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元の世界(1)


時空の歪みから2人が離れ離れにならないようにしっかりと手を握って目を瞑っているとシリウス様から声を掛けられそっと目を開けてみた。



私とシリウス様はベッドの上で、視界から見える天井はさっきまでいた離宮の天井だった。


「ここは…元の世界に戻ってる…?」

「うん。ちゃんと戻ってこれたみたいだ。」

「本当に!?良かったわ!」


手を動かして喜ぼうとした時、ガシャンと音が鳴る。


(あ、そうだった私手を拘束されていたんだったわ…)


「ごめん…スレイちゃん。僕スレイちゃんに酷い事沢山しちゃったよね…。過去に僕を2度助けてくれた恩人なのに…」

「本当ですよ!もう最初は怖くてこんな風に2度と話せないと思ってました。でも恩人なんて…私はそんなに大した事してませんわ。」

「いや…俺が救われたのは事実なんだ。本当に感謝してる。」

「シリウス様…。」

「でも…俺がスレイちゃんを好きな気持ちは変わらないし、今も昔もスレイちゃんの事ずっと閉じ込めて僕だけのものにしたいと思ってる。」

「シ、シリウス様!!!」

「ハハハッ…ごめんごめん。半分冗談だよ。」


(は、半分って……本当にシリウス様は油断出来ないわ…)


「それよりもこの枷取って欲しいんですけど…シリウス様、もう取ってくれませんか?」


私は手首につけられた枷をシリウス様に見せる様に差し出した。


「ああ。これ解除魔法を使うんだけど…結構魔力使うからもし僕が倒れちゃってもびっくりしないでね。寝てるだけだから。」

「そ、そんなに魔力がいるのですか…?!」

「まぁ最初は外す気無かったからね…強力な魔法で何重にもかけちゃったんだ。俺も自業自得だよね。」


そういってシリウス様は私の前に座り、呪文を唱え始めた。

沢山の呪文を唱えているけどまだ解除されずにいる。

次第にシリウス様は眉間に皺を寄せながら汗をかき始める。


「シリウス様…大丈夫ですか?」


一瞬目が合い、少し微笑むとまた呪文を唱え始めた。

段々と顔色も悪くなってくる。


(だ、大丈夫かしら…本当にこんなに魔力を使うのね…。)



パキパキと枷から音が鳴り始める。


カシャン…と枷が開きストンと私の手首から枷が落ちる。


「はずれた…はずれましたわ!!シリウス様ありが…」


御礼を言おうとシリウス様に顔を向けようとすると、ドサっとシリウス様倒れて来た。倒れてくるシリウス様を受け止めようと私は手でおさえようとするが力が足りずに一緒に倒れ込んでしまう。


「シ、シリウス様大丈夫ですか!?」


まだ少し顔色が悪いけどシリウス様の顔に耳を近づけるとスースーと寝息を立てていた。


(良かった…。本当に寝ているだけだわ。)


私は一安心して、フーッと息を吐いた。

良かった…。心の濁りが無くなったって事はあの悪魔のようなシリウス様に監禁される事もなくなるって事かしら…。早くお家に帰りたいわ。



その時、扉をガンガンと叩く音が聞こえた。



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