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離宮から脱出(1)

「あの時はごめんねスレイちゃん…。もう嫌がる事はしないから…許してくれる?」


シリウス様は俯き加減で私に伝えた。表情は見えないけど反省しているように見え、少ししょんぼりとしていた。


「ええ…本当にこれからはしないでください。」


シリウス様は「分かった」と言ってくれたけど口元がニヤッと笑っているように見えた。やっぱり本当に分かってくれたのか信用できないわ…。


「シリウス、お前スーとキス以外にもなにかしたのか…?よく見たら首元にキスマークついてる…!」

「うわ…目ざといな兄さん…。兄さんはスレイちゃんとキスした事ないよね?僕何回もスレイちゃんとキスしたけど本当に可愛くて気持ちよかったよ…。兄さんよりも先にキス出来て嬉しいなぁ。初めて兄さんに勝った気分だよ。」

「ちょ…!や、、やめてシリウス様!」


絶対わざとだ…!絶対わざと言って煽ってるでしょ!!私をダシに使ってルル様怒らせて楽しんでるだけだわっっ!


私は真っ赤になった顔を両手で隠した。


「シリウス!お前…!!」


ルル様はシリウス様の胸ぐらを掴む。


「ハハッ本気で怒ってる兄さん。感情を表に出すの珍しい〜。キス以上の事なんてしてないよ。というか出来なかったんだよ。時空の歪みにのまれちゃってさ〜。まぁでも、俺は本気でスレイちゃんが好きだから。僕の気持ち伝わったよね?」


ルル様はそれ以上何もなかったと聞いて胸ぐらを掴んでいた手を下ろした。

シリウス様は手を伸ばし、私の顔を触ろうとしていたがそれを阻止するかのようにルル様は私に抱きつく。


「シリウスにはスーを触らせない。」

「え、ずる〜い!俺だってスレイちゃんとハグして癒されたいのに」

「お前は駄目だ!」

「2人共駄目だ!!ルルも抱きつくな!」


カイお兄様が2人の間に割って入ってくれた。良かった…。


私は苦笑いをするしかなかった。


「スレイちゃん、俺本気だからね。」

「スー、俺だって誰よりも1番にスーのこと考えてるから」

「兄さんより俺の方がスレイちゃんの事知ってるし好きな気持ちは負けないよ?」

「いや、シリウスとは比べ物にならないくらい俺はスーのこと好きだから。この気持ちは負けるつもりはない。」

「はいはい、ストップ!スーはまだ誰にもやらないからな!!…そんな事より、先ずは第二王子殿下。貴方とスーがどんな状況で過去に戻ったのか、それを教えてほしい。」


流石お兄様だわ。脱線した話をしっかり戻している。


「そうだね。話を戻させてもらうね。あの時スレイちゃんに…物凄く拒絶されちゃって。その時に時空の歪みが発生したんだ。」


「そうだった…私…どうにかしないとって思って…そうしたらいつの間にか過去に飛ばされてたわ。」


「時空の歪みで過去に飛ばされる…?」

誰もが初めて聞く様な出来事で少し沈黙が続いた。


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