王城からの招待状(5)
お茶会に参加してからもうかれこれ1時間は経っていた。顔も出した事だしそろそろ帰りたい…。
ルル様達はまだ席の半分ほどにしか挨拶していない。
ルル様は相変わらず無愛想で帰りたそうな空気出してる…。ルル様には周りの女子も怖がっている人が殆どだけど、シリウス様はキラキラした笑顔で会話しているから女子達も頰を染めながら話している。
シリウス様流石だわ…。
でも、帰るなら今の内かもしれない。よし、帰ろう!
「サーシャさ…」
サーシャに声を掛けようとした時いつの間にか私の横に王妃様が来ていた。
「ごきげんよう。可愛いお嬢さん達。」
「ご…ごきげんよう王妃様。私はサーシャと申します。」
サーシャは勢いよく立って固まっていた。私も立って王妃様に挨拶しないと…!
「ごきげんよう。王妃様、この度はお招き下さりありがとうございます。」
「フフ、あら素敵なお嬢様方ね。貴方お名前は?」
「私は、サーシャ・クロイスと申します。」
「あら、可愛いお名前ね。そちらのお嬢さんは?」
「私はスレイ・ダンパーネと申します。」
「そう…貴方がスレイさんなのね…。よくシリウスから話が出てくるものですから覚えてしまいましたわ。何でも同じ科でお友達だとか…。サーシャさんも確かランチをよくご一緒にして下さるとお聞きしましたわ。こんなに綺麗なお嬢さん達だったのね。これからも息子と仲良くしてあげて下さいね。」
王妃様は綺麗に微笑む。
「はい!光栄です!」
サーシャはキラキラした目で王妃と会話をしていた。
「はい…。」
私は顔が引き攣りそうだけどこれが精一杯…。
「そうだ!良ければまた違うフレーバーのお茶を用意するわ。シリウスのお友達ですもの!特別に用意するわ。サーシャさんにはこちらのオレンジの紅茶を。スレイさんには此方のスミレの紅茶をどうぞ。」
「いいのですか?!ありがとうございます!」
「頂きます。」
何だか周りの女子の視線が痛いわ…。そして王妃様も私達が飲むまでずっとここにいそうだわ。早く飲まなきゃ…。
サーシャは嬉しそうに紅茶を飲む。
「わ…フルーツの香りがとっても爽やかで美味しいです!」
「うふふ。気に入ってくださって嬉しいわ。スレイさんはどうかしら?」
私は焦りながら紅茶を一口飲んだ。
「あ、あのとても美味しいです。花の香りがして…」
「そう…気に入ってくださったのね。おかわりもあるのよ。沢山飲んで楽しんでいってね?」
「ありがとうございました。」
私とサーシャは挨拶をすると王妃様は微笑んだ後そのまま別の席へと歩いて行った。
ふぅ…一先ず終わったわ。緊張し過ぎてどっと疲れが溜まってしまった…もう帰ろうかしら…。
「サーシャさん、そろそろ退席しようと思うのですが。」
「はい!分かりました。一緒に帰りましょう。」
私とサーシャは会場を出ようとした。




