ウィンザー学園
あれから1年が経ち……
私は遂に前世で読んだあの物語の舞台ウィンザー学園に入学する。
王都の中央にあるウィンザー学園は貴族の令嬢、令息が通う学園。
特別に魔力や聖力が高い人は平民からでも入学できる制度がある。
そう、ヒロインは光魔法、聖力がとても高く平民ながらこの学園へと入り、悪役令嬢からのいじめや王太子とのキュンな展開が繰り広げられる…。
もうまさに…まっっっっさにテンプレ!!!だけど小説の挿絵の画力良すぎてイケメンだしヒロイン可愛すぎるし悪役令嬢なんて美しすぎてテンプレ展開でもまんまとハマったんだっけ…。
私はモブ以上に名前どころか顔すら出てこなかったしここは外野としてあの小説のシーンを実写で拝ませてもらうわ!!
この日を楽しみに待ってたからウキウキして仕方ないっっ。
気持ちは仁王立ちして学園を眺めているけど今世は貴族として生まれた訳で…マナーの悪い素行は絶対禁止…大人しく淡々と歩くだけだけど頭の中はスキップして正門をくぐっていた。
「さぁて…ヒロインはどこかなぁ。確かピンク髪で肩くらいまでの髪だったはず…」
キョロキョロして歩いていると周りからの視線に気が付いた。
ん…??なんかチラチラ見られている様な…。
気のせいかな??
いや…気のせいではなさそう…??
もう一度辺りを見回すと1人の男子生徒と目が合った。
目が…合った…と思う。
一瞬で目を逸らされた気がする。
目が合ったであろう男子生徒は顔がほんのり赤くなっていたがスレイはその事には気付かずに自分の感じた違和感の答えを必死に探す様にキョロキョロと周りを見ていた。
そこに遠くからスレイの名前を呼ぶ声が聞こえた。