光魔法(1)
空の太陽も沈みかけていた頃私達は無事、学園の前まで帰ってきた。
「あ、あの…カイお兄様、ルル様本当にありがとうございます。」
「スーが無事に帰って来れて良かったよ。何日も居ない事に気が付いた時は気が気じゃなかったよ」
「心配かけてごめんなさいお兄様…」
お兄様は優しく頭を撫でてくれた。
「ルル。まだ生徒会室空いてるよな?2人でそこで待っててくれるか?」
「分かった。」
生徒はほぼ帰っている時間帯、私達は学園の中に入っていく。
「あの…ルル様、そろそろ下ろしてもらえますか?」
「嫌だ。」
(はっきり断られた…どうしよう。)
「スーはいつも危ない事に巻き込まれるし、俺の前から姿を消すのが得意なようだ。だから…絶対に離したくない。スーが居なくならないように。」
「ルル様…」
(心配…してくれてるって事よね?)
「心配してくれてありがとうございます。これからは巻き込まれないように何かあった時はルル様にもカイお兄様にもちゃんと相談しますわ。」
ルル様がフッと微かに笑ったような気がした。
つい、その表情に見惚れてずっと顔を見てしまう。
普段笑わない人が笑うとドキッとする…。それにルル様の笑った表情は少し幼くなるから可愛い。
「私、ルル様の笑った顔好きだな…。」
「え…?」
ルル様は目を大きくして私を見ていた。
「え…、え!?私声に出してましたか!?」
「…うん。」
(は、恥ずかしい…心の中で言ったつもりなのに口に出してたなんて…)
私は顔が真っ赤になっているのが分かるくらい顔が熱くなった。
「恥ずかしい…聞かなかった事にして下さい…」
「無理だ。」
ルル様はストンと私を下ろした。
そして私を優しく抱きしめた。
「俺、スーの言葉が優しくてあったかくて大好きだ。だから忘れたくない。」
更に力を入れて抱きしめられる。
「ルル様…もう分かりましたから!!色々と恥ずかしいので離れて下さい。」
私は離れようとルル様の体を手で押した。
真っ赤になった顔を隠しながらルル様と目が合う。
「ハッ かわい…」
ルル様は無邪気に笑って私の頭をポンポンと叩いた。
「スー、中に入ろうか。」
気が付けばもう生徒会室に着いていた。
「お兄様はなぜ生徒会室で待ってなんて言ったんでしょうか…」
「光魔法で治療してもらう為だろう。」
「光魔法…ってサーシャさんですか?」
「ああ。病院に行くよりも早く治せるって言っただろう?」
(サーシャさんに会えるのね…!)
私は久しぶりにサーシャさんに会える事が嬉しくてワクワクしていた。
そんな私を見て優しく微笑むルル様の表情を見て少しドキッとした。