幼少期の2人(2)
小さいシリウスは叩かれた頰をずっと手で覆っていて真っ赤な瞳から今にも涙が溢れそうになっていた。
私はいてもたってもいられずに小さいシリウスの元へ走ろうとした。
「待ってスレイちゃん!駄目だよ見つかったらどうするの?」
「私が見えるかどうかも分からないし、兎に角今はあの子を放っておけない!ごめんなさいシリウス様!」
私は繋いでいた手を離し小さいシリウスの元へと駆け寄った。
「大丈夫?」
すると小さいシリウスはビクッと動き私を見る。
「おねえちゃん…だれ?」
私の姿見えるみたい…。ならこの状況なおさら放っておけない。
「おねえちゃんはここのお城の侍女よ。少し頰を見せてくれる?血が出てるわね…。痛むかしら?私に怪我してる所治させて欲しいんだけどいいかしら?」
すると大きな瞳で私を見つめコクンと頷く。
「ありがとう。私魔法は使えないんだけど簡単な手当てなら出来るの。」
すると小さいシリウスは頰以外にも腕や足、背中の傷を見せてきた。
これ…前々からサラ様が鞭打ちして怪我させていたって事?
私は後ろにいるシリウス様の方を振り向いた。シリウス様はびっくりしながらも少し戸惑った顔で私を見ていた。
「今から手当てしたいんだけど抱っこしてもいい?」
「ぼくをだっこしてくれるの?」
「貴方が良ければ是非させて欲しいのだけどどうかしら?」
小さなシリウスは目をキラキラさせて嬉しそうにして手を伸ばしてくれた。
私は小さなシリウスを抱っこしてシリウス様の所へ戻る。
「シリウス様、手当てができるお部屋はありませんか?人目につかないような場所がいいんですけど…」
「はぁ…君だったんだね…。なんで君に抱きつくと落ち着くのか分かった気がするよ。」
「??」
「いや、何でもない。10年前だから何処に何があるか…こっちきて」
歩いているとシリウス様はピタッと足を止めた。
「ごめん、こっちじゃなくて…右側を曲がっていい?」
「え?ええ。」
何かを思い出したかの様に歩き出し、着いた場所は王城の端にある小さいな部屋だった。
「懐かしい…やっぱり今よりも綺麗だな…。ここなら人も来ないし手当てが一通りできるような物が置いてあるはずだよ。」
シリウス様は塗り薬や包帯などを色々用意してくれた。
「この部屋に薬も包帯もあるのね…。」
「まぁ…ね。俺もついさっきまで覚えてなかったけどここにくるまでの道のりで急に思い出したんだ…。この部屋によく来てたこと。」
「おにいちゃん、おねえちゃん、ありがとう…」
「いいえ。早く貴方の傷が早く治りますように。もし辛い事があっても負けないで。私はずっと応援しているわ!」
私はぎゅっと小さなシリウス様を抱きしめた。
「こんなにやさしいおねえちゃん、はじめてあった。ぼく、おねえちゃんすき」
「ありがとう。ここからだとお家は近い?近くまで一緒に帰る?」
「ううん。ぼく、ひとりでかえる。ははうえにみつかったら…おこられる。」
「そっか。じゃあ仕方ないね。」
「おにいちゃんもほんとうに、ありがとう!」
「かわいい…!なんてかわいいの!?小さいシリウス様は天使ですわね!」
「ちょ…ちょっとなんか恥ずかしいからそれ以上いわないで!」
シリウス様は照れてしまい耳が赤くなっていた。
そんな時ガチャッとドアが開く音がした。