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幼少期の2人(5)



私はシリウス様の手を握り目を閉じた。また白いモヤとともに時空が歪み始める。


もうこれで元に帰れるかしら…


目を開けるとそこはまた王城の何処かだった。


ここは…まだ元の世界に戻ってないの…?


「スレイちゃん、残念だけどまだ元に戻っていないみたいだよ。…誰かが歩いてきてるみたいだからこっちに来て」


私達は柱の裏に身を潜めていた。


歩いてきたのは数人の大人達だった。


「第二王子は毎日勉強してるとお聞きしています。とても勤勉でいらっしゃる…将来がとても楽しみですね。」

「まぁ、あの第一王子には到底追いつかなそうだがな…魔力の差も大きいですしな。」

「陛下がいくら第一王子を嫌っていても魔力と頭のキレが秀逸ですからね…やはりこの国を背負っていくには強い魔力が必要ですから…どちらを王太子にするのか一目瞭然でしょうねぇ。」

「まぁ、優秀すぎるのも問題だから…第二王子くらいの子が私達も扱い易いですがね。」

「それもそうだが…第一王子が健在でいらっしゃる。今第二王子が頑張った所で無意味な気がしますがね。まぁお膳立ては必要でしょうから表向きは良い顔をしなくてはいけませんがね…ハハハ」


シリウス様は睨む様に大人達の話している姿を見ていた。


コツコツと足音を立てて大人達の前に少し大きくなったシリウスが歩いてきた。背も伸びているし可愛い男の子だった子は少年になっている。10歳くらいかしら…。


「おお!これはこれはシリウス殿下ご機嫌麗しゅうございます。」

「ああ…テンペスト侯爵達か。」

「私達貴族の間で噂になっていますよ。シリウス殿下はとても素晴らしいと!魔法や剣術、頑張っていらっしゃって第一王子を上回るんじゃないかと。」


大人達はニヤニヤと馬鹿にするかのように話し続ける。


「まぁ…噂は噂でしかありませんがね。今は王妃とはいえ、所詮魔力の弱い側室が産んだ子供。魔力の高さは第一王子より秀でているわけではないでしょうに。何故皆はこんなにもてはやしているのか…。」

「まぁまぁ、そう言わずに…。私達も応援しているのですよ。第一王子を上回るかどうかがとても楽しみです。」


テンペスト侯爵達はシリウスを嘲笑いながら何処かへ向かっていってしまった。


「チッ…何だよどいつもこいつも…。俺がいくら頑張っても無駄だと…?皆馬鹿にしやがって」


シリウスは怒りで体を震わせながら立っていた。


「うわ…恥ずかしい所見られちゃった…。」


シリウス様は少し困った顔をしながら笑っていた。


「恥ずかしい?とんでもありません!」

「何?可哀想とかでも思った?」

「いいえ!こんな大人達の言ってる事なんて気にしなくて良いですわ!シリウス様は魔法や剣術にしっかり向き合って認めてもらえる様に頑張っていたんですよね?それがもう素晴らしい事じゃないですか!なのに…あんな言い方酷いです!怒って当然です!」


シリウス様は少しびっくりした顔をしながらクスッと笑った。


「あの時の俺は王妃になれた母上からの体罰が無くなって陛下の前では特に俺に優しく接してくれるから、もっと笑って欲しくて本気で頑張ろうと思ってたんだ。でも母上のそれは愛情ではなくただの欲望だって気付いたんだ。母上はどうしても俺を王太子にさせたいと、王太子の肩書きにしか興味ない事にもうウンザリだった…。魔力の弱い俺を馬鹿にする大人達に散々に言われた事でやる気も失せてくるし…。兄さんに無視されて続けて会うことも無くなって頼れる人もここには居なくなった。兄さんの能力の高さに俺なんてとうてい追いつけない事も思い知った俺は存在する意味もないんじゃないかって思えてきたんだ…。どう頑張っても勝てない兄さんの存在が邪魔だとも思えたんだよな。なら…邪魔な兄さんを消すか…俺自身を消すかなんてすごく悩んでる時期だったなぁ。」


「シリウス様…。」


そんな過去があったなんて…ルル様もシリウス様も小さい頃はあんなに仲が良かったのに…。


「さて、もうこの後は誰もこなさそうだよ?どうする?」

「そうですね…。元に戻れるのかやってみましょうか。」


私は手を差し出そうとした。

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