連れて来たんだろ。」

「そうみたいだね。」


カイお兄様がドアを開けるとアロイス様とドウェイン様が立っていた。


(なんの気配も感じなかったけど流石お兄様とルル様だわ。)


中に入ってきたアロイス様は何だかいつもの元気もなく落ち込んでいる様子だった。アロイス様は部屋にいるシリウス様と目が合うと少し怯えた様な目をしていた。


「アロイス大丈夫だ。こいつとは話がついている。」


ルル様はシリウス様の肩をポンと叩く。


「まぁ…あの時は少〜しだけ強制的に俺に協力して貰ってたからね〜」

「何処が少しだ。」

「またいつでも協力してくれていいからね〜アロイス。」

ニコッと笑いながら冗談を言うシリウス様に「冗談に聞こえてないからちょっと黙れ。」と突っ込むルル様。


2人の距離感が近い事にアロイス様はビックリしている様子だった。あんなに仲違いしていたのに謹慎から解けてから初めて皆の前に顔を出したら状況が一変しているのだから無理もない。


「本当にすまなかった…ルル。俺は何をしようとしていたんだと思い出す度に自分が嫌になる…。」


アロイス様は膝をついて謝っていた。心なしか声が震えている。


「アロイス、お前は謝る側ではない…俺らに巻き込まれた被害者側だ。謝るのは俺らの方だ。俺らこそすまなかった。…お前の母親は大丈夫なのか?」

「ああ、母は大丈夫だ。」

「それなら良かった…。ほら、シリウスも何とか言え。」


バシッと背中を叩くルル様にシリウス様は痛そうに顔を歪めながら「ごめん。」と小さな声で謝っていた。

アロイス様も頷きようやく少しだけ笑顔を見せた。



物語の序盤で殺されてしまうルル様は今こうして死亡フラグを折れた事で存在している。シリウス様との関係も少しずつ回復しているし、これは成功したってことよね…!?本当に良かった…。


私は皆を見ながら穏やかに笑っていた。


「スレイちゃん…怪我をさせてしまって本当にごめん…。跡になってないか?」

「え?私はこの通り何ともないので気にしないでください!!」


背を丸くして落ち込んでいる様子だったので元気に振舞ってみた。

…みたんだけど何故だかアロイス様は涙目に。


「ええ…?アロイス様本当に私は大丈夫ですよ!?」

「ごめん、本当に大丈夫で良かった…。傷が残るようなら僕が責任を取ってお嫁さんに貰おうとも考えたんだ。」


「それは絶対にダメだ!」

「それは絶対にダメです!」


ルル様にシリウス様、カイお兄様に何故かサーシャまでもが口を揃えて否定した。


「アロイス、その発言は撤回しないと殿下達の顔が怖いぞ。」


ドウェイン様は急いで撤回を求める。


「え、え!?うわ…っごめん…。そんな怖い顔されるなんて…俺なんか変なこと言った??違うんだ…それくらい俺は思い詰めていたというか…」


ドウェイン様がはぁ、とため息を吐く。


「アロイス様、本当に傷一つ残っていないので気にしないで下さいね。あの時は私も急にアロイス様の魔法の前に出てしまいましたし…。それにルル様に当たらなくて良かったですし!」


(まぁ…傷が治ったのはさっきのサーシャさんの光魔法で体全体が傷一つなく綺麗になったのもあるけど)


「アロイス様がまたこうして戻ってこられて皆と一緒にいられるようになって私嬉しいです!」


(小説通りにいくとアロイス様は2度と学園には戻ってこれなかったから…)


私は満面な笑みで笑いかけると、アロイス様と隣にいたドウェイン様が顔を赤くしながら私を見ていた。


「うわぁ…優しい…またその笑顔が最高に可愛くて天使がいるのかと思った…!」

「スレイちゃんは心が清らかで美しいね。その美しい顔はまるで生きている人形の様だ…。」


(ん…?ドウェイン様から変な発言が聞こえた気が…)


「ドウェイン。変態思考が声に出てたぞ。心の中で留めておけ。」

「…っ失礼しました…。」


ルル様達が仲良くしている様子を見ながら私は安心しながら皆を眺めていた。



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