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少年シリウス(1)

私はシリウス様に手を差し出そうとした。


「誰かいるのか!?」

少年のシリウスは私達の話し声が聞こえたのか此方に向かって歩いてきた。


まずい…!!どうしよう!


「取り敢えずシリウス様は見えない所に隠れて下さい…!!」

「…あれ?お姉さん…どこかで見た事あるような…」


ぐいぐいとシリウス様を押しながら小声で話していたら後ろから声を掛けられた。


「ああああの…私はここの侍女です。覚えて下さってたなんて光栄です!」

「侍女…?ふぅん…侍女がそんな格好してる?」

「え!?えっと…そう!制服が汚れてしまって替えを取りに来たんですわ。」


…苦し紛れの言い訳でしかない…。どうやってここを切り抜けようかしら…。


「その後ろの人は…」

「こ、この方は具合が悪いみたいなので声を掛けていたところなんです。急ぎますので失礼させて頂きます。」


シリウス様をぐいぐいと押しながら逃げる様にそこから離れようとしていると後ろから肩を掴まれた。


「ねぇ…お姉さん。そっちの人は見逃してあげるからその代わりお姉さんが僕についてきてよ。」


ぇえ…どうしよう…。私が返事をする前にもうガシッと手を掴まれて引っ張られている。チラッとシリウス様を見ると柱の影から笑顔で手を振っていた。


「ええ…そんなぁ…」


(シリウス様、何で笑ってるの〜?)


少年シリウスはとある部屋の中に一緒に入った。そこはとても綺麗にされている部屋で机の上に沢山の本が積み重なり、ペンとノートが置きっぱなしになっていいた。


ここは…シリウス様の部屋なのかしら…?


「ねぇ、お姉さんが何処の誰か分からないけど。今の話聞いちゃったよね?僕はどんなに頑張っても周りは誰にも認めてくれないんだって。笑っちゃうよね!兄さんがいる限り僕の努力は無駄だと毎回毎回会うたびに言われるんだ。…どうせお姉さんも色んな人に言いふらすんでしょ?大人に見限られた価値のない第二王子って…。」

「そ、そんなこと…」

「そんな事ないって?そうやって色んな人が僕のある事ないこと言いふらしてたよ!まぁ兄さんが沢山言われすぎてて僕の話なんか耳に入らないかもしれないけど。大人達は僕の事を知ろうともしない。母上だって…こんなに頑張ってるのに。僕の存在って何?僕は要らない存在なの…?どんなに頑張っても僕は幸せになれない!もう…こんな世界なんて無くなればいいのに!」


少年シリウスは体を震わして手からは火が出て次第に体全体が火で覆われそうになる。


これは……もしかして魔力暴走!?どうしたら…


「シ、シリウス様落ち着いて!!!」


私は咄嗟に彼を抱きしめた。


火が…熱い…でもこのままにしておくと部屋に燃え移るし、魔力暴走なんて周りの人に気づかれたらシリウス様がまた孤独になってしまう…!


「シリウス様!!私は貴方の頑張りが報われた世界を知っています!その方法は、まぁ…確かに良くなかったですけど…でも今頑張ってきている事が無駄になんて一つもなっていません!」


私が前世で読んだ小説の話では王太子になった後、ヒロインによって心を入れ替えたシリウス様は後に、ヒロインと瘴気にやられた魔獣と戦ったり、疫病を流行らせずに食い止めたりしていた。


「あんな大人達の言ってる事なんてすぐに吹き飛ばせるくらい埃よりも小さくて軽いです!そんな、あっという間に消えてしまうような軽い言葉に飲み込まれないで!シリウス様の努力は必ず伝わる。私は博識なシリウス様を尊敬してます。」


少年シリウスの暴走しかけた火が少しずつ弱くなっていく。


良かった…少しは声が届いてるみたい。


更に私はギュッと強く抱きしめた。


「いいですか?シリウス様。周りの言葉に影響されては駄目です。自分を信じて、そのままのシリウス様でいいんです。」


「そのままの…僕?」


「はい。」


やっと暴走が治り、シリウス様の体から火が消えた。


「良かっ…た…」


フラッと倒れてしまいそうになる私を少年シリウスは抱き止めてくれた。

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