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王妃の策略(2)

王妃が会場に戻り、シリウスがいる席へと向かう。


「皆様、楽しんでらっしゃるかしら?」

「お、王妃様…!!はい!こんな素敵なお茶会初めてでとても楽しいです!」

席にいる女子生徒達は王妃にキラキラした眼差しで見惚れていた。

「そう良かったわ。まだまだ時間はあるから楽しんで下さいね。私の息子達とも沢山仲良くしてね。」

「はい…!」

「特に上の子は話し下手で無愛想だし、皆から怖がられちゃうから仲良い人が居なくて困ってるのよね…本当は皆と沢山喋って仲良くしたいんだろうけどなかなか一歩が踏み出せないみたい。奥手な子だから皆さんいっぱい話しかけてあげて下さいね。」


ニコッと綺麗に笑う王妃に心にもないことをいいやがってと言わんばかりにルルドは王妃を睨みつける。


「そ、そうなんですか!?王太子殿下も私達と仲良くなりたかったんですね…!それなら私達と沢山話しましょう!」

一斉に女子生徒がルルドに集まる。

「え!?ま、ちょっと待て…」


ルルドを取り囲む様に女子生徒が集まりルルドの姿が見えなくなってしまった。

シリウスはそんな光景を見て唖然としていた。

ルルドが見えなくなった後直ぐ王妃は、シリウスの肩をポンポンと叩いた後自分の席に戻った。

シリウスは王妃の後をついて行き隣に座る。


「話があると合図を送って下さいましたがどうされましたか?」

「このまま貴方は離宮へ行きなさい。」

「……離宮ですか?何故でしょうか。あそこは今誰も使用していない場所ですが…」

「ついさっきお気に入りのおもちゃを手に入れたんだけど…貴方に遊んで欲しくて置いてるの。いっぱい飽きるまで遊んでいいわよ。」

シリウスは王妃の顔を見る。彼は王妃が何を考えているのか分からなかった。王妃は紅茶をコクッと飲んだ後シリウスに向かって綺麗に微笑んだ。

「貴方もきっと気に入ると思うわ。」

「…ありがとうございます。」

シリウスはそのまま会場を抜けた。


「フフ…楽しみだわ。直ぐ飽きて壊してしまうか、大切にするか…」


王妃は少し笑いながらポツリと呟いた。


「王太子殿下私は…!」

「まって抜け駆けはダメよ!順番に話すのよ!」

「いいえ!私が…!」


「……おい、あの女の話を鵜呑みにしやがってお前ら馬鹿なのか…!?良い加減にしろ…!」

女子生徒に囲まれているルルドは我慢していたが苛立ちが募り、氷魔法を使って自分の周りに人を寄せ付けない様にした。

びっくりした令嬢達は後退りしピタッと静まり返った。

「これ以上怒らせるな。うるさい奴らは嫌いだ…とっとと失せろ」


「きゃああ!!」

群がっていた女子生徒達散り散りに離れて睨んでくるルルドに怯え始める。


「あらあら、皆様ごめんなさいね…ちょっとご機嫌斜になってしまったかしら…?まだまだ子供で困るわぁ。」

王妃はルルドを睨む。ルルドも王妃を睨み返した。


「あら丁度時間にもなってしまったし、今日はコレでおしまいしましょうか。皆様今日は参加して頂けてとても楽しかったですわ。帰り道気をつけてくださいね。ごきげんよう」


王妃が華麗に微笑み王城へと帰っていくと先ほどのピリついた空気が嘘の様に女子生徒達は王妃に魅了されきゃあきゃあとはしゃぎながら席を立ち帰り支度をしていた。


ルルドは面倒なお茶会が無事に終わりホッとため息をつく。


「ルル!大丈夫だったか?」

カイルとドウェインが近寄る。

「ああ、お前ら何処に居たんだ?」

「僕達は会場に入れなくて控え室で待ってたよ。」

「チッ…あの女勝手なことしてくれやがる…スーはもう帰ったのか?」

「どうだろう?もうこの会場には居ないみたいだが…。サーシャさんも居ないし帰ったのかもしれないね。」

「危険なことがあったら俺にも分かるようネックレスも渡してあったし、今回は何事もなかったという事か。」

ドウェインはポンとルルドの肩を叩く。

「そうだね、心配なら後で寮まで行ってみるか?と言いたい所だけど…実はルルド、少し他国との問題があってね。父上に呼ばれているんだ。父上からもルルドもくるようにと呼ばれているんだ。一緒に来て欲しい。」

「…ああ。分かった」

「なら俺が後でどうだったかスーに聞いてみるよ。」

「ああ、ありがとうカイ」


カイルはそのまま学園へと向かい、ルルド達は王城へと戻った。

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