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王妃の策略(3)

ーーー夕刻ーーー



お茶会が終わり生徒達が帰る頃は、太陽が沈みかけていて空は綺麗なオレンジ色一色だった。

カイルは王城の庭園から1人で学園へと戻っていき、女子宿舎へと歩いていく。


学園の女子宿舎への道の途中でカイルは見慣れた1人で歩いているピンク色の髪の女子生徒を見かけた。


「あ、ねぇサーシャちゃんじゃない?お茶会は楽しめたいかい?ところで…スーとは一緒に帰っていないの?」

「…カイル様…。」


サーシャはどこかボーッとした様子でいつもとは違う様な雰囲気だった。


「あれ…どうした?体調でも悪い?」


サーシャは遠くを見る様にボーッとしていたがカイルと目を合わすと、いつもと同じような元気な姿に戻った。

「あ、いえ!ごめんなさい…少し疲れてただけです。あの…私、先程スレイ様と一緒に帰ってましたが私が同じ魔法科のクラスメイトと話してたら先に宿舎に戻ると言って中に入って行かれました。」

「そうか…スーは人見知りだからな。もっと色んな人と仲良くして欲しいんだけどね。…まぁ、少し心配してたけど2人が無事に帰っているなら良かったよ。もう宿舎は目の前だしもうすぐ着くけど気を付けて戻ってね。」

「はい。ありがとうございますカイル様。」


じゃあと手を振ってカイルは帰って行った。


「私は…スレイ様といっしょに…かえりました…。」

カイルが男子宿舎へと帰る後ろ姿を見ながらサーシャは何度もブツブツと小さい声で繰り返す。


「おうひさま…わたしは、ふたりで、かえりました…」


ボーッと歩きながら自室へとサーシャは戻った。




ーーーーーーー王城 離宮ーーーーーー


今は誰も使われていない離宮は先先代の王までは側室が沢山おり賑やかな場所だったが、先代からあまり使われておらず、今代もルルドの母が亡くなり、側室だったサラが王妃になってからは使用されておらず1ヶ月に1度掃除が行われる程度で灯一つもついていない静まりかえった場所だった。夕日も沈みかけていて離宮の中は薄暗かった。





「ん…。」


あれ…?私何してたっけ…?確か…王妃様主催のお茶会に参加して…。


「ここ…何処?」


私は薄暗い部屋の中のベッドで寝ていた。見た事の無い場所で誰かがいるような気配もなかった。それよりも頭が重くて動きたくない…。早く起きて自分の部屋に帰らなきゃいけないのにまだ寝ていたい。だけど知らない場所は不安…ここが何処だか知りたい。誰かいないのかしら。


「あの、すみません…。どなたかいませんか…?」


なかなか声も出ず掠れる様な小さな声しか出ない。これじゃ誰かいても私の声は届かなそう…。



そんな時ガチャッとドアの開く音がした。






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